聖霊は失敗を益に変える

 

肺炎や梅毒などから、多くの人間の命を救ってきたのが抗生物質のペニシリンですが、抗生物質は、偶然に実験失敗を契機に発見されました。1928年、イギリスの細菌学者フレミングは、ブドウ球菌を培養していたシャーレの中に青カビの胞子がどこからか飛んできて、混入したのに気づきました。シャーレの中に異物の青カビを混入させるなど、細菌学者としては初歩的なミスです。しかも培養途中で、フレミングは家族旅行に出かけて研究室を留守にしていました。

 

しかし、フレミングは、青カビの周囲だけブドウ球菌が繁殖していない、つまりシャーレに落ちた青カビが周囲の細菌を殺すのを発見し、不思議に思って研究を進め、カビがつくり出す化学物質のペニシリンが細菌の生育を妨げる抗生物質だと発見して、論文発表しました。

 

その後、1940年になって、オックスフォード大学の研究者、エルンスト・チェーンとハワード・フローリーの2人がペニシリンの抽出に成功。第二次世界大戦では、負傷兵の治療のため大量のペニシリンが必要になり、負傷兵たちは、化膿した傷口から細菌が入る敗血症で命を落とすことが多く、感染を防ぐ医薬品開発は国家の緊急課題となり、イギリスとアメリカはペニシリン研究を国家機密に指定し、巨額の研究資金を投じられました。

 

こうしてペニシリンは大量生産が可能になり、一般にも広く用いられるようになり、戦争が終結した1945年、フレミング、チェーン、フローリーの3人は、ノーベル生理学・医学賞を受賞し、ペニシリンは戦後の日本でも用いられ、それまで40歳代だった平均寿命を押し上げる要因の一つになりました。ブドウ球菌培養の失敗が結果、多くの人を救う幸いになったのです。

 

聖霊は激励者


「あなたがたは、人を再び恐怖に陥れるような、奴隷の霊を受けたのではなく、子としてくださる御霊を受けたのです。私たちは御霊によって、『アバ、父』と呼びます。」(ローマ8:15)。
「神の御霊に導かれる人は、だれでも神の子どもです。」(ローマ8:14)。

デンマークに文章を書くことが好きな少年がいました。
彼は一生懸命に書いたのですが、だれも、何の感想も言ってはくれませんでした。
それで、この少年はとても落胆し、文章を書くことを諦めてしまったのです。
それを知った母親が息子をお花畑に連れて行き、言いました。
「この花を見てご覧。まだ咲く時期ではない花は、つぼみは膨らんでいるけれど、咲いていないだろ?でも時期が着たら咲くよね!お前の文学的な才能はこのつぼみと同じだよ。確かに今は人々の目に留まらないだろう!でもしばらくすれば、このつぼみがぱっと開き、全世界の人が読むんだよ。私はお前の母親だから、お前のことがよくわかるんだよ。だから気を落としてはだめだよ!」。
この少年は母親の励ましにより、大きな勇気を持ったのです。
「母親が自分を認めてくれた。勇気を出そう」と。

この少年こそはその後、偉大な童話作家になったハンス・クリスチャン・アンデルセンです。
「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している!だからわたしは人をあなたの代わりにし、国民をあなたのいのちの代わりにするのだ!」(イザヤ43:4)