私の住んでいた街では


毎年6月に大きなお祭りがあって

今はどうかわかりませんが

当時はお祭り期間中は学校は半休でした。

学校が終わるとそれぞれが友達を誘い合って

お祭りに出かけるのです。

市内で一番大きな祭り会場には

沢山の出し物や出店が並び

池もあってボートに乗れたりしました。


ある年。

友達と2人で、その会場に行きました。

一緒にお化け屋敷に入り、出たところで

隣りにあった建物に気が付きました。


そこには『だるま女』と看板が立ててありました。


私達はお化け屋敷を出た勢いそのまま入りました。


中に入ると、人が沢山いたせいか

とても狭く感じました。

小さなステージがあり、幕が下ろされていて

全体がとても汚かったです。


待っていると

姿を見せない男性がマイク越しに話し出しましたが

ダミ声で早口なので何を言ってるのか

全然聞き取れません。


お化け屋敷の延長なのを想像してただけで

何が出て来るのかわかってなかった私達は

次第に戸惑い始めました。


やがて幕が開いてそこにいたのは女性でした。

小柄な、生きている女性。


両手両足が完全にありません。

髪がゴワゴワしてボワッと広がり

とてもとても汚い服を着て、肌が浅黒い。

今考えると暫く入浴してない感じでした。

入浴どころか、あの顔の黒さは

洗顔もしていなかったと思います。


顔は上げてましたが視線は下がっていて

怒っているような目をしていましたが

全てを諦めきった表情でした。


マイクを持った男性が

ずっと大きな声でまくし立ててましたが

まさか生きてる人が出て来るなんて

思ってもいなかった私達は

もう怖くなって堪らずに途中で小屋を出ました。


それが『だるま女』を見た最初で最後です。


『だるま女』という存在を

話には聞いたことがあると思いますが

私が実際に見た時は、そんな感じでした。




最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました😊