ヨーロッパのドボクを見に行こう 新装版

八馬智 著

自由国民社 発行

2022年8月15日 新装版 初版 第1刷発行

 

この本では、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、スイスの「ドボク」を取り上げています。

ここで言う「ドボク」とは、土木構造物や産業施設などの社会を成り立たせているインフラストラクチャーのことです。

 

第1章 フランスのドボク

フランスは「文化」へのプライドが極めて高いだけではなく、近代土木技術の概念が生まれた国とも言われている。そのためか、ドボクのジャンルにおいても洗練されたかっこよさが漂っていて、それは他国の追随を許さないレベルだ。ところが全体的に見ると、個人プレーばかりが目立ってしまい、総合力ではイギリスやドイツに軍配が上がることが多いようだ。

 

第2章 ドイツのドボク

ドイツのドボクは目的に対して正面から素直にアプローチしているものが多く、壮大で無骨で厳ついものになりやすい。

 

「構造家」

シュトゥットガルトにおけるヨルク・シュライヒ

彼の得意技は「少ない材料で軽くする」ことを目指した「ケーブルによる張力構造」である。

 

モノレールの二大方式といったら跨座式と懸垂式だ。懸垂式の方が圧倒的に面白いが、その非日常的な乗り心地のためか、世の中のモノレールは懸垂式がずっと少ない。ヴッパータール空中鉄道がその懸垂式の一つ。

 

第3章 オランダのドボク

平坦な地形と、寛容で合理的で柔軟でケチだと言われている国民性は密接な関係にある。

 

ウォーターライン(防塞線)

敵軍が迫ってくると、わざと堤防を決壊させて土地を沼地に戻して侵攻を拒むという、肉を切らせて骨を断つ仕組み

 

第4章 ベルギーのドボク

ブリュッセル=シャルルロワ運河に1968年につくられたロンキエール・インクライン。巨大なバスタブに船を浮かべ、68mもの標高差を1.4kmのレールを敷いて、そのバスタブごと昇降させてしまうというとんでもない施設だ。

 

サントル運河における73mもの水位差を、垂直昇降で解消するストレビ・テュー・リフト。連続する水路の線が断ち切られる異様な点は、とんでもない存在感を放っている。この構造物ができる前に使われていた4基のボートリフトは、世界遺産にも登録されている。

 

リエージュ・ギユマン駅

現実感が無い超絶駅舎

 

第5章 スイスのドボク

グリムゼル峠の北側に降る雨はドイツとオランダを経由して北海に注ぐが、南側に降る雨はフランスを経由して地中海に注ぐ。

 

第6章 欧州ドボクを満喫するモデルコース

紀元前19年頃につくられたポン・デュ・ガール は、あまりの完成度の高さに腰を抜かしそうになる。人類はこの2千年間ほとんど進歩していないのでは、なんてことを感じてしまうが、ミヨー橋を見れば、そんな疑念も吹き飛ぶだろう。

 

リヨンの街の丘の上から眺めるパノラマはなかなかのもの。建物の高さと屋根の色がビシッと統一されている街並みは、日本では見ることができない景観なので、じっくり味わいたい。

 

第7章 ドボク旅行のテクニック

飛行機から見るシベリアの地形が面白すぎる。なめらかで柔らかい尾根と鋭利で荒々しい尾根のコントラスト、自由すぎる河川の蛇行の痕跡、スチレンボードを積層したかのような丘陵地帯地形、凍てついた氷の海など、地球とは思えない幻想的な風景が連続する。

見入ってしまうと全く眠るヒマがない。