LION 2017公開
【監督】
ガース・デイヴィス
【出演】
デヴ・パテル、サニー・パワール、ルーニー・マーラ、ニコール・キッドマン、アビシェーク・バラト、デヴィッド・ウェンハム、プリヤンカ・ボセ
【物語】
※話を何も知らない方がきっと泣けます。
5歳のサルー(サニー)は家族思いの働き者。3人の子供を女手一つで育てる母(プリヤンカ)の力になろうと、兄グドゥ(アビシェーク)にくっついていく。
グドゥは石炭を運ぶ列車に乗り、石炭をかすめとって、ずだ袋に入れる。サルーもそれを真似する。途中、乗務員に見つかってしまうが、2人は列車から無事に脱出。
換金所で、牛乳2袋に替えてもらい、家に意気揚々と戻る。「どこで手に入れたの?」と詰問する母。答えに窮する兄。
善悪がまだ分からないサルーは、兄の「これは仕事」という言葉を信じ込み、にこにこと母に牛乳を渡すのだった。
その母は今日も辛い採石場の仕事に出かけるという。妹の面倒を見るように言われたが、また兄の仕事についていく。
今日は客車の落とし物をあさる。収穫はほとんど無いし、サルーは眠気に襲われぐずりだす。仕方なく、グドゥは、このホームのベンチで戻るのを待てとサルーに言い残し、一人仕事に行った。
眠気が覚め、辺りを見回すサルー。「兄ちゃん・・? 兄ちゃん!」
ホームを探しても叫んでも兄はいない。
ここかと思い乗った列車は回送列車だった。そのシートで再び眠りに落ちたサルー。回送列車は出発した。
目が覚めたサルーは、出口も窓も開かない列車に閉じ込められた。駅には全く停まる様子がない。そのまま2日だろうか3日だろうか、ようやく列車から降りられた駅は、たくさんの人でごった返していた。
しかも、言葉が通じない。故郷の名を告げても誰も知るものはない。
サルーは兄を見つけ、愛する母の元へ戻ることはできるのだろうか・・・
【オビ☆ワン チェック】
これがアカデミー作品賞でもいいなあ(^o^)
実話を基にしたヒューマンドラマ。いい人たちが多くて、しっかり感動に浸れます。
序盤は子役サルーが中心に話が展開していきます。この子役が実に素晴らしい。甘え、喜び、焦り、疑念、悲嘆と、くるくる変わる心情を、実に自然に演じています。天才子役出現です。守ってあげたくなる男の子だと思えたことで、その後の展開に感情移入できました。
そして青年サルーは、「スラムドッグ$ミリオネア」のデヴ・パテル。子役に負けない演技でした。
さて、迷子という実話。インドでは、毎年8万人以上の子供が行方不明になっているという現実。路上生活をしている子、劣悪な施設に収容される子、怪しげな人間にどこかへ連れて行かれる子(臓器?奴隷?)
今作のサルー少年は、たくましく逃げのび、運良くニコール・キッドマンの養子として迎えられましたが、この幸運は1/8万なのです。そして、その養子縁組の抱える問題も描かれていました。
単なる迷子映画ではなく、この2つの社会問題を声高ではなく、観る者の心に届かせているという意味でも、素晴らしい作品でした。
おまけで、インドの地名。カルカッタは、今はコルカタと言うそうな。いかん、年がバレる。これから気をつけよう(^_^;)