「鼻の時間」
某媒体誌の女性営業と、
掲載記事について打ち合わせした時のこと。
来たときから
「ちょっと風邪気味」ってのは鼻声でわかってた。
ま、いいかって感じで
気にせず打ち合わせを進める・・・
打ち合わせしながら・・・
結構、目をじっと見てしゃべる人だなぁなんて思いつつ
掲載写真のチェックを続ける。
で、「このポジを使ってもらいます」と
写真ポジを渡そうとした瞬間、
「あっ・・・ちょ、すびま゛、、、びじゅっしゅるん!」
彼女自身も不意をつかれたかのような
汁っ気たっぷりのでけぇ「くしゃみ」っ。
「あ、いいよ」と
ジェントルにやり過ごす。
自分のバッグからハンカチを取り出し、
鼻の下あたりを軽くぬぐい、
ちょっと恥ずかしかったのか頬を少し赤らめ
再び営業トークを開始する彼女。
俺も、軽く笑顔を浮かべ、
「あ、じゃ・・・これポジフィルムね・・・」
と渡そうと、彼女の顔を見た瞬間、発見・・・
「はなっ水だらーん・・・」
by 笑瓶
つ・・・つまり・・・
彼女の、右鼻孔に輝く
ライトグリーンの「拭き残し」が・・・
気付かず、真顔で俺を見ながら
話を続ける彼女。
う、言ってあげるべきなのか・・・
鼻下の「汁反射」を煌めかせながら、
記事の説明をする彼女。
くっ、そこばかり見てしまう・・・
若い、ちょっとかわいい系の女性営業に対し、
「あ、鼻水出てるよ」って言うか、もしくは
気の利いた言葉で間接的に気付かすか・・・
俺は考えた・・・しかし突然のことなので浮かばないっ。
う・・・
ううう・・・・
しかも今気付いたが・・・
さっきからなんか彼女も俺の鼻あたり見てねぇか?
見つめ合う鼻と鼻。
渦巻く妄想・・・
もしかして・・・?
俺も鼻汁か鼻くそか鼻毛が、鼻孔から「こんにちわ」してるのか?
なんか、打ち合わせもそっちのけで、
正面の女の鼻を凝視しながら、自分の鼻をこすり、こすり
なんか出てねぇか確認している俺。
そのうち彼女も、鼻ばかり見る俺に気付いたのか・・・
急に鼻をこする素振りをし始めた・・・
ああ!左の鼻孔手で拭いた時、
手の甲に鼻汁が付着して、手についた成分が
「とぴぃ」と薄緑の糸引いたしっ!
並びに、その鼻汁付着成分のこと
念のため甲を確認した時に彼女気付いたし!
「は!あ、ちょ、ちょちよっとすみません・・・」と
顔を真っ赤にして商談スペースから
中座する彼女。
「あ、ど、どうぞ」と化粧室へ向かう彼女を見送りながら
自分の鼻孔の際を指でさわり、何か出ているか確認する
必死な俺。
「・・・良かった・・・何もついてないじゃん」
そのあと、5分ほどして席に戻ってきた彼女。
鼻かんだのか、微妙に鼻下が赤かった。
頬も赤かった。
こんな風に
思わず、訪れた「鼻の時間」。
まぁ、別にどうってこたないんだけれど、
なんか気の利いた気付かせ方ができなかった自分に
ちょっと腹が立つ・・・・
「君のエメラルドが、お鼻の下で自己主張しているよ」とか言えなかった。
「君、野菜を食べ過ぎて、緑の鼻血を出しているのかい」とか言えなかった。
鼻に何かある!と気付かせるために、「最近、部分的に鍛えてるんだ」などと言って
さりげなく「鼻立てふせ」とかすべきだった。
自分の鼻汁をわざと、彼女めがけてぶじゅると顔射して、
「ごめん、ごめん」と彼女の鼻汁もろとも拭いてやるやさしさがなかった。
くそ!俺もいろんな意味でまだまだだぜっ!
次は頑張るぜ!