寝るまえ5分の外国語
語学書書評集
黒田龍之助 著
白水社 発行
2016年9月25日 発行
このブログでは黒田龍之助先生の本は6冊目になります。
書評する対象が語学書というのが目新しいです。
1 語学書は書評できるのか
『ルーマニア語の入門』
ルーマニア語が他のロマンス諸語とどこが似ていて、どこが違うのか、この本を読めば概説書よりもずっと実感が沸くはず。
『オランダ語の基礎』
ディック・ブルーナの『うさこちゃん』
最近は英語風にミッフィーともいうらしい。
オリジナルのオランダ語では「ナインチェ」あるいは「ネインチェ」と発音するらしい。
(ミッフィーは知っていますが、うさこちゃんは知りませんでした)
2 語学書のことば
『フラ語デート会話、恋ってどんなものかしら?』
著者のキヨオカさんは、日本の語学教育界の革命児である。饒舌な「フラ語」シリーズはこれまでも幅広く支持されてきたが、今回の第5弾ではついに会話が登場。もちろん、いつもながらのキヨオカ節。こんな語学書が書ける人、他にはちょっと思いつかない。
(清岡智比古先生は、NHKラジオフランス語講座応用編も担当していました。様々な形のフランス人を取り上げる、画期的な講座でした)
『ニューエクスプレス リトアニア語』
リトアニア語は多くの言語学者を惹きつけた言語である。印欧比較言語学が盛んな時代には特に熱心に研究された。かのソシュールだって、リトアニア語のアクセントを研究しているんですよ。
リトアニア人は本当に蜂蜜が大好き。蜂蜜をつけたきゅうりも食べる。
『フランス語の冠詞』
本書の構成は至ってシンプル。フランス語の定冠詞、不定冠詞、部分冠詞及び前置詞 de で結ばれる名詞群について、具体的な例文をもとに考察を加えていく。巻末にはフランス語冠詞の歴史も論じている。
『モンゴル語のしくみ』
モンゴル語は大文字と小文字で形が同じものがなんと27組もあるのです。違うのは4組だけです。
モンゴル語はキリル文字を使って表記される。つまりロシア語と同じ。固有の民族文字もあるのだが、モンゴル国では1940年代に公用文字となったキリル文字が広く普及している。
3 失われた語学書を求めて
『暗記用フランス小文法』
第一群規則動詞はフランス語の動詞の90%以上が属し、新たに造られる動詞は全てこの型に従うという例で、
téléphoner 電話をかける(1885年)
téléviser テレビ放送する(1930年)
が挙がっていた。
『語尾からの配列による基礎フランス単語集』
基礎 2000語のうち、aで終わる単語はたった八つしかないとは驚きだ。しかもそのうちà,ça,déja,là,cela,voilàの6つは変化の心配がない。
bで終わる単語はなんと二千語レベルではノミネートされていない。語末がbの語は少ない。bが発音される例としてはclub(男)クラブ、発音されない例としては、 plombプロン(男)鉛、をあげることができる。
4 101年目の語学書たち
『ニューエクスプレス アイルランド語』
アイルランド語は方言の差が大きい。本書はコナマーラ(コネマラ)方言に準じ、綴りも標準綴りに従ってるが、ドニゴール方言やマンスター方言も取り上げて比べている。
ゴルウェー(ゴールウェイ、アイルランド語でガーリャGaillimh)名物の牡蠣が見当たらない。
『ニューエクスプレス グルジア語』
グルジア(ジョージア)語では、お父さんのことをママと呼ぶ。
『白文攻略 漢文法ひとり学び』
漢文は外国語。この当たり前の事実に気づかないことが多い。
5 隣の語学書は赤いか青いか
『冠詞』(三修社)
「風を通す」だけで精いっぱい
(風を通すとは、流し読みすることか?)
おわりに
インターネット上には、匿名のレビューが溢れている。語学書にしても変わらない。書店で立ち読みしただけなのに、上から目線で論じ、星までつけて評価する。そういうことは絶対にしないと心に誓う。私は名前を公表の上で書評するのだし、自らもまた語学書の著者なのだ。非礼な態度は慎みたい。好みの違う語学書は、取り上げないまでのこと。
