おーいと呼ぶ父 | 海岸日記

海岸日記

なかめから、港区海岸に移りました。半年あまり経ちましたが、いろんなことがありました。いつもいろんなことがある人間です。平凡に生きようとしているのに、なぜか波風がたつ、スリリングな人生になっています。よろしく!

父は夜昼を問わず、おーいと呼びます。
一日中、四六時中、おーい、おーい。

夜中、眠い目をこすりながら、父の部屋までいっても、
昼間、リビングから腰を上げていっても、

私:「はぁい。どうしたん?」
父:「呼んでへん」
私:「(@ ̄Д ̄@;)」

母が亡くなってから、ずっとこの調子です。

最初のころは、父のもとにいちいち飛んで行っていましたが、
近頃では、ぼけているのだから、そういうものなのだと
のんびり構えるようになりました。

リビングから父のおーいを聞いていて、ふと気付きました。
父は、あんなにはっきりと、おーいと呼んでいるのです。
誰かを呼んでいることに間違いないではないですか。
私や弟夫婦や、孫たちではないにしても。

父は、誰かを呼び続けている!
そして、その人は、応えてくれないのです。


母が亡くなったのは、四年と少し前の暮でした。
それ以来、父はほとんど寝たきりになっています。
家族が父のおーいに悩まされるようになったのも、それからです。

お医者さんによれば、父の体は本当は健康なのだそうです。