陸奥誕生日記念小説 Prologue  | じゃすとどぅーいっと!

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とある高校の、とある教室。

放課後の1コマ。


「ねぇ~、陸奥~。」


「何じゃ?」


「坂本先生ってさぁ・・・カッコイイよね!」


「はぁ!?」


予想もしていなかった乃亜の発言に、学級日誌を書いていた陸奥の手が止まった。


「さっき、急いでて階段から落ちそうになっちゃって、その時に坂本先生が助けてくれたんだけどさぁ・・・」


「・・・・・・」


「いつも白衣着てるから全然気付かなかったけど、坂本先生って結構イイ身体してるんだよね~!手も大きくて男の人って感じだし、横顔とかすっごいカッコイイし、『大丈夫?』って耳元で囁かれてゾクゾクしたし・・・そうかと思えば、『そそっかしか奴じゃの~』とか言ってすっごいカワイイ顔で笑うの!」


「・・・手フェチに声フェチにギャップフェチ・・・乃亜の好みだったっちゅう訳か。」


「そう!もうすっかり坂本先生の虜になっちゃった♪何で今まで気付かなかったんだろー?」


「・・・はぁ。」


「陸奥もカッコイイと思わない?」


「ワシは・・・そういうモンには興味がない。」


「・・・陸奥って勿体無いよね~。」


「何がじゃ?」


「すっごい綺麗な顔してるのに、そんな性格だから誰も寄って来ないじゃん。『陸奥は近寄りがたい』って男子が言ってるよ~?」


「・・・その方が気楽でいい。」


「ふ~ん。陸奥が好きになる男の人って、どんな人なのかな~?」


「・・・・・・」


「・・・アレ?ここ間違ってるよ?」


「・・・ほんとじゃ。」


「陸奥が間違えるなんて珍しい・・・何か考え事でもしてた?」


「な・・・何でもない。」


「そ?ならいいけど・・・。ま、好きな人が出来たら教えてよね!」


「・・・おう。」


女子高生にありがちの恋バナ。

だが、楽しそうに話す乃亜とは対照的に・・・陸奥は思いつめたような顔をしていた。




2人は高校からの付き合いではあったが、昔からの幼馴染のように仲が良かった。

ずっと同じクラスで、何をする時も2人一緒。


周りからの人望も厚い陸奥は、3年間クラス委員長を任され、

副委員長を乃亜が務めると言う、自他共に認める“いいコンビ”だった。


そんな2人の高校生活も、今年で最後。


これは、その年の初夏の出来事である。






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【陸奥 Side】

彼は誰 ーかはたれー



【乃亜 Side】

誰そ彼 ―たそかれ―


※この話に登場する“乃亜”と、noahは一切関係ありません。