父は夜昼を問わず、おーいと呼びます。
一日中、四六時中、おーい、おーい。
夜中、眠い目をこすりながら、父の部屋までいっても、
昼間、リビングから腰を上げていっても、
私:「はぁい。どうしたん?」
父:「呼んでへん」
私:「(@ ̄Д ̄@;)」
母が亡くなってから、ずっとこの調子です。
最初のころは、父のもとにいちいち飛んで行っていましたが、
近頃では、ぼけているのだから、そういうものなのだと
のんびり構えるようになりました。
リビングから父のおーいを聞いていて、ふと気付きました。
父は、あんなにはっきりと、おーいと呼んでいるのです。
誰かを呼んでいることに間違いないではないですか。
私や弟夫婦や、孫たちではないにしても。
父は、誰かを呼び続けている!
そして、その人は、応えてくれないのです。
母が亡くなったのは、四年と少し前の暮でした。
それ以来、父はほとんど寝たきりになっています。
家族が父のおーいに悩まされるようになったのも、それからです。
お医者さんによれば、父の体は本当は健康なのだそうです。