ホスト通いがやめられない娘さんをホストクラブから引き離すのは至難の業です。
少なくとも、ご家族だけで説得できたというケースを今まで耳にしたことがありません。
親が説得を試みると反発を受けて関係が悪化したり、家を飛び出して行方不明になってしまうことも珍しくありません。
結論から言って、ホスト通いの娘さんを救うには治療やケアを行っている専門家を頼る以外に方法はないと思います。
目次
1.ホスト通いを繰り返す理由
2.なぜ専門施設が少ないのか
3.家族は本当に困っている
1.ホスト通いを繰り返す理由
ある医師は「ホスト依存は『強迫的性行動症』というれっきとした病気である」と診断しています。
つまり、「自分がやりたい、欲しいと思ったことを何がなんでもやりたいと思ってしまう」という症状に陥ってしまっているのです。
同時に、周囲の助言を聞き入れることや、自分のこれから(未来)について考える能力を失ってしまっています(ホスト以外眼中にない状態)。
また、ホスト通いを続けるために自分の身体を売ってしまう娘さんたちは次のように語っています。
「風俗で働くことはやりがいを感じるから好き!」
「風俗は楽しいし私に合ってる!」
皆さんには、この意味が理解できますか?
彼女たちは、風俗で「お客さんから褒められる」「良いお給料がもらえる」といった体験を通して、低い傾向にあった自己肯定感を満たしています。
それこそが彼女たちの言う「やりがい」や「楽しい」と感じる部分の正体なのでしょう。
これはホスト通いを繰り返してしまう理由ともつながってきます。
例えば、家や学校などで誰にも褒められず、認められてこなかった子がホストクラブで初めて「褒められる」という体験をしたことで、ホストクラブこそ自分の居場所であると錯覚してしまうのです。
2.なぜ専門施設は少ないのか?
ホスト通いの娘さんを受け入れてケアを行うといった施設は、残念ながら日本全国を探してもほとんど見当たりません。
その理由を考えてみると、やはり「施設入所にはつながりにくい」という現状が関係しているように思います。
事情がやや複雑なのでここからはその理由について順を追って説明していきます。
まず、ホスト通いがやめられなくなってしまった娘さんの暴走状態を止めるためには、本人(娘)にもある程度の我慢をしてもらうことは避けて通れません。
遠く離れた地に移り住んでホストと物理的に距離を取ったり、スマホ断ちをしてホストとの連絡手段を絶ったり、昼夜逆転をやめて社会復帰に向けた生活スタイルに戻すなど。
施設に入れさえすればどれも実現可能な対応ではあるものの、どれも今の若い世代にとっては大きなストレスや負担となるような内容ばかりです。
当然、そんな話を振られて本人が首を縦に振るわけがありません。
加えて、親御さんもわが子に無理強いするようなことはできないという方が多く、説得は困難を極めます。
しかし言い換えれば、「そこまでしなければいけないほど危険な状況まで来てしまっている」ということです。
それなのに「娘が嫌がることをさせるなんてかわいそう…」と、親御さんが娘さんを案じるようなセリフを漏らします。
果たしてこれは本当に「娘を想う優しさ」と言えるでしょうか?
はっきり申し上げますと、親御さんのこの言葉には“保身”という意味合いが強く表れています。
つまり、「娘に嫌われたくない」という無意識な気持ちから出てきた言葉である可能性が大いにあります。
娘さんが嫌がることをさせることで間違いなく自分(親)にも敵意を向けられてしまうことがわかりきっているためです。
ただ、誰だって悪役を好んでやりたいと思う人はいませんので、そんな親御さんを責めるつもりは毛頭ありません。
以上の理由から、ホスト通いの娘さんの入所ケアを行っている専門施設が少ない理由は「本人が嫌がる」ことと、「親が強気に出られない」ことが相まって成立しにくいのではないか考えられます。
そのような事情から、支援者側も「相談」や「アドバイス」のようなサポート止まりになってしまっていることが多いのではないでしょうか。
3.親は本当に困っている
ホスト通いの娘さんを持つ親御さんが本当の意味で困っている部分とは、親御さん自身の心の中の葛藤ではないでしょうか。
「娘を救いたい」という気持ちと「娘に嫌われたくない」という気持ち。
そして「娘に尽くしてこられなかった負い目」といったものが葛藤となり、過ちを犯しているわが子に対して強気に出られない(言いなりになっている)状態なのだと思います。
もちろんこれまで説明してきたように「受け入れ先となる施設が少ない」といった悩みもあります。
しかし、いざ支援先が見つかっても「娘が嫌がる」ことを理由に支援へつなげられない親御さんが多いのも事実です。
では、親御さんの心を揺さぶって決心を鈍らせているのが「負い目」や「嫌われたくない」という想いであった場合、支援に踏み切れずにいる当事者たちはどうすればよいのでしょうか。
当センターは多くのホスト通いの娘さんをケアしてきた経験上、ホスト通いをやめさせるためには必ず誰かが嫌な役回りを引き受けなくてはならないというひとつのポイントに重きを置いています。
例えば、娘さんが行方不明の場合、捜索と保護を行ってくれる警察官などはほぼ必ず罵詈雑言を浴びせられています。
当センターや警察と親とをつなげてくれるコーディネイター(仲介役)の警察OBの方は激しい非難の目を向けられてしまうことが多いものの、めげずに毎回協力してくれています。
おわかりかと思いますが、そのどれもが娘さんの将来を守るため、支援につなげるために重要な役回りの方たちばかりです。
当センターからのアドバイスとして、親御さんに勇気をだしてやってほしいことは“娘がたとえ泣きわめこうが親は一切態度を変えない”という強い意志を見せてあげることです。
そうすることで、娘さんの背中を押してあげることができます。
「親は変わらないんだ」という姿を思い知った娘さんは、これから先のことについて考え直すための良いきっかけを得ます。
もちろん当センターのスタッフも、時折嫌われ役を買って出ることがあります。
ここだけの話ですが、スタッフだって嫌われるのは嫌です。とても悲しい気持ちになります。
でも、それらは全て目先のことだけではなく、娘さんの大切な未来を見据えているからこそ耐えられることなのです。
私どもスタッフと違い、親はれっきとした家族ですから一時的に嫌われるようなことがあったとしても後でいくらでも関係を修復できる機会があります。
娘さんが自分の過ちに気づき始める頃には、その機会が自然と訪れることでしょう。
娘さんを救いたい!けどなかなか支援につなげられないというお悩みをお持ちの親御さんがいましたら、思い切って当センターまでご相談ください。
私どもは親御さんの不安な想いや娘さんへの強い想いを全て受け止めて、これからすべきことについて一緒にお考えいたします。
娘さんの将来を守るため、本当に困っている親御さんからのお問い合わせをお待ちしております。
パーソナリティ障害宿泊・心理センター
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