親族と15時にお茶の水で待ち合わせしていたのでその前に食事をとることにした。
選んだのは神保町の老舗天麩羅店はちまきである。
江戸川乱歩が贔屓にしていた店のようだ。
私は天丼を注文した。
天丼には、浅草まさるのようにカリッと揚げたものと有楽町天米のようにしっとりとさせたものがある。
好みなので、カリッと揚げた天麩羅に文句をつけるつもりはない。
しかし、天丼には天丼の世界観がある。
天麩羅をただご飯の上に載せればいいというものではない。
この店の天丼は、ご飯にはベッチャリと天つゆをかけてあるのに、天麩羅にはほとんどかかっていない。
したがって、メリケン粉の白い味のする天麩羅が気になって美味しく天丼が食べられる雰囲気では全くなかったのだ。
吸い物も美味しそうに見えないし、実際美味しいとは思わない。
天丼が1,000円であることは、頑張っているし喜ばしきことなのだが、この店の天丼は、昔の白山にあった天安や有楽町天米と味を比べてしまうと天丼とは全く別の食べ物に感じられてしまうのだった。