2018年12月22日
今回の観劇は・・・❝クロッシング・クリスマス・クリアランス完全版❞
今回の劇場は・・・
東京都新宿区❝新宿村LIVE❞
1960年代の米国ボストン
移民に対する世間の強い風当たり、陰の部分を、クリスマスという明るい華やかな時の流れに乗せて描いた作品。
明るい印象で始まるオープニング
その印象を容赦なく削り取っていく悲劇的なストーリーと意外な結末。
1人の少年が子供から大人へ成長していく過程を、陽と陰の二つの世界のフィルターを通して表現されています。
ハイネ玩具店、ユダヤ系移民によって営まれている店舗
店主であるハイネと二人の息子、兄レニーと弟アル。
「ちゃんと大人になったら・・・」
弟のアルは大人になったら、店を継ぐことを決めていた。
しかしこの店の奥には、アルも中を見たことがない秘密の部屋があった。
実はこの部屋こそ、ハイネ玩具店の正体そのものであった。
ボストンには犯罪シンジケートが牛耳る裏社会が存在した。
ハイネ玩具店の息子 兄のレニーはその裏社会に足を踏み入れるようになり、そこで名を馳せるようになる。
ある日、対立するイタリア・マフィアの総攻撃を受け、関連施設や組織網が破壊され壊滅状態に陥る。
しかしハイネ玩具店だけが被害を受けなかった。
ここで謎が解ける。
なぜハイネ玩具店が被害を受けなかったか。
それは店主のハイネが闇組織のトップだったから。
ユダヤ系移民のハイネは、差別と迫害の中、生きるために闇組織を作った。店の秘密の部屋には、麻薬などの密売品が隠されていた。
クライマックスは2つ。
一つ目は組織のトップであるハイネと、組織を壊滅させた息子レニーが短銃で撃ち合うシーン。
親子の相打ちという移民問題をめぐる悲劇の結末がそこにあった。
その後、父と兄を失った弟アルは孤児院に入ることになる。
クリスマスの日、サンタの姿をした兄レニーが、ハイネ玩具店に置いてあったおもちゃの人形とともに、メッセージを伝えにアルのもとへやって来る。
「いつか息子か娘ができたら・・・
サンタはいると言ってやれ。それに相応しい父親になれ。
それができれば大人だ」
このシーンがもう一つのクライマックス。
もしかしたらサンタクロースは、子供の世界ではなく、本当は大人の世界に存在するものなのかもしれません。