「わたしを離さないで」 | 尋常ならぬ娘のオタクな映画日記

尋常ならぬ娘のオタクな映画日記

  ~jeanpaul-cinemaの映画と伊藤英明をこよなく愛するブログ~

尋常ならぬ娘のオタクな映画日記   「わたしを離さないで」



カズオ・イシグロの小説の映画化。



“ヘールシャム”という寄宿学校で育ったキャシー、ルース、トミー。


彼らは見知らぬ人のために生を受けた特別な存在だった。


自分たちの限られた運命の中で


葛藤しながらも愛を見つけ生きていく切ない姿を描く。



映画を観る前に原作を読もうと、


始めのほうを読んでいたものの、小説を読み終える前に映画を鑑賞。。。


なので、


どれほど原作に忠実かはわからないけれど、


始めのほうを読んだ限りでいうならば、


きっと原作の世界観を正しく表現できているのではないだろうか。


カズオ・イシグロの物静かな世界が


美しく表現されているように感じた。



この話はなんとも切ない話で、


全編に渡り切ない空気が漂っているのだけれど、


この物語のそういった良さを確実なものにしたのは


主演のキャリー・マリガンの演技だろう。


彼女のなんとも言えない悲しげな演技が


観るものを、この映画の中にぐっと引き寄せる。



この寄宿学校に隠された真実に関してはSF的な要素があるのだが、


このような要素をこのような形で物語化できるというカズオ・イシグロは


なんだかすごいなと感じる。



私はすごく好きな世界観をもつ映画だったけれど、


一言でどういう映画だということは難しい。


じわりじわりとくる映画だと思う。



原作も最後まで読んでみたい。



この映画が公開になった時、


NHKでカズオ・イシグロの特番が放送された。


その時彼は、この物語について、


「記憶」というものに大きなテーマをおいて書いたものだと言っていた。


記憶の中でのみ生き続けることができる。



そんなテーマも頭に置きつつ、


じわりじわりともう一度、


この映画を思い出したい。