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『木曜スペシャル』の冒頭、進行役の福澤アナが黒塗りされた
英文文書を示してケネディ暗殺に関する米政府の最終報告で
あるウォーレン報告書のページだと説明し、全てが公開されるのは
西暦2039年であると説くシーンがあった。
実際には報告書には黒塗りはなく、紹介された文書が関連資料
なのは明らかで、「黒塗りの報告書」は事実誤認だった。
ウォーレン委員会の最終報告書は付帯文書を含めて816ページ
あり、委員会が事件の調査研究に用いた各種文書・証言記録は
報告書発刊後アメリカ国家記録保存所に送られたが、その内
約2万ページが26巻に分けて公刊され、「委員会文書」という
くくりが約10万ページあり他にも膨大な文書があるが、それらの
大半が75年間非公開で(閲覧出来ないということ)、西暦2039年
に閲覧可能になる、ということだ。
報告書発行から51年が経過し情報が錯綜し、実話誌のコミッ
ク版やネット情報では報告書自体が機密だという話にさえなっ
ている。
だが、1991年公開の映画『JFK』がこれまでにないほど陰謀説を
喚起したため、1992年には時のブッシュ(父親の方)政権下で事件
に関する全情報の25年以内の公開を命じる『ケネディ暗殺情報公
開法』が可決し早くも翌年には封印情報の大半が公開され、1998年
までには事実上全てが公開されている。
資料の公開を管轄した暗殺資料検討会議(AABB)は、ウォーレン
委員会以降に行われた暗殺事件の調査委員会の資料を収集解析
し、暗殺研究家や事件に関与したと自称する人々にも資料提出の
要請とそれら資料を公開情報とすることへの協力を求めた。
ウォーレン委員会関連で非公開なのは、シークレット・サー
ヴィス関連で今も同じシステムを用いているため公開されると
現大統領の安全が危機に陥る部類の情報、公開しても意味
のない個人情報、ケネディの遺体写真とレントゲン写真等だ。
ただし、遺体写真とレントゲン写真はケネディ家の許可を得れば
コピー・撮影厳禁の条件で公文書館内において閲覧可能で、今まで
も多くの人が閲覧しており、一般公開されていないだけだ。
現在までには全資料の99・9%が公開済みで、残ったのはウォー
レン委員会管轄でないごく一部のものだ。
公開資料の中に「陰謀の証拠」が無かったため研究家は落胆し、
「”陰謀の証拠”はなくても”隠蔽の証拠”はあった」と詭弁して
失地回復を図った者もいたが、それまで散々情報公開を叫んで
いた者の大半はただ沈黙するのみであった。
「2039年までの情報封印」方針は今から22年前に反故になり、情報
も今から16年前に全公開されたにもかかわらず、日本ではテレビで
も雑誌でも暗殺研究書の解説文でもネットでも未だこの原則が生き
ていることになっている。
かつて、春名幹男氏が2000年発行の著作である、アメリカCIA
に関する本『秘密のファイル:CIAの対日工作(下)』の中でケネ
ディ暗殺関連の情報公開の現状を説明し、2039年の楽しみはもう
ないと書いたが、世間は何も変わらなかったのだ。
情報封印の認識に関する現状以外でも、日本におけるケネディ
暗殺に関する認識は数十年時間が止まったままで、メディアも
ユーザーもバーチャル・リアリティの中に閉じ込められたままだ。
その責任の大半は陰謀説に都合の悪い情報を非公開とした
欧米の暗殺研究家にあるが、、それはユーザーが陰謀説を好む
ためメディアが真偽より人気を優先した結果の引き籠りであり、
人々はありもしない話を信じて歓喜する哀しき状態が今も続い
ている。
人々が真相より陰謀を好む限り、この状況は変わらないだろう。