ビストロシンバでブーダンノワールとブイヤベースを | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

東銀座のビストロシンバは、やはり凄かった。
まず、オーナーを始め店のスタッフが納得する味わいのレベルの高いこだわりワインを置いている。

今回はグラスワインをシチュエーションに合わせ3杯いただいたが、いずれもかなり美味しかった。
グラスワインで妥協することなく3杯ともかなり美味しいというレベルのものは青山エトゥルスキでも銀座アピシウスでもなか
なかないことである。



なぜならグラスワインなのだから高過ぎてはいけないのだ。
その価格でまあまあ美味しいレベルのものはあっても3杯ともかなり美味しいなんてまず経験したことがない。



最初は、フランスバイヨンヌ産の生ハムに合わせてヴァンムスーを選んだ。

このヴァンムスーはサヴォアの自然派の造り手のものらしい。

ミネラル感と酸と旨みのバランスが素晴らしい。

やはりバイヨンヌ産生ハムと相性がいい。



ちなみにバイヨンヌ産生ハムは第二の皿が早く出てきてしまったため写真を撮り忘れてしまった。



その第二の皿はブーダンノワールだった。

表面をカリカリに焼きあげてあり、中はしっとりとしていて軟らかだった。

ビーツやさくらんぼがいいアクセントになっていた。



この皿には、赤ワインを合わさねばなるまい。



合わせた赤ワインはガメイ種を使った別の自然派の作り手のものらしい。

ガメイ臭さはそれ程感じさせず、滑らかで果実味豊富だが甘ったるくない。

かなり美味しい赤ワインで、同じガメイを使った自然派の天才醸造家ジャン・クロード・ラパリュのアルマ・マテルガメイを彷彿させる。



そして、最後のグラスワインはこの店のスペシャリテ、ブイヤベースに合わせるワインである。

ブイヤベースに合わせるとなると普通プロヴァンスのワインとなろう。

しかし、私はロゼに合わせるのは好きではない。

そうなるとマルセイユのクロ・サント・マクドネールのカシー・ブランか、プロヴァンスのお隣ラングドックの白かと考えていたら、ロワールのソーヴィニオンブランを持ってきてくれた。



それもアレクサンドロ・バンのピエールプレシューズ2018である。

決して甘ったるいソーヴィニオンブランではない。

コクと深みがあり、酸のバランスがかなりいい美味しい白ワインだ。

これなら確かにブイヤベースに合う。



そして、ブイヤベースのお出ましだ。

こんがりと程よく焼いたスジアラ、舌平目の上に海老も載っている。



その皿に向かって、スタッフが濃厚で香り高いスープ・ド・ポワソンを、



注ぎ入れてくれる。



たまらないではないか。

魚介を食べ、スープを楽しむ。



最後はパンをスープに浮かべ浸して食べてしまう。

アレクサンドロ・バンの白ワインが合うことこの上ない。



そのひと皿を食べきり、余韻に浸っている時に新たな決意をする。

お腹は既にいっぱいだが、デセールも食べてしまおうと。

選択したデセールはパリブレストだ。

クレーム・プラリネがシュー生地の間にたっぷりと詰まっている。

ヘーゼルナッツもゴロゴロと転がっていて豪快である。

決してチマチマしたデセールなどこの店では出さない。



食後の飲み物は、フレッシュなレモングラスがあったのでアンフュージョンにした。

本当はフレッシュなヴェルベーヌつまりパリではハーブの女王と呼ばれるレモンバーベナにしたかったがその日はなかった。



それでも、その日の食事を締め括るには格好のアンフュージョンだった。

こんなに素晴らしいビストロを私は他に知らない。