君たちはどう生きるか
宮崎駿監督が『風立ちぬ』以来約10年ぶりに監督を務めた作品です。
あの宮崎駿が一度は引退宣言したものの新作を制作しているということに驚きと喜びを感じたのを覚えています。
そしてこう開催されるまで一切の宣伝をせず、どんな内容なのかも明かされないままでした。
最近こういう手法流行りつつありますよね。
僕は娘と一緒に鑑賞しました。
娘も映画館で映画を観ることを好きになってくれたので、ジブリ作品を一緒に映画館で観るというのは僕にとってとても大きな思い出になるなと思って。
吉野源三郎の同名の著作に由来し、宮崎監督が原作と脚本を手掛けたそうです。
1940年代、主人公の眞人は、火事で母・ヒサコを亡くし、父親と父親の再婚者・ナツコとともに田舎のお屋敷に引っ越すことになります。
火事を目撃して疾走するシーンは凄くジブリっぽくて、「あぁジブリを観ているんだなぁ」って感じたらこの時点でなくこみ上げるものがありました。
お屋敷で生活することになった眞人でしたが、母を亡くしたショックから立ち直れず、ナツコにも心を開けないまま過ごします。
無理もないですよね、母を亡くて割とすぐに再婚、そしてその再婚相手は母の妹なのですから。
昔はそういうこともあったかと思いますが、現代ではまず考えられないですよね。
転校した地元の学校になじむこともできずにケンカになってしまうんですね。
それを誤魔化すために自らの頭を石で傷つけ、血まみれの姿で帰宅します。
眞人は両親や使用人のおばあさん達に心配されるのですが、特にナツコは自分を責めてしまうんですね。
そんな中、奇妙なアオサギが眞人に「母があなたを待っている。死んでなんかいない。」と声をかけてくるんですね。
母を語る不気味なアオサギに怒りを覚えた眞人は、弓矢を自作しアオサギ退治試みますが退治できませんでした。
自室に戻った眞人は、ふと1冊の本を発見します。
「眞人へ」と書かれたその本は、母・ヒサコが残した吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』でした。
『君たちはどう生きるか』を読みながら眞人は涙を流します。
ここが眞人が変わり始めたきっかけだったのかなと思います。
そして、眞人は外が騒がしいことに気が付くと、ナツコが行方不明になったことを知ります。
捜索した中で不気味な塔にたどり着き、内部へと侵入していくとアオサギが待っていて、そこには死んだはずの母・ヒサコが眠っていました。
ここから徐々にファンタジー色が強くなっていき、異世界へ行くことになるんですね。
そしてナツコを助けるべく物語は進んでいく、という内容でした。
簡単に言えば眞人の成長を描いた話だなと思います。
物語の序盤では新しい母となったナツコに心を開けずにいたのが、次第に口数も増えていき最終的には「母さん」と呼べるようになった。
異世界での出来事の意味合いがなかなか難しいし解釈は人それぞれだと思います。
それがジブリ作品の特徴だし個人的にはとても良かったです。
新海誠や細田守の作品もアニメーションとしてとても綺麗ですがジブリはまた独特の美しさがありますね。
先に書いた疾走感もそうだし、血や水の溢れんばかりの量や動き、そして食べ物を頬張る様とかジブリ独特の表現が本作も随所にあってジブリだなぁってワクワクしました。
10年ぶりの新作、しかももう新作を観られることはないと思っていたわけですから、こうしてスクリーンで本作を観れただけで個人的には大満足です。
※2023.7月 イオンシネマ大宮
君たちはどう生きるか - スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI