気まぐれ小説 | じゃすとどぅーいっと!

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ぐっどもーにんぐ ~真選組一番隊隊長の場合~



すまいるでの仕事を終え、女の子たちと別れて帰路に着く。


薄っすらとグラデーションがかった空。

凛とした空気。

人気のない道。


職業柄、派手な振る舞いばかりしている私にとって、この一時はすごく安心できる時間だったりする。


「おはようごぜェやす。」


そんな大切な時間を邪魔する様に、悪魔が私に声をかける。


「・・・毎日毎日こんな時間から仕事だなんて、真選組も大変ねー。無駄に。」


「“無駄に”は余計でさァ。」


そう言って黒いオーラを背に爽やかな笑顔を浮かべているのは、真選組一番隊隊長の沖田総悟。


たまに近藤さんや松平さんを迎えに店に来ることはあったけど、顔を合わせたり話したりしたことは一度もなく。

店の女の子の間では、「可愛い男の子がいる」なんて話題になってはいたけれど、年下に興味のない私は特に気にも留めていなかった。


それなのに、ここ一週間ほど前からまるで待ち伏せでもしているかの様に、仕事終わりの私の前に現れる様になった。


そのまま素通りしようと横を追い抜くと、後ろについて歩き出す。


「・・・何か用?」


「別に。」


「・・・あっそ。」


こうやって、いつも話すらせずに家の前まで着いてきては、何をするでもなく帰っていく。


用心棒だと思えばいいのかもしれないけど、別にストーカーの被害に遭っているとか組織に狙われているとか、そんな事態に陥っている訳じゃない。

そもそも、こちらが依頼した訳でもない。

向こうが勝手にしていることとは言え、何だか少し気が引けてしまう。


あの少年が何を思ってこんなことをしているのか・・・考えてみたところで、私には全く見当も付かなかった。




「おはようごぜェやす。」


今日も今日とて、少年は私を待っていた。


「はぁ・・・」


あからさまに大きな溜め息をついて見せたのだけど、全く気にもせず笑顔を浮かべている。


好意をもってくれているのだとすれば、いっその事こんな回りくどいことをしないで単刀直入に告白でもしてくれた方がどんなにいいか。

「ごめんなさい。私、年上が好きだから・・・」とか何とか言っておけば、そこで終わりになるはずだ。


告白できない初心な少年と言う風にも見えないし、一体何がしたいのか。


「あのさ。」


「何ですかィ?」


「何、やってるの?」


「何って、散歩でさァ。」


「いや、散歩って・・・」


「・・・気になりやすかィ?」


そりゃ、気になりますとも。

こう毎日毎日、訳もわからず顔を突き合せなければならないなんて。


だけど、余裕の表情を浮かべるこの悪魔を見ていたら、からかわれているみたいでムカついた。


「別に!」


後ろから聞こえたクスクスという笑い声に、街並みを楽しむ余裕もなく、早足で家に帰った。




それから一ヶ月くらい経ったある日のこと。


いつもの様に帰路に着いた私の目に飛び込んできたのは、いつもと変わらぬ風景ではあるものの・・・いつもより何かが足りなかった。


憎らしい笑顔で私を待ち伏せているはずの、あの少年の姿が見当たらない。


今日は用でもあったのか。

それとも起きられなかったのか。

どちらにしても、私には関係のないこと。


久々に訪れた朝の静寂を、ゆっくりと堪能しながら帰った。



次の日。

またしても、少年の姿はない。


仕事で遠出でもしているのか。

張り込みと言うことも考えられる。

兎にも角にも、また平穏な時間が戻ってきた。


・・・そう、思う心とは裏腹に。

何だか妙に、あの少年を気にしてしまう私がいた。



少年が姿を見せなくなって一週間。

今日も彼は来なかった。


好きだった朝の一時を楽しむこともせず、腑抜けたまま家へとたどり着いた私は、ソファーに沈み込んだままぼんやりと天井を眺めていた。


どこか怪我でもしたのか。

そう言えば最近、近藤さんも店に来ていない気がする。


年上をからかうことに飽きちゃった・・・とか。

それなら別にいいんだけど。

いいんだけど・・・何かムカつく。

心配してる私の気持ちも知らないで!


何をしていても、どんな時でも。

考えるのは彼のことばかり。

それがまた悔しくて、この気持ちをどこにぶつけたらいいのか・・・


(ピンポ―ン)


そんなモヤモヤした考えを断ち切るように、チャイムが鳴った。


「はー・・・・・・」


目の前に立つ人物の顔に、開いた口が塞がらなくなってしまった。


「おはようごぜェやす。」


いつもと変わらない様子の少年。


「何で急に来なくなったの?」とか「今までどうしてたの?」とか。

言いたいことは頭の中にポンポンと浮かんでくるけど、どうしてだか上手く言葉にならなくて。

その代わりに溢れ出そうになる涙を、必死に必死に堪えた。


「あれ。どうかしたんですかィ?」


それに気づいて、おどけた様に顔を覗き込んでくる悪魔。


「な、何でもない!ちょ、向こう向いてて!」


なんて、泣いてるのバレバレの台詞を言ってしまうほど余裕のない自分が、恥ずかしくて仕方なかった。


「・・・気に、なりやした?」


「気になんて・・・気に・・・・・・なったよ!毎朝毎朝待ち伏せしてたクセに、急に姿見えなくなったら誰だって心配するじゃん!」


「・・・それだけ?」


「そ、それだけって・・・」


「心配で気になってただけかって聞いてるんでさァ。」


「・・・・・・それだけっ!」


「ふーん。ま、別にいいですけどねィ。・・・今は。」


「今はって・・・」


ほんとはどこかで自覚していた。

この少年を、好きになりかけているということを―――。


年下の手のひらで転がされてたなんて、悔しいから認めたくないけど・・・


「じゃ、俺はそろそろ帰りやす。」


「あ・・・うん。」


ドアが閉まる直前、悪魔が囁いた。


「覚悟しといてくだせェ。」


その言葉の意味を、私はこれから嫌と言うほど知ることになるのだろう。


それでも、「何だかそれもわるくないかも」なんて思っている私は、すっかり彼の手中に落ちているのかもしれない。




            ―――だって、悔しいじゃねぇですかィ。

                        俺ばっかりがアンタを気にしてるなんざ。


            何もしなくても、アンタが俺を気にするようになるまで・・・

                                俺の気持ちは教えやせん。


            だからせいぜい、俺のこと目一杯気にしててくだせェ―――。



                                       ~おわり~



―――――――――――――――――――――――――――――――――


―あとがき―


結局、第2弾は総悟になっちゃいました。

いや、書く予定ではあったから全然いいんだけどね!

全蔵とか辰馬で書こうと思ってたのに、総悟妄想のせいで書けなくなったとか、そんなこと全然気にしてないけどね!←八つ当たりか


えぇと・・・沖神好きな自分ではあるのですが。

夢小説を書くとなると、年上の女性と総悟って言うのが一番書きやすかったりします。


かまってもらえなくて拗ねる総悟も可愛くて好きだし、年上相手でも優位に立っちゃう総悟もかっこよくて好きだし。

彼はなんか色んな妄想が出来るよなーと思います。


ま、Sって言う根底は変わらないんですけどw


朝方に外にいるのが不自然じゃないように・・・と思ってすまいるで働いてることにしたんですが、正直どうでもよかった気がしてなりません。←

まぁ、すまいるで働いてることにしたんで、さり気なく面識あるって感じにできて書きやすかったですがw



やっぱり何かこう・・・人気のあるキャラを使って書くのって、微妙に緊張します。

自分の妄想を受け入れてくれる人がいるのだろうか・・・とか。


好き勝手書いといて言う台詞でもないですけどねwww←


口調とかもよくわかんなくなってくるし、「このキャラってこんな性格だっけ?」とか、「このキャラってこんなこと言うのか?」とか色々考えたり。


考えるだけ考えて、「まぁ、夢小説だからいいんだよなー」なんて結論になるから考えるだけ無駄ではあるんですけどもw


とりま、かっこいい総悟だと思ってもらえたら嬉しいなと思います。



次回は今度こそ本命・・・を書けたらいいなぁ(願望)。

どうなるかわかりませんが、お付き合いいただけるとありがたいですw