【23年9月30日】
中秋の名月だった月は、早朝犬の散歩に出かける時も、まだ西の空低くに残っていた。白っぽい銀板の月が、かすかにたなびく薄雲の向こうに、人工物かなにかのような姿で浮かんでいて、ひどく印象的だった。今日で、9月も終わる。午後には、本格的に雨が降り出して、そのわりには蒸し暑さが感じられて、あまり秋らしい状態ではなかった。昨日は、「らんまん」が、そして今日は「あまちゃん」が(再放送だったけれど)終了。NHKの朝ドラとしては、どちらもずいぶん楽しめた作品だった。終了したのが、ちょっと残念。
年に一度の俳句のお仕事が、今年も送られてきた。切りよく、10月に入る明日から始めることにした。今年は、どんな作品が送られてきたのか、楽しみである。
中村草田男の全集中、メルヘンと散文関係がまとめられた10巻・11巻を読み進めている。紀行文、身辺随筆、随想、弔意文、俳論等々、多方面にわたる文章が、2冊にまとめられてあり、なかなか面白い。ただ、肝心のメルヘン関係の作品ではなく、論的な文がいまのところ全くないので、困ってしまう(俳人として著名な草田男のメルヘン作品について書くことになっているので)。作品の鑑賞文であるなら、すでに作品自体は読み終えているので書けなくはないけれど、評論的な内容としてまとめるには、材料が少なすぎる。散文の中に点在する使えそうな内容を拾い上げるという作業を進めている。草田男のメルヘン論については、山本健吉をはじめとして、すでに何人かの論者が良い評論を書いているので、その二番煎じ、三番煎じにならないことを思うばかりだ。