やがて海霧の夜に翔ぶ

やがて海霧の夜に翔ぶ

FFXIケルベロス鯖にて活動しているエルヴァーンのブログです。



主にFFXIのオリジナル小説などを載せています(ネタバレも含みますので注意!)。

ようこそ(´・ω・`)アンセムです。



このブログではまったりと、思いついた題材でFFXIの物語を載せていっています。


長さや更新の早さなどは気分と出来次第ですが・・・、一応【予告】でお知らせしてます(´д`;)

(予告は毎回消しているので感想などは本編のコメントかメッセージにお願いします^^)


まだまだブログも小説も初心者なので長い目でみていただけたら幸いです!。


Amebaでブログを始めよう!

 ミンダルシア大陸の南部、日もすでに暮れ暗黒に染まる海を港湾都市”マウラ”の灯台が照らす。

 漁船も機船も次の日に備え運航は停止している。しかしそんな中、海に浮かぶ3隻の船からは火柱と煙が立ち昇っていた。浅黒い2籍の船がもう1つの船の左右につき、その甲板には男達が横並びになって真ん中の船を取り囲んでいる。

 「くっ・・・!こんな骨なんかっ・・・!。」

 燃えゆく甲板と大量のスケルトン族の中心にはメルが武器を持ち、まわりの敵に抵抗している。

 「はっはっは、無様だなぁ・・・。どうだ?俺たちの死者召喚術は。」灰色のローブを纏った男達の間から眼帯をした長身の男が現れた。呪術師を束ねるこの男こそ銀狼の首領で”あの日”から姿をくらましていた賞金首”ザック”であった。メルもその顔を手配書で何度か見たことがある。

 「私はこんなところで死にはしないわ。」メルの目は諦めの色など少しもなく、サポートスキルで得た回復魔法を使いながら冷静に骨達を薙ぎ払う。しかし炎上する船は着実ににバランスを失いつつあり周りから降り注ぐ黒魔法でまさに拷問の状態であった。

 「ふん、さすがに下級の呪術ではダメか・・・。では俺のとっておきを見せてやろう。」ザックは右腕に巻いてある包帯を解き、短剣で腕を切り裂いた。呪印が彫られた腕からしたたる血が地面につくとそこから赤黒い煙が音をたてて立ち昇った。

 「これこそ我が復讐の力・・・。高位呪術の発動だ!せいぜい”シルバーホーク”にいたぶってもらうんだな。」


 ザックの船から今までのとは比べ物にならない大きさのボロボロのローブを着たスケルトンが飛び移ってきた。メルはその攻撃を避けようとするものの長いリーチと的確な動きですぐに致命傷を負わされてしまう。盗賊の手下達も死者を呼び出し続け、メルを取り囲むようにじりじりと距離を詰めてくる。もうダメだ・・・、そんな思いが頭をよぎり彼女は目をぐっとつぶった。

 「諦めるのはまだでしょう?メル=バスタード。」

 数発の銃声と男の声がメルの耳にはいってきた。盗賊達はバタバタと海に落ち、召喚された死者の数の一気に減っていた。顔をあげるとそこには砂丘で見たときと同じ笑顔があった。

 「あの時ムティーブさんが海に光るこの船を見つけてくれなかったら大変な事になっていましたよ。」

 マイルスは橙色の銃を構えながらメルを肩に担ぎあげ、船にいるムティーブに手渡した。

 「マイルスさん!どうしてここに・・・。」メルは心配そうに彼を見つめている。マイルスはまたニコっと微笑み、向き直すと笑顔を消し盗賊へ発砲した。正確に急所を撃ち抜き次々に相手は倒れていくのが見える。すると標的を変えたシルバーホークがマイルスに斬りかかった。

 「おっと、そんな荒い攻撃では私には勝てませんよ。」

 マイルスは巨大な骨の懐にもぐりこむと相手の腹に炎の銃弾を撃ちこんだ。その一撃にシルバーホークは巨体をフラつかせよろめいている。


 「・・・そうか、お前がデュランダルか」名前を聞いた盗賊の頭は不適な笑みをこぼした。

 するとシルバーホークの体から黒い瘴気があがりメルの方へとのびていく。危険を感じたマイルスはそれを体で受けると、すぐに力が抜け持っていた武器を落としてしまった。瘴気に包まれたマイルスからはどんどん生気がなくなっていくのが薄暗い中でもわかった。男の顔は青ざめすでに立っているのもやっとだ。まるで骨の中へ生命が吸収されていくようであった。

 「これで君も終わりだな・・・。この力は確実に相手の命を奪うのだ、代償もあるがね」ザックの腕にあった呪印が彼の体を蝕んでいく。

 異様な光景に今まで静観していたズィーハとアズナーフは銃を取り出し、巨大な骨へむかって発砲した。2人の銃弾は敵の”あばら”を砕き、頭蓋にも穴を開けた。しかし黒い瘴気は消えずにマイルスはその場に倒れこんだ。ザックもすでに体の半分が”黒いなにか”に食われている。そしてマイルスが動かなくなると瘴気が消え、呪印の進行も治まった。

 「マイルス・・・・さん・・・!」メルは涙を抑えきれず泣き崩れた。”仲間”を奪われた悔しさでマイルスの戦いに手を出す気はなかったコルセアの3人もザックとそのしもべに斬りかかる。

 すると倒れているマイルスの体が光りだした。正確には彼の身に着けていた”アミュレット”が不気味なまでに光り輝いている。意識のないマイルスの頭にはある男の声が響いていた。

 

 「君のちか・・・・・・・いに、この・・・・・・宝じ・・・・みに。きっ・・・・になる。」

「くっくっく・・・。兄弟愛とは感動ものだな・・・。」倒れていた盗賊の1人が傷を抑えながら立ち上がって近づいてくる。マイルス達は武器を構えた。

 「まだ動けるとは、盗賊もなかなかやるんですね。」マイルスは警戒しながら相手に話しかけた。倒れていればいいものをわざわざ立ち向かってくるとは何かあるのだろう、そう思ったのだ。アイアスもそれを感じ取ったのかしばらく様子をみている。

 「・・・邪魔がはいったせいでこっち失敗したが・・・くく、まだ俺たちの目的は終わってないのさ・・・。良いことを教えてやる・・・、これはあの時の復讐だ!デュランダルとバスタードが手を組み・・・銀狼を半壊させたときのなぁ。」そう叫び盗賊は高らかに笑いだした。”あの時”・・・、マイルスはそれを鮮明に覚えていた。まだ両家の跡継ぎがアイアスやメルに移る前、当時着実に力をつけていた盗賊団をつぶすためにある作戦が行われた。それの指揮がデュランダルとバスタード家だったのだ。あまり両家の交流はなかったが作戦はうまくいくものだと誰もが思っていた、しかし盗賊のリーダーはその”スパイを使った作戦”を見破り、壊滅という事態を避けたと聞いていた。

 「なるほど、だからスパイを・・・。」マイルスは敵を睨みつけながら言った。

 「俺たち盗賊は仲間を第一に考える・・・、いくら悪に染まろうがそれだけは変わらない。だから急いだ方がいいぞ・・・セルビナへな。バスタードへの復讐は海の上で決行される、誰にも邪魔はできない・・・。」盗賊はその場で膝をつき、すでに虫の息だ。


 「なぜそれをこちらに教える?答えたくないならいいがな。」アイアスは問いかけた。

 「あの日以来リーダーは変わっちまった・・・。この復讐にも嫌々参加した奴が多いんだ。盗賊ってのは自由を求める奴らばかりだからな・・・。メルって子を助けたければついででいい、リーダーを止めてくれ・・・。」そう言うと盗賊は倒れたまま動かなくなった。

 「さぁ、早くしないと・・・、メルさんが!」マイルスは武器をしまい急いでセルビナへ向かおうとした。ここからではどう足掻いても丸1日以上かかってしまう。どうすれば・・・、そんな時アイアスがふっと笑った。

 「ピンチの時こそ冷静でいろ・・・、笑ってチャンスを掴み取れ。数年前あんたが俺に言った言葉だ。そろそろ来る頃だ・・・。」するとジャグナー森林の方から足音のようなものが響いてきた。そしてマイルス達の前に黒いチョコボが姿を現した。「デストリア種の力とコーサー種の速さを兼ね備える俺の相棒だ。部下に町に戻ったらこいつを呼ぶように言っておいた。今の俺ではメル嬢の力にはなれない。行ってくれないか、兄貴。」マイルスはうなずくとすぐに飛び乗った。

 マイルスを乗せて走る黒き翼はまるで地上を超低空で飛んでいるかのようなスピードで風を切り進んだ。乗り慣れていない彼にはしがみつくのが精一杯で、ジャグナーやラテーヌの空から降る雨が横に落ちている様を驚く余裕もなかった。あっというまに森林を抜け、”ホラの岩”を後ろに見て砂丘へ入った。チョコボは頭が良くアイアスの「セルビナまで」という言葉だけで目的地まで迷うことなく到着した。


 町に入ったマイルスはチョコボから降り、辺りを駆け回った。しかし港には不審な船はなく漁師もだいぶ前にマウラ方面に船がでたのを見たというだけだった。しだいに焦りがではじめ、悔しさに膝を折ってしまった。その時、

 「あんたは・・・マイルス!マイルスじゃないか!ズィーハさん!マイルスですよ!」目の前で覚えのある声と名前が聞こえてきた。顔をあげるとそこには海猫党のアズナーフとその後ろにズィーハとムティーブの姿が見えた。

 「皇国じゃないからって大きな声を出すんじゃない。久しいね、マイルス。」ズィーハは軽く笑みをこぼした。「やはりコルセアの道を進んだみたいだね。どうしたんだい、こんなところで。」

 「実は・・・。」マイルスは自分のおかれている状況を口早に伝えた。メルの事、弟に頼まれた事、そして絶対に助けたいという意志を。それを真剣に聞いていたムティーブが口を開いた。

 「ズィーハさん、マイルスさんに手をかしてあげてくれませんか・・・?自分には彼に恩があります。測深儀を見つけるのも自分が責任をもっ・・・!」そう言いかけた彼をズィーハが止めた。

 「仕方がない。あらたなコルセア誕生の祝いだ。手をかすからにはその後にこっちの目的も手伝ってもらうよ!さぁ、出航しようじゃないか。」

 

 わずかな手がかりと4人を乗せて、海猫の船はセルビナを出発する。