沢田研二
憎みきれないろくでなし
ジュリー(沢田研二)が1977年末に「勝手にしやがれ」で日本レコード大賞を受賞した後、その熱狂の中でリリースされた次のシングルは「憎みきれないろくでなし」(1977年9月5日発売)だった。
製作陣は、作詞:阿久悠、作曲:大野克夫、編曲:船山基紀が継続して担当したが、音楽的には 「勝手にしやがれ」よりも攻めた内容だった。
キャッチーな歌詞や帽子を投げるパフォーマンスは封印して、今度は、ロック色の強いブルージーな雰囲気を大切にした楽曲となった。
さらに、キャラクター的には、「勝手にしやがれ」がやせ我慢する男の美学を描いていたのに対し、今回は不道徳でニヒルな男という、いわゆる「ろくでなし」のダンディズムを追求した路線となった。
以下のようにディテールは違っているものの、全体としては、気障(きざ)な大人んお男の物語りという路線は続いていたと言える。
- 「勝手にしやがれ」のパナマ帽とスリーピース・スーツという正統派な装いから一転、「憎みきれないろくでなし」では、皮ジャンやラフなスタイル、あるいは軍服をモチーフにしたような衣装など、よりアウトローでワイルドなイメージとなった。
- 「勝手にしやがれ」は、帽子を投げる以外は静かなアクションが多かったが、より攻撃的で色気のあるパフォーマンスへと進化しており、この後のヒット曲でも継承されることになった。
一言にすれば、「勝手にしやがれ」の特大ヒットという重圧を、単なる二番煎じではなく、より尖ったカッコよさで跳ね返した、非常に攻めたシングルだったと言える。



