私は、当センターに皆さんをお預りする前に、必ず保護者と面接を実施します。もちろん、それまでの経緯やその中での苦しさ、辛さについてもお聞きしていきますが、母親の叫びにもしっかりと耳を傾けます。その中で母親の訴え・叫びにはある共通点があるように感じます。
母親の叫びとして一番多いのは、親亡き後の子どもの人生に対する不安や心配です。
その次は、実際に「どう子どもと接したらいいのか、どう対応したらいいのか」という具体的で実践可能な質問です。
母親という立場の中には、人格障害に関する様々な専門書を読んで自分なりに勉強したり、知識が豊富な方々が大勢います。しかし、専門書通りには行かなかったり、打つ手がなくなり途方に暮れている方々がいるのも現実です。
過去に与えられなかった子どもへの愛情を再び与え始めようとする母親もいます。「私の愛情が子どもの心に届いて、少しでもよくなってくれれば・・・」と切実に願っている母親もいます。しかし、その願いとは逆に、子どもは母親に対して、一方的にお金や物を要求してきます。または、「私の人生がこんなになったのはお前のせいだ!私の人生を返せ!」などと母親として一番痛い所を攻撃し、脅してきます。
そんなことを繰り返していると、母親の心の中には、「母親としての私の子育ては失敗だったのではないか」という想いが湧いて出てきます。
実は、この罪悪感こそが、子どもにも伝わっていて、子どもの自尊心に影響を与えていきます。分かりやすい例で言うと、母親が「ごめんなさい」と子どもに伝えた場合、その多くの場合、子どもは逆上して攻撃の度合いが増してきます。
「ごめんなさい」という言葉は、子ども側の罪悪感に油を注ぐような言葉なのです。
そんな中、母親としてどう子どもに対応していったらいいのか、その心構えを今回は1つ紹介したいと思います。
まず、子どもの訴えている本質を知っておく学習をすることです。
本質というのは、子どもが「金をよこせ!あれを買って来い」など様々な要求に答える事とは違います。摂食障害を繰り返す娘に「そんなに食べ吐きするな!」と一方的に怒鳴りつけることとは違います。
子どものそういった要求の背景にある気持ちを汲み取ってあげることが必要です。これは子ども側からの様々な要求に答え続けてきた母親にとっては、とても難しいことかもしれませんが、練習することで学習・習得できるものです。
さて、色々あった葵さんですが、ご両親は私との面談後、葵さんを当センターへ入所させることを決断します。
**************************************************************
その彼は、私の行ったホストクラブで働き続けていました。「彼の為に」と、またキャバクラで働こうかと体験入店をしてお金ももらい、そのお店で働いてほしいと言われていた私は。「たまには行きたいし。お店にいる彼の友達にも会いたいし。」と話し、2回だけそのホストクラブへと行きました。ですが、私はその時まだ本格的に働いてはおらず、お店に借金をして飲んでいたのです。そんなに大きな額ではないし、数日働いて今月中に返そうと思っていました。
そんな矢先、私は体調を崩してしまったのです。熱が出て、だるくて。あまり動けないし、人に体調の悪さをうつしてはいけないと思った私は、仕事をすることを諦めることになります。働けない状態でも、今月中に返さなくてはいけないお金は残ったままです。私は、親にすがりつきました。私の代わりに、返して下さいと。
親は、もちろんがっかりしたのでしょう。それでも、その月に返さなくてはいけないということも私は話していたので、ある日お金を返しにとそのお店へ行ってくれました。
あの時は本当に情けなかった、屈辱的だった、と親は言います。本当に申し訳ないことをしました。
そして、私は親にその彼と別れてくれと言われ、別れたと言い(実際には別れていませんでしたが)、きっとそのままその生活が続くと思っていました。
それでも、その数日後。会いに来た親に「明日、人格障害研究センターへ行くよ。」と言われたのです。私はいつも男性にお金を貢ぐし、仕事も長く続かない。このままではいけないのだと。そして、親は人格障害研究センターを見てきたそうですが、そこはとてもいいところなのだと。「私が住みたいくらいだわ」という母に、「だったらあなたが住めばいいじゃない。」と私は思いました。
人格障害研究センターへ行くことが嫌だった私は、乗っていた車内から「歩いて帰る」と言い、赤信号で車が停まっている隙にドアを開いて出ました。そのまま、どこかへ行こうかと。とりあえず逃げたかったのです。施設にいい思い出などないのだし、自由がなくなることはわかっていたつもりです。管理されながら生活を送ることは嫌だったのです。もちろん入所してから、このセンターはそんなところではないとわかりましたが。
**************************************************************