Q:洋服に外部被曝した放射線は放射性物質を放ちますが、それぞれどのくらい活動期間なんですか?
期間が長い場合、被災地へ行くトラックや被災地からの受け入れで放射性物質も持ち込み、ガイガーカウンター
は放射線は測定しても放射性物質は測定しませんよね?ということは関東にも大量の放射性物質が持ち込まれてるのですか?
ちゃんと報道しないから訳が分からない…
A: ご心配な気持ちはよくわかります。率直でいいご質問だと思います。
以下に回答しますがわからないところがあったら補足にでも書いてください。
放射性物質は放射線を出して他の元素に変わっていきます。
放射線を出す期間はその放射性物質が何かで変わってきます。
今回よく話題に出るのが、ヨウ素131とセシウム137です。
これは原子炉からでてくる物質で、大気中に出てくるもので比較的放射線を出す期間(そう、活動期間ですね)が長い厄介なものです。
そのヨウ素131が100gあったとすると、それがベータ線という放射線をだして8日後には半分の50gがキセノン131という放射線を出さない物質に変わります。
セシウム137が100gあったとするとベーター線だけでなくガンマー線を30年かけて出して半分の50gになり、放射線を出さないバリウム137になります。
そこで出る放射線を放射線測定器
で測ることによって、服に放射性物質がついているかどうかわかります。ただ、放射線の強さは測れても、その放射線が何なのかは ガイガーカウンター
(放射線測定器)によって測れるものと測れないものがありますので、直ちにどんな放射性物質がどれだけついているのかがその場でわからない場合があります。ただ、放射線が出ていることはわかりますので、何かの放射性物質がついているということはわかります。
ご心配の被災地からの放射性物質の持込ですが、もしトラックの表面に放射性物質がついていたとしたら測定器でばっちり検出することができます。もし多く検出されたら安全な量まで(基準があって決まっています)ところまで洗い流せばそのトラックは問題ありません。
近い将来、原発から帰ってきた消防車を洗っている映像なんかが入ってくると思いますが、そのときこの話を思い出していただければ幸いです。
補足です
ヨウ素やセシウムを体の中に取り込んでも新陳代謝によって体の外に排出されます。
放射線を出す・出さないにかかわらず、
ヨウ素を100g取り込んだとすると、約80日でそれらの半分・50gづつが体の外に出て行く、あるいは新たに取り込んだものに置き換わります。(子供はもっと短い期間で外に出します)
一方、セシウムを100g取り込んだとすると大人の場合約80日、10歳以下で約40日で半分の50gが体の外に出て行きます。
ヨウ素は喉の甲状腺にとどまります(80日かけて半分が体の外に排出されますが)。大体10ミリシーベルト分が甲状腺にたまると小さいお子さんに将来癌を発祥するリスクがでてくると知られています。一方40歳以上の人には甲状腺にヨウ素がたまっても癌になる人が増えたというデータは無いそうです。食品衛生法の基準値以上の放射線ほうれん草や牛乳に検出されていますが、基準値ぎりぎりの牛乳1リットルで6.6/1000ミリシーベルト相当、ほうれん草1キロで4.4/100ミリシーベルト相当なので、子供に癌を発症させるためにはかなり低い値になっています。ですから今の報道で、基準値以下の牛乳・ほうれん草を飲んだり・食べたりしても癌にはならないというのはうそではありません。
一方、セシウム137は体の筋肉に比較的多くとどまりますが、80日かけて半分が体の外に排出されます。