毎年恒例のタイム誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に、今年は特定の個人ではなく、中東での民主化運動に大きな役割を果たし、欧米など各地で格差社会是正に向け声を上げるなどした「プロテスター(抗議者)」を選んだと発表した。タイム誌はプロテスターたちは催涙弾や実弾の雨が降る中でも異議を唱え、決して絶望しなかったとその勇気を称賛している。しかしタイム誌の選考には胡散臭さを禁じ得ない。パーソンオブザイアーは昨年はフェイスブックのザッカーバーグ、一昨年はバーナンキといずれもユダヤ系の人間が選考されたが今年も同じ系譜にあるような気がする。アラブの春はフェイスブックなどのソーシャルネットワークが大きな役割を果たしたと言われる。それが現在、ロシアにも飛び火しているのには驚愕する。ロシア国民の圧倒的支持を得ていると思われていたプーチンがユダヤ系のSNSの力に揺さぶられている。プーチンの最大の闘争相手はロシアの新興ユダヤ財閥であった。アラブの春の後ろには石油メジャーの影が見え隠れする。カダフィ政権崩壊がアラブ人民にとって本当に良かったのかもう少し見極める必要がある。自由経済主義的な目先の物欲の満足と引き換えに欧米の腰巾着になったとしたならタイム誌が絶賛した抗議する人は政治的に利用されたにすぎない。そのパワーの原動力がフェイスブックなどのSNSによる口コミでの抗議の輪に基づくものだとすれば、SNSは政治的なネズミ講と感じられてならない。


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家政婦のミタを完視聴した。連ドラを飽きずに見るのは本当に久しぶりである。何せ脚本が凄まじい。有無を言わさず言わばバイオレンスに移行するストーリーの展開にサム・ペキンパー監督のわらの犬を思い出した。しかし、サム・ペキンパーと決定的に違うのは愛と勇気がテーマであることだ。本当の愛とは本当の勇気とは何かを問うドラマだ。そして笑ってすませる昨今の社会的風潮を告発する。笑わぬ主人公は遊川さんのもう一つの傑作である女王の教室と同一である。さて脚本もさることながら斎藤和義のエンディングソングもいい。斎藤さんのポンキッキで使われていた「歩いて帰ろう」も名曲だったが今度の「やさしくなりたい」も本年ナンバーワンソングに間違いないだろう。ペットショップボーイズのようなメロディーラインにブルージーなギターのアクセントが利いている。歌い方も実にかっこいい。惚れ惚れする名曲だ。



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その小料理屋は、銀座1丁目の小さな赤い鳥居横の路地の中にあった。間口は狭くカウンターの奥行もさほどない。和服姿の老おかみが店を仕切っていた。このおばあさんが有名な俳人であることを店に案内してくれた先輩から聞いた。彼はテレビ局に勤め始め急に羽振りが良くなっていた。30年以上も前のことである。店の外には「卯波」という看板がかかっていた。おかみさんの名は鈴木真砂女。卯波という店名は真砂女の代表句「あるときは舟より高き卯波かな」に由来するとのことであった。真砂女は、千葉鴨川の旅館の娘に生まれ浅草の商家に嫁いだが亭主が博打で借金をつくり出奔し、一人娘を残し鴨川に戻った。旅館を継いでいた姉が夭折してしまったため姉の夫と再婚し旅館の女将となる。この一人娘が女優の本山可久子さんであることは後にラジオ番組で知った。しかし、自由奔放な真砂女は鴨川での生活に飽きたらず軍人と恋に落ち、旅館を出る。そして紆余曲折の後に50歳のとき銀座1丁目の路地で卯波を始めた。卯波は俳句を通じて親交があった高名な文士たちに支え
られ繁盛した。出版関係者も出入りしテレビ局に勤めた先輩も文化人気取りで卯波に出入りし始めたのである。卯波は素朴な家庭の味で鳴らしていたが、さすが旅館の女将出身だけあって、何の変哲もなさそうな出汁巻きにも滋味きすべき深い味わいがあった。昨年、久しぶりに鳥居の横を通ったとき卯波が跡形もなくなっていてぎょっとした。しかし卯波は本山さんの息子さんで真砂女にとってはお孫さんが旧卯波跡のすぐそばのビルに移転し卯波を続けられていることを知りほっとした。