その6   

 

■2023年11月24日_No.2

 

「メキシコ最後のバラだよ~?彼女に渡す花はあるかい?」

 

こんなとこで花売るな!ていうかここギリギリアメリカ領だよ。

 

撮影していいか分からん場所で撮ったので一応背景は消しておいた。

 

国境通過において治安リスクの次に不安だったこと。

それは「ちゃんと再入国できるのか」ということ。

 

アメリカへの陸路入国には入国カード(I-94w)なる

ドキュメントが必要だそうだが、それは2022年に廃止されて

ESTAに統一されたらしい。

必要であってもその場に書式が置いてあって、

それに記入すれば済むものらしい。

ということで書類不備で即詰み入国不能パターンはないはず。

 

入国直後に第三国に出国し、ほどなく再入国しようとすると

最初の入国記録がシステムにまだ上がっておらず

「そもそも君アメリカに本当に一度入国してるの?」と

もめるケースもあったようだが、今はシステムへの反映が

自動化されていてラグがないのでそれもクリア。

 

このように出入国記録がいつでもオンラインで確認可能だ。

※入国はリアルタイムで反映されていたものの、

 やはりメキシコへの出国履歴はなかった

 

ここまでは事前調査で確認しておいた。

インターネットは本当に有難い。

 

 

殴り合いを始めた奴やらレーンが開いたり閉まったりのせいで

15分以上待たされてようやく自分の番。

 

バウチャー類の束と説明に困ったとき用の

自作旅程表も懐に忍ばせていざ尋常に勝負。

今回は勝てそうな気がする。

 

 

オフィサー「入国の目的は?ここまではどうやって来ましたか?」

 

わし「LAから明日日本へ帰ります。

昨日ティフアナ市内で一泊して徒歩で戻ってきました。」

 

オフィサー「職業は?」

 

わし「日本で建設会社の事務職をしています。」

 

オフィサー「メキシコへ行った目的は?」

 

わし「観光です」

 

オフィサー「...観光?たった1日で?どこへ行きましたか?」

 

わし「ティフアナ中心部だけ。夕食を取ってホテルへ。

それから朝起きてここに来ました。」

 

オフィサー「観光なのに?それだけ?あなたがティフアナ市内で

行った場所を全て話してください。」

 

...まったく予想していなかった不穏な展開になってきた。

 

わし「ホテルとレストランだけです。

飛行機に乗って日本に戻りたいだけなのだが...(早く通してくれ)」

 

オフィサー「あなたがアメリカで何をしたいのかは問題ではありません。

メキシコで昨日何をしてきたのかが問題です(キッパリ)。」

 

確かにティフアナは(メキシコが?)よからぬ街だ。

この行程は相手からすると何かの運び屋にも思えるかもしれない。

しばらく押し問答。

だってマジでホテルとレストランしか行ってないもん。

露店で土産は買ったが。

 

オフィサー「荷物を確認させて下さい。この荷物は全てあなたのもので

間違いないですね?」

 

わし「その通りです。」

 

さっき殴り合いしてた連中もバラ売ってた奴も、とっくに

ゲートを通されているのに自分だけ荷物を台の上に全てぶちまけられる。

 

もう、完全に世界丸見えで時々放映されている

お騒がせ税関ドキュメンタリーみたいになっている。

心の摺鉢山のあたりまでにじり寄られてる気分だ。

 

風邪薬の1つまですべて「これは?」と確認され、

せっかくおっさんが養生してくれたマグカップの包みも空けられる。

当然ながら違法性を示すものは一つも出てこない。

 

オフィサー「ねえちょっと!」

 

審査官が隣のレーンの同僚を呼びつける。

 

オフィサー「この人、昨日日本からLAに来てティフアナに一泊して、

また明日LAから日本に戻るって言ってるんだけど。

それで観光だって。どう思う?」

 

オフィサー2号「うーん。大方ナイトクラブで"お楽しみ"だったんだろう。」

 

それで納得したのか管理官はいそいそと荷物を元に戻し、

 

オフィサー「良い旅を。香港に行ってきたの?」

 

わし「いいえ...? ありがとう。」

 

 

 

 

30分以上が経過していたがとりあえず入国が許可された。

帰投不能リスクの最大の山場を脱した。

 

もう一時はアウトかと思って

ティフアナ→メキシコシティ→成田の便があるか、

20万くらいで済めばいいなとか考え始めていた。

一回入国拒否食らったら米領でのトランジットはもう

今回は無理だよな。とか。

 

ほっと一息。

結局一度もメキシコペソに縁が無かったなとふと思い、

意味もなく記念に米ドルをペソに両替。

 

ちょうど停まっていた路面電車に乗ってサンディエゴへ向かう。

 

 

香港ってどういうことだ?と思って調べた。

やはり入国審査官でさえも中国人も日本人も同じような

もんだくらいの認識なのか?

 

そしてそれは違った。こういうことだった。

ティフアナで有名なナイトクラブで、

気に入ったおねーちゃんを個室に連れ込んで遊べる

売春窟みたいな店の名前がホンコンらしい。

審査官その2が言ってたセリフとようやく繋がった。

 

アメリカには何度か来ているが、

この時ほど指にモザイクがかかるやつを

本場でやりたいと思ったことはない。

まあ、この国でイエローに人権ないわな。

 

反省点があるとすれば、島国に暮らす我々にとっての

陸路国境越えのエキサイトメントを

解説すればよかったのかなと。

まったく予想しない流れだったので気が回らなかった。

(そもそも英語へのデコードとエンコードに

 脳のリソースが常時75%くらい使われている)

 

 

初めて行くところの帰路は早く感じられるもので、

あっという間に列車はサンディエゴの市街地に。

 

 

この街もホームレスのテントが歩道に並んでいる。

やべー奴が乗って来ませんように。。

 

 

CVSの看板が降りる予定のアメリカプラザ駅より

数駅手前ので見えたので途中下車。

 

 

CVS、日本で言うとツルハみたいな感じか。

ここのPBのイブプロフェンを愛用しているのでそれを

買うのも今回の旅の一つになっていた。

よく効くし、日本の同じ成分の薬の8割引くらいの

値段で買える。

 

これで5年はやっていける。

目当ての品物ゲット。
イブプロフェン200mgのジェルカプセル。
500錠で4000円切っている。

日本だと普通の錠剤が20錠で500円はするので安さが分かるかと。
あとはアメリカでよく見る昼夜分かれたタイプの風邪薬もついでに。
(帰国後インフルエンザになり、早速役立った)

 

ちなみに、CVSは入会を勧めてくる割に

日本からECサイトにアクセスすると

「てめーの国には売ってやんねー」的なメッセージ

だけ表示されて弾かれる。入会損です。

 

 

ROSSも見つけた。全国チェーンなのは知らなかった。

ホノルルで買った10ドルくらいのアロハは今でも夏に時々着ている。

15ドルの靴は3カ月で底が抜けたが...。

 

ヤバそうな奴も見かけないので、

Amtrakの駅までは歩いていくことにした。

特に何もないがしばし異邦の街の散歩を楽しむ。

 

 

昨日は心理的(多分にフィジカル?)要因から殺風景に感じたが、

なかなか綺麗な街並みという気もする。

 

あとは行きの逆順をなぞるだけの少々退屈な時間。

 

 

この列車、LAから機関車を先頭に引っ張られてきて

この駅で行き止まり。

どうやって方向転換するのかと思ったら特になく、

全力バック運転でそのままかっ飛ばして元来た駅に戻るようだ。

すごいのかすごくないのか分からん。合理的だ。

 

客車の座席は日本の新幹線や特急と違って

向きが固定されているので、進行方向に向いてないと

イヤな人は要注意。

 

サンディエゴの街で何か食べていきたかったのだが、

日没までにはLAに到着したいので売店のブリトーで我慢。

レンジで温められたそれは見た目は最悪だが

中身はチリビーンズで、結構美味かった。

 

 

原発がガスタンクみたいなノリで適当に道路わきにあるのを発見。

お漏らししちゃったら道路も線路もやばいね。

 

 

暇なので列車内を少しうろうろしてみることにする。

これも観光。

 

紙片。

 

この列車、予約と購入はスマホでチケットを購入して

その画面のQRコードを乗る際に係員に提示するだけ。

電子化がものすごく進んでいる。

(一応大きい駅のカウンターでもチケットは買える)

 

しかし車内検札のときには、その乗客が

どの駅で降りるのかの記録は色違いの紙片を

いちいち座席の上に挟んで管理している。

ハイテクとローテクがちぐはぐに混在していて面白い。

 

 

トイレ。

 

 

古いけど別に汚くはない?

いや、汚いけど。列車のトイレの汚さってこんなもんでは?

日本と同じくらいの清潔さ?汚さ?かと。

ただ、十分なスペースがあるにも関わらず

扉が外開きなのはアホだなーと。

気を付けて戸を開けないと通路にいる他の乗客に

ドアパンチしてしまう。

外の人がギリギリのところでこらえてるときに

そんなことになったら大惨事だ。

 

食堂車。

 

なんと、日本では見かけなくなった食堂車が付いていた。

終点まで乗っても3時間なのにリッチな設備だなぁ。

客車は6両しかないのに。

でも全車二階建てだから日本的に換算すると実質12両なのか?

 

軽食の類がたくさん売られている。

 

ちょっと美味しそうだったけど満腹だったので何も買わず退出。

 

日没までにはLAに着きたいと思っていたものの、

列車がLA郊外に差し掛かったころ残念ながら日没を迎える。

 

 

車両基地

 

到着予定のホームが詰まっているらしく、10分ほど駅の手前で停車して

やや遅れてLAのUnion Stationに到着。

 

すっかり夜。ハリウッドはまた今度ですな。

サンフランシスコにもZIPAIRが飛んでいるようなので、

次回はLA→サンフランシスコの三角コースもいいなぁなんて思ったり。

 

 

 

空港近隣のホテル、わりかし近くにメトロの駅がある。

Union StationからもメトロのE線とK線を乗り継げば到着できそう。

 

 

駅から2kmだし、旅に散歩にうってつけなのだが

LA近郊屈指のヤバエリアと言われるInglewood界隈を

歩くことになるので残念ながら廃案。

そこに至る列車にもどんな奴が乗ってるのか想像に易い。

 

夜に吉野家で飯食ったら撃ち殺されるってどんなとこだよ。

 

 

そういうわけで大人しくFLYAWAYで一旦空港へ。

明日の飛行機が朝発なので、もたつかないように

空港では一応、ZIPAIRのチェックインカウンターの

位置を確認しておく。

 

空港からホテルもまた歩ける距離だが、

やはりお散歩は遠慮したいのでUberを呼ぶことに。

 

Uberやタクシーは空港の車寄せには直接呼べないらしく、

LAX-itと書いたバスに乗ってタクシープール的な場所に移動して

そこで捕まえる必要あり。

 

 

 

椅子きたね~~~~~~~~

 

絶対座らんぞ。南京虫とかいそう。

 

 

 

 

 

タクシープール兼Uber呼び場所に到着。

ハリボテ?仮設?感がすごい。

アクセス鉄道が完成した暁には役目を終えるのだろうか。

 

 

そしてここでUber初使用。

 

Uber呼び場所はかなり細かくエリアが分けられていて、

ここの広場のどのレーンのどの場所に到着するんだよ!!

ということにならないのは感心した。

 

基本的にはベトナムで世話になったGrabと同じ使い勝手。

おそらくGrabのほうがパクりというか後発なのだろう。

 

ドライバーの過去の実績に基づいてレビューや評点が

公表されているので、案外一番リスクの低い交通手段では

なかろうかと思う。

 

大音量で音楽垂れ流した黒人運転手のタクシーに無事乗車。

ファンキーすぎる。

 

 

無事ホテル着。

 

ギリシャ料理のレストランが併設されていて、

夜に出歩かずに済むのは助かる。

 

今回の旅の最後のディナーが選べないのは残念だが、

試したことのないジャンルだし惹かれるのも事実。

よしとしよう。

 

安モーテルなので、フロントというか管理人室?の小窓ごしに

チェックインをするやり方だったが、若い受付の兄ちゃんの

英語が早口で理解に難儀した。

 

無事チェックインはできたものの

チェックアウト時に何かをしてくれと言われたのが

何かわからず、モヤモヤ。

 

とりあえずBooking.comのメッセージ機能で

「チェックアウト時の注意事項がよく分からなかったので

もう一回教えてください」と送っておく。

 

英語力が大型犬並。

 

 

その8