福島原発の事故は巨大原子炉がゆえに甚大な被害をもたらした。原子炉が巨大であれば事故が起こったとき放射能の拡散も半端ではない。それならば事故が起こっても被害を最小化して抑えこむために、原子炉自体を小型化し、家庭用超小型原子炉を開発すべきではないか。オール電化ならぬオールアトム化である。超小型原子炉で発電し、核分裂熱の冷却によって生じる大量の温排水をエコ給湯器に接続しておきふんだんにお湯を使える。ラジウム温泉ならぬアトム温泉で疲れを癒やす。また、原子炉から微妙に漏れる放射能を利用して家庭用放射線治療器を開発し、家庭内で放射線治療を行う。透視器にも放射能を利用すれば家庭内でも食品に対する異物混入を防げる。まさに一石三鳥である。ウランも限りある天然資源だから大切に使わねばならない。原子炉を導入した仮称「アトムハウス」は家屋自体がタービン建屋の機能も果たすので外壁は分厚いコークリート打ちっぱなしにし内壁に鉛の内装材を貼り付ける。万が一家庭内原子炉事故が起こっても家屋自体をすぐにコンクリートで覆い尽くしアトムハウス自体を石棺化すれば、被害を最小化できる。また、原発反対派もいるから、家庭用原子炉の導入は個人の自由にし、原発反対派は化石燃料や太陽光、地熱、風力を利用した電力を享受する。しかし、燃料費は原子力が圧倒的に安価と喧伝されているから反原発派は経済的理由で淘汰されるだろう。しかし・・・だ。超小型原子炉においても原子炉から配管を伸ばさなければならないので、どうしても原子炉に穿孔が必要で接続部が脆弱になる。それならばいっそのこと原子炉を小型球形にして使い捨てのボールのように改良してはどうか。ウラン燃料棒を肉厚のステンレス球体に閉じ込め完全に密閉して遠隔操作で核分裂反応を起こさせる。これをアトムボールと指称しよう。核分裂反応により大量の熱エネルギーを発生させ続けるのでこれを家庭用プールに放り込み蒸気でタービンを回し発電する。このアトムボールは半永久的に冷めない。これが果たして技術的に可能かどうか原子力技術者に是非お尋ねしたい。
橋下徹知事が原発が必要なら大阪に作ればいいと発言した。リスクは利益の享受者が引き受ければいいとの逆説的提案で久しぶりのスマッシュヒット発言だ。そんなに安全なら大都会に作ればいい。僻地に作って長い長い送電線を引く必要もなくなる。ところで橋下知事の発言を受けて大阪に原発を作るとなればどこが最適地か。大阪城公園が最適だと思う。今回の福島原発の事故は津波が一因であると言われているが大阪城公園なら津波に襲われる危険も少ないだろう。ちょっと気がかりなのが谷町断層に近いことだが、島根原発が活断層の上にあることが解ってもへっちゃらだと安全性を保証してくれる我が国の原発の耐震構造であるから何も心配はない。また我が国の標準モードの沸騰水型軽水炉を設置すると大量の冷却剤すなわち水が必要だが、大阪城にはお堀に大量の水を蓄えることができるから最適だ。さらに広瀬隆氏が「東京に原発を」で提案されたように原発から出る大量の温排水を利用し大阪市内にセントラルヒーティングシステムを作ればいい。沸騰水型軽水炉の難点は原子炉に接触した水の蒸気を直接タービンに導くため冷却剤が放射性物質に汚染されることだが日本の冷却剤の循環システムは極めて安全性に優れているし、仮に冷却剤に含まれる放射性物質が外部に漏れてもこれに含まれる放射能はごく微量だから直ちに健康に影響はない。現に若狭湾でもごく微量の放射能が漏れてもそこで穫れる魚介類は市場に出荷されているではないか。原発が出る温排水を利用したセントラルヒーティングシステムで大阪市民は一年中快適で安価な生活を送れる。究極のエコシステムだ。そして赤い光でライトアップされた大阪城の天守閣と並んで原子炉に妖しい青い光が灯る。新旧の奇妙な光のコラボレーションはシュールな光景を醸し出し新たな観光地として発展を遂げるだろう。そうそう。原発の設計はコンクリート打ちっぱなしが得意な大阪の生んだ世界的建築家の安藤忠雄先生にお願いすべきだろう。大阪城原発が完成すれば、この期に及んでも原発を誘致したいと表明しているアジア諸国の首長を招いて大阪城原発を視察してもらおうではないか。原子炉に点灯された希望の光が日本の明るい将来と国際的な威信を約束してくれるのだ。
サイレント映画ではない。波の音はする。小舟とぶつかるしぶきの音はする。しかし映画の全編を通じて台詞は一切ない。まさに実験映画である。この新藤兼人監督の「裸の島」は噂には聞いていたが、ようやくBSプレミアムで見ることができた。舞台は瀬戸内海に浮かぶ無人島。というか、その小島には親子四人しか住んでいない。井戸もないらしく、水は隣の島にもらいにいく。夫婦役の殿山泰司と乙羽信子の演技も凄まじい。ひたすら島の荒れ地を耕す。水桶を運ぶ天秤棒は肩に食い込みしなっている。つかの休日に夫婦は男の子二人を連れ尾道に行く。男の子はテレビを見て目を丸くする。しかし家族四人の幸せな生活も長男が高熱を出して突然亡くなり悲劇を迎える。この映画を見て、故郷の港町の沖に浮かぶ無人島を思い出した。そこには老人が一人住み着き、やぎを飼っていた。毎朝、老人は伝馬船を漕ぎ港町にやぎの乳を売りにくる。やぎの乳は牛乳よりも脂肪分が少なく幼児でも腹を壊さず飲める。やぎの乳には随分お世話になったものだ。しかし、老人は日本脳炎にかかり亡くなった。無人島は凄まじい蚊の棲み家でもあったのだ。裸の島の男の子の高熱の原因も日本脳炎だったのではないか。それにしても乙羽信子と新藤兼人監督は最高のコンビである。宝塚出身でお嬢様女優だった乙羽信子が社会派の新藤監督に傾倒し、自ら汚れ役に飛び込んだ。ロッセリーニ監督に心酔し不倫を顧みずイタリア映画界に飛び込んだイングリッド・バーグマンと重なってしかたがない。