最後に勝利したナポレオン

 

ナポレオン・ボナパルト(1769年 - 1821年)はフランス革命後の混乱を収拾して、軍事独裁政権を樹立します。戦えば、連戦連勝を続け、ヨーロッパ大陸の大半を勢力下に置きます。
まさにナポレオンの絶頂期です。
しかし、イギリス・プロイセンの連合軍にワーテルローの戦いで完敗します。
そして、最終的には、流刑地・セントヘレナ島で、その波乱に充ちた52年間の短い生涯を閉じました。ですから、ナポレオンは最後に敗北したのです。
しかし、死を差し控えたセントヘレナ島での遺書(現在シカゴ大学の図書館で保存されている)を見ると、最後に本当の勝利を勝ち取ったことが分かります!
以下はナポレオンの遺書です。
 

「私は、大胆に、キリストを信じますと、大声で告白できなかった。
そうだ、私は、自分がクリスチャンであると、告白すべきだった。
今、セントヘレナにあって、もはや遠慮する必要はない。
私の心の底に信じていた事実を告白する。
私は、永遠の神が存在していることを信じる。
その方に比べると、バートランド大将よ、貴方はただの元首に過ぎない。
私の天才的なすべての能力をもってしても、このお方と比較する時、私は無である。
完全に無の存在なのである。
私は、永遠の神キリストを認める。 私は、キリストを必要とする。
私は、キリストを信ずる。私は、今セントヘレナの島につながれている。
一体誰が、今日私のために戦って死んでくれるだろうか。

誰が、私のことを思ってくれているだろうか。
私のために、死力を尽くしてくれる者が今あるだろうか。
昨日の我が友はいずこへ。
ローマの皇帝カイザルもアレキサンダー大王も忘れられてしまった。
私とて同様である。これが、大ナポレオンと崇められた私の最後である。
イエス・キリストの永遠の支配と、大ナポレオンと呼ばれた私の間には、大きな深い隔たりがある。
キリストは愛され、キリストは礼拝され、キリストへの信仰と献身は、全世界を包んでいる。
これを、死んでしまったキリストと呼ぶことが出来ようか。
イエス・キリストは、永遠の生ける神であることの証明である。
私ナポレオンは、力の上に帝国を築こうとして失敗した。
イエス・キリストは、愛の上に彼の王国を打ち立てている。」
  
以上の遺書は、「我が辞書に不可能はなし」と豪語した頃のナポレオンとは天と地の差があります。
皇帝として人々から崇められていた絶頂期には、彼は、大胆に、キリストを信じますと、告白できませんでした。自分の力に信頼し、プライドがあり、すべてが上手くいっているように見えたからです。しかし、その勝利は真の勝利ではなく、偽りの勝利でした。
なぜなら、目の前の現実はすぐに過ぎ去っていくからです。
罪と死という最大の敵に打ち勝たれたイエス・キリストを信じ、すがることこそ最大の敵に勝利するカギであるからです!

「あなたの重荷を主にゆだねよ。主は、あなたのことを心配してくださる」(詩篇55:22)

「私はこう確信しています。死も、いのちも、御使いも、権威ある者も、今あるものも、後に来るものも、力ある者も、高さも、深さも、そのほかのどんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません」(ローマ8:38~39)