再び「とくしま応援割」を使って、日帰りツアーに参加しました。
渭水苑(いすいえん)でのランチと人形浄瑠璃の観劇がセットになったプランです。
参加費10000円のところ半額の助成があり、周遊クーポンが2000円分もらえたので、実質3000円のツアーです。
渭水苑は徳島では格式のある料亭のようで、時々将棋の対局も行われています。
来月には藤井聡太 王位と豊島将之 九段による、第63期 王位戦七番勝負が行われることになっています。
元々は個人の邸宅だったようですが、広大で立派なお屋敷でした。
枯山水の庭園は、庭園設計の巨匠・浅野二郎氏によるものだそうです。
着物姿のスタッフさんにより、手際よく料理が運ばれてきました。
鮎の塩焼きや鱧ずし、新生姜の春巻きなど、季節の食材を使った涼しげなお料理でした。
最後は笹の葉に包まれた、チロルチョコサイズの外郎。
高級料亭だけあって、全体的に味も量もお上品でした。
まだお若い藤井聡太さんには、少々物足りないかもしれません。
食事の後は阿波十郎兵衛屋敷へ。
1698年に罪状も明らかにされないまま藩の政策上の犠牲となって処刑された庄屋、 板東十郎兵衛の屋敷跡を利用した施設です。
板東十郎兵衛は「傾城阿波の鳴門」に登場する阿波十郎兵衛のモデルになった人物だそうです。
板東十郎兵衛が築庭したと伝わる「鶴亀の庭」が、今も残されていました。
青石と黒松が配置された、コンパクトな池泉式庭園です。
公演の時間になったので、劇場に着席しました。
演目は有名な「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段」です。
一体の人形を3人で操ります。
数キロの重さの人形を数十分間動かし続けるのは、大変な重労働だそうです。
丈夫は唄、言葉、ナレーションを一人で語り分けます。
情感を込めて物語る太夫と、物語の情景や登場人物の心情まで音で表す義太夫三味線。
太夫と三味線の息がぴったり合って、臨場感たっぷりです。
何者かに盗まれた主君の宝「国次の刀」を探すため、盗賊に身をやつして大阪に移り住んだ十郎兵衛・お弓夫婦。
お弓が家に一人でいたところに、徳島に残して来た幼い娘・おつるが偶然にも訪ねてきます。
言葉を交わすうちに、お弓はわが子だと気付きますが…
おつるを危険に巻き込みたくないがために、母親だと名乗らぬまま、国元に帰るように諭しておつるを帰します。
おつるの両親を恋う気持ち、お弓の愛情と葛藤がひしひしと伝わり、胸に迫りました。
まるで人形に命が宿っているかのようでした。
二人の別れのシーンで公演は終わりましたが、物語にはまだ続きがあり、その後おつるには想像を絶するような運命が待ち受けています。
本当に悲しい物語です
徳島では江戸時代に阿波藩主の庇護・奨励を受けたことから、人形浄瑠璃が盛んに上演されてきました。
現在も多くの優れた人形師(人形を作る職人)が活躍し、全国の人形浄瑠璃を支えているそうです。