昼休みにノブコが久しぶりに話しかけてきた。
「先生、やっぱりテレビドラマのようにはいかないね。
私は、教師になんかなりたくない。
私の頭じゃなりたくてもなれないけどね。アハハハ
みんな、どの教師に対しても、陰ではボロクソ言っているよ。
まぁ、想像つくと思うけどね。
私の親も教師の悪口はずっと口にしている。
特に私はできが悪く、いじめっ子だったから、小学生の頃から担任には嫌われ、いつも母親が注意を受けていたの。」
今のノブコからは想像もできない。
確かにノブコの成績は悪いが、こんな私にも話かけてくれる心の優しい子だ。
友人は少ないが、嫌われることもないし、授業中もおとなしい。
そのノブコが小学生の頃はいじめっ子で、担任から嫌われていたと聞き、信じられなかった。
ノブコの話が続いた。
「本当は、私がいじめられていたんだけど、仕返しをしたら、こっちが悪者になっちゃった。
相手は、成績が良かったから、担任は、それまでの話など聞こうとせず、頭が悪い私の方を悪者にしたんだ。」
ノブコが悲しそうな表情をした。
「教師なんて、世間知らずのバカばっかりだって母がいつも口にしている。
大学を出てすぐに『先生』なんて呼ばれるでしょう?
なにが先生かわかんないって。
尊敬できる担任に出会ったことないって。
兄が高校生だけど、兄が中学の時も母は、その時の担任をバカにしていた。
内申書に変なことを書かれないように卒業までは、我慢していたんだってさ。
内申書さえなければ、いいかげんな担任にクソミソいってやりたかったって。アハハハ」
生徒たちだけではなく、親もそう思っているのか。
益々自信を失くした。
もうすぐ家庭訪問や学級懇談会が始まる。
生徒たちは、きっと家で担任である私の悪口を口にしているのだろうと思った。
自分は重症だと思った。
親にも会いたくなかった。
そして、ノブコの話は続いた。