太田リストランテ・モデラートの手打ちパスタ | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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群馬県で1、2を争う実力を持ったイタリアンシェフがいると聞いて太田市にあるその店を訪れたら、何と想い出の洋食店セッティの後に入っていたお店であった。


この店の店内に貼ってある説明によると、店主は本物のイタリアの食文化の素晴らしさに触れてほしくてこのお店をやっているようである。
したがって、日本人の口に迎合したイタリア料理風のものはなく、全て本物のイタリア地方料理がメニューを彩っている。
トスカーナのリボリータ、ポルケッタ、それに驚いたことに昨今ほとんど出している店は見かけなくなったミラノのオッソ・ブーコが常時提供されているのである。
パスタは全て手打ちであり、12種類もある。
少し前は卵黄を練り込み薄く伸ばしたタヤリンもあったらしい。
今は、レモンを練り込んだピーチや、ローズマリーを練り込んだタリアテッレまである。
まずは、シチリアの魅力的な赤ワインをいただく。


イタリアのアミューズブーシュ、ストゥッツィーノは大概繊細さにかけるものが多いのだが、この店のそれは気が利いていた。
クリームチーズではなくクレームと生ハムを合わせている。


サラダでは、野菜に纏わせているヴィネグレットが見事で絶妙に檸檬を効かせている
それも明らかにイタリア臭い使い方だ。


前菜は、しっかりとしたミネストローネ、イチジクの甘くないトルタ、サルモーネと野菜のタンバルであった。


アラカルトからまず追加したのは、フィレンツェ名物ランプレドットだ。
美味しいことは美味しいが、吉祥寺ヴィラ・マニョーリアの方が自分の好みである。


ローズマリーの手打ちタリアッテレを使ったカルボナーラローマ風や


地粉の手打ちパスタを使った彩どり野菜のラグー・サフラン風味は素晴らしかった。
こんな素敵な手打ちパスタが群馬県で食べられるとは思いもよらなかったのである。


そして、きっとお店のスペシャリテであろうアヴァッキオ・アラ・スコッタディートのお出ましである。
復活祭でイタリア全土で食べられるこの料理はローマなどでは普通乳飲み子羊を使うが、日本では入手するのがまず無理なので正確にはアヴァキオではないが…
しかし、これはこれで見事だった。
この店に来たら必ず食べるべし。


ドルチェは、コースについてくるアマルフィのレモンクリームの他にアラカルトで生クリームだけで作った濃厚なパンナコッタと


カプリ島の濃厚なチョコレートケーキ、タルタ・カプレーゼを注文した。
いずれもすこぶる美味しい。


それに私は見逃さなかった。
何とエスプレッソマシンがエスプレッソ界のフェラーリと呼ばれるラ・チンバリーのドサトロン・プレミアムであったのである。
このマシンの価格は一台軽く300万円は超える。
そのラ・チンバリーで作るカプチーノも


エスプレッソ・コンパナ・ドッピオもこの上なく美味しかったのは言うでもない。


太田に来たら必ず立ち寄りたいお店がもう一軒できてしまったのである。