19804月 憧れの教師としてのスタート

この年、神奈川で金属バット両親殺人事件があった。

私立名門高校出身の予備校生が名門大学の受験に失敗し

自暴自棄になり生活が荒れた末、東大出身の父親をバットで

殺した事件だ。優秀な両親からのプレッシャーなのか・・・

詰め込み教育と受験戦争が激化していた時代。

そして、70年代後半から激しさを増していた校内暴力も

この年、最盛期を迎えていた。

中学校の卒業式は、どこも警察が校舎を取り囲む時代。

卒業式前は、体育館の窓ガラスが全て割られていた。


私の前途を予感する時代だった。

中学2年の担任として、初めて生徒の前で話をした。

自己紹介から始め、自らの夢を語っていた時、前から2列目

の女子生徒があたかも聞こえるように、隣の生徒と話しを始めた。

「ばっかじゃないの・・・・・なにほざいているのよ・・・

テレビドラマじゃあるまいし、夢なんかどうだっていいじゃん。

今度の担任もダメだこりゃ・・・」

教師が話をしている最中に・・・それもわざと聞こえるように・・

卑下するような話をするとは・・・・なんだこいつら・・・・

これが、今の中学生の実体かぁ???

他の生徒も話を聞いている状態ではなかった。

隣とおしゃべりをしている生徒、うつろな表情の生徒、ビクビク

している生徒。そわそわしている生徒・・・・・

とても話に集中できる雰囲気の教室ではなかった。

10分、15分・・・そして30分過ぎてから・・・

イライラが募り・・・・爆発してしまった・・・・・

「ふざけんじゃねえ・・・てめえら何様だと思っているんだぁ

話を聞きたくなきゃ出ていけ・・・・・」

・・・・まずい・・・・やばい・・・・言ってしまった・・・・・

時すでに遅し・・・・

「やったー・・・俺出て行くわ・・・帰るぜ・・・・先生が帰って

いいって言ったもんね・・・タッキー・・・グッバイ・・・」

「俺も・・・」

「私も・・・・」

10人程の生徒が堂々と教室を出て行った・・・・

「なんだよ・・・これは・・・・なんでこうなるんだよ・・・・」

心の中で呟いたが・・・

何をどうしていいか分からなかった・・・・

これが、今の中学生なのか・・・・・

初日から・・・・心が折れそうになった・・・いや折れた・・

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