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   日本天文考古学会第2回研究発表会     

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2022年10月8日、大阪公立大学交流センターで開催された日本天文考古学会の第2回研究発表会にて、「大湯環状列石の岩石配置図に関する検証」を発表しました。
これは、2022年3月発刊の日本天文考古学会誌3号に掲載された内容を研究発表用に再編したものです。
秋田県の大湯環状列石遺跡は、日本を代表するストーンサークルで、昨年世界遺産に認定されました。大湯環状列石は、2つのストーンサークルが並び、それぞれに日時計状組石があることが特徴です。1956年に川口重一が、ストーンサークルの2つの中心位置とこの2つの組石を結ぶ線が夏至の日の入りの方向を向いていると発表しました。これは、大湯のストーンサークルが、ただ石を円形に並べただけでなく、縄文人が使用していた太陽観測装置であることを意味します。このことは、日本の縄文時代の文化レベルが高かったことを示す証拠となるため、大湯ストーンサークル館のガイドや大湯のストーンサークルを特集した多くのテレビ番組でも紹介されてきました。
ところが、私が発掘調査報告書を調べると不可解なことが多く見つかり、最終的にはこの発掘調査報告書に書かれているストーンサークルの方位が間違っていることが判明しました。したがって、この発掘調査報告書をベースとした議論は全て間違っていることになります。
実際に、この大湯のストーンサークルが造られた4000年前の太陽軌道の計算から導いた夏至の方向と、正しいと思われる岩石配置図とを比較すると約10度の違いがあり、とても夏至の方向を向いているとは言えない結果となりました。
一方で、大湯ストーンサークルの中心から小さな石がクロマンタ(黒又山)に向けて並べられています。クロマンタは、刻文石製品が多数出土し地中レーダーによって地下に数段のテラス状の石造構造が確認されている謎の山です。このことから、大湯ストーンサークルの石が意味なく並べられているとは考えられず。太陽、月、星、聖山などとの関係を検討すべきかと考えています

この結果は大湯ストーンサークル館にお知らせしています。世界遺産となって世界から注目されますので、大湯ストーンサークル館の冊子や展示などの紹介が正しく修正されることを期待しています。
奇しくも、発表の次の日(10月9日)にTBSの世界遺産というTV番組で大湯ストーンサークルが紹介されましたが、日時計状組石や夏至の件については全く触れずに、大湯ストーンサークルは墳墓であると紹介されていました。私の論文に留意してくれたのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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平津豊のホームページ「ミステリースポット」は、1987年に開設し、各地の巨石や磐座(イワクラ)を探索し、その研究結果を発表しています。みなさんに評価され、年間に50000人が訪れるサイトになっています。

 

 

 

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