鳴門のカリスマ漁師 村さんの鱸 | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

池袋の坐唯庵である。
店内に入るやいなや魅力的なものを見つけた。
鳴門のカリスマ漁師村さんの鱸である。

情熱大陸で村公一氏の特集の番組をご覧になった方もいらっしゃるかもしれない。
村さんの鱸と言えば魚にストレスを与えずに捕獲しその状態を保ったまま〆め完璧な血抜きをした状態のものが特別な飲食店にだけに届けられる。
東京ならばフレンチの3つ星高級店などで、村さんがその店の料理を食べて納得しないと卸さない。
そんな厳しい中でしか入らずかつ価格は普通の鱸の4倍はする特別な鱸である。
そんなものが坐唯庵にあるのだから驚いた。
それに間もなく村さんも鳴門からこの坐唯庵に来て村さんの鱸を楽しむ会を催すと言う。
思わず席が空いているか伺ってしまったが何とか滑りこめるようであった。
さて、伺ったその日は、勿論村さんの鱸を注文したが、それ以外にも冷酒と酒の肴と蕎麦と牛飯を頼んだ。
冷酒は十旭日と秋鹿の純米吟醸にした。


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お通しは辛めに炊いたじゃこである。


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まずは村さんの鱸を楽しむ。


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嫌な臭みが皆無である。
硬くもなく軟らか過ぎることもない。
旨みがありながらすっきりしていて五臓六腑にスーッと染み込んでいく美味しさと言ったらいいだろうか。
たかが数切れの刺身で人が感動するのである。
こんな鱸は食べたことがなかった。
余韻を味わっているうちに、次に届けられたのは鰻鍋である。


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たっぷりのゴボウの中に鰻の切身が隠れている。

残念ながら粉山椒は感心のできない香りのものだったので、


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自分で携帯していた七味家の粉山椒を使った。


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ワイルドな味わいでゴボウとの相性がいい。


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素朴ながら美味しさがこみあげてくる感覚を味わう。
続いて鴨みどり酢がけである。


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鴨のローストの上にたっぷりの野菜とすりおろしたキュウリが大量に載せられている。
肉の旨みで野菜を食べる。
爽やかでみずみずしく心地よい夏の味わいであった。
最後に田舎せいろと


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牛飯がテーブルの上に置かれる。


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田舎せいろは凛としているがぷつんぷつんと麺は切れず喉越しも楽しめる美味しい蕎麦である。

そして、蕎麦湯が凄い。


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こんな濃厚なのはじゆうさんくらいだろうか。


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七味家の七味を少し散らして飲んでも美味しいのであった。


8月28日「鳴門の鱸を楽しむ会」に参加し美味極まれりを堪能してきた24人くらいの定員は一杯で純粋に参加を楽しむ方達と一緒だったので写真は撮らないで私も味と村公一氏の興味深い話に気持ちを傾注した。
鱸三昧の献立は次の通りである。
村さんの鱸を得て坐唯庵の武内料理長の腕が光る。

どの皿も逸品であった。


●先付…皮煎餅
●前菜…鱸の温サラダ(鱸の浮袋等内蔵入り)
●椀…潮仕立て(これが一番美味しかった。日本料理はやはり水の料理だと感じた。)
●向付…お造り五種  当身蓼酢、昆布〆め梅醤油、土佐造り、糸造り、酢橘〆め(これは凄かった。糸造りは徳島県外には普通出さない本物の原木酢橘を塩に絞り刺身をそれにつけて食べる。皆誰しも無言であった。)
●焼肴…ハーブオイル焼き(尾の身が美味しかった。健康で筋肉質な鱸なのでこの部分は他の鱸とは全く味が違う。)
●預鉢…漬物盛り合わせ
●荷物…火取鱸
●揚物…鱸天麩羅
●食事…鱸茶漬け
●甘味…米粉クレープ
料理は以上である。
それに次のお酒が順に出てきてお代わり自由の飲み放題であった。
◎本日のお酒
●与右衛門備前雄町65(岩手・川村酒造店)
●長珍50・55山田錦50(愛知・長珍酒造)
●悦凱陣赤磐雄町山廃(香川・丸尾本店)
●丹沢山足柄若水山廃(神奈川・川西屋酒造)
●旭若松雄町(徳島・那賀酒造)
どれもいい酒だったが、個人的な好みでは与右衛門が一番だろうか。
村公一氏は話好きで人好きで、市川海老蔵そっくりの男前で若くがっちりとした体型の正に漁師そのものであった。
また今度は村さんのボラを楽しむ会などあったら何よりも先に駆けつけたいと切に思う私であった。