■広大な農地の隅を拝借.
 
運用期日:2023年09月23日

運用場所:栃木県塩谷郡塩谷町上寺島地内

運用諸元:50・430MHz帯

使用設備:

 TS-60D+HL-66V+CA52-HB4/6mH(50)

 FT-897DS+HL-726D+A430S15R2/2mH(430)

交 信 数 :190(50SSB80,430FM110)※うちコンテスト60

 

初の塩谷町である.

15県内では比較的珍しいと聞くが,町内に標高1000メートル以上の地域もあり,固定局はともかく移動局は珍しくないのではないか.

先達の報告を参考に運用場所を設定した.

西平岳(標高約1700メートル)の麓の標高900~1100メートル辺りが良いとのこと.

地図で確認すると細いながらも車道が通じており,行き来も心配ない(7月末以降,確実に帰れるかどうか不安になるトラウマを抱えている).

また,当日は「ふるさとコンテスト」が開催され,町村がマルチになるとのことで,これは近隣の町部でロケーションの良い場所で参加するしかない.

とすれば当地しか考えられず(県内では町村が激減しロケーションの良い町部は殆ど残っていない),決定した.

当日は曇天の予報で,前日までの降雨で道路状況に不安はあったが,車両も入らないような奥地でなく概ね舗装道路とのことでともかく行ってみることにする.

当日は最寄りの道の駅で前夜より仮眠を取り9時前に到着.

しかし地図上で想定した位置までは途中の悪路を越えられなく辿り着けず,手前の轍のない農道の入り口を拝借することとした.

標高980メートル余り.1000メートル以上で運用したかったが仕方あるまい.

9時半より50MHz帯でCQ.

ロケの良さでさすがに多数のコールをいただく.

「塩谷町ファースト」の声も少なくない.やはり珍町に属するようだ.

QSOは快調であったが,それまで曇り空だったのが10時を過ぎた頃に小雨になりやがて本降りに.

予報では雨天ではなかった筈だが山の天候は変わりやすい.

 

■西平岳を望む.

 

と,ここでヒヤリハット事案が発生.

現地は前述の通り誰も来なさそうな(勝手な推測であり来ない保証はない)農道と判断して設営したが,運用中に目前に軽トラが停車.

まさかと思い車外に出てみると,どうやらこちらに進入したいご様子.

これは一旦撤去か…と覚悟したが,軽トラのご主人は「そこの八木をどかしてくれればいい」とおっしゃる.

八木?見ればその軽トラにはモービルANT用の基台が取り付けてある.ANTこそないが,見るからに無線屋である.

地上高2メートル程の位置に取り付けた430の15素子が,成る程通行の支障になっている.

当局は車両を農道の中央に堂々と停めていたが,ANTを少し避ければ車両の横の隙間を通れるとおっしゃるのである.

すぐにANTを回転させ避けると,軽トラは岩がゴロゴロする草地に突っ込み,筆者の車を器用に避けて横の農地に入っていった.

そして凸凹した泥の荒れ地で転回し,荷台に載せていた小松菜様の植物の山を掘られた穴に荷台をダンプさせて投棄,再び器用に転回し筆者の横をすり抜けて道路に出て行った.

無線をしているのかと窓越しに尋ねると「以前はやっていたが止めた」とのこと.

そうして軽トラは颯爽と去って行った.

そんな事案もありながらCQを継続する.

コールは快調ながら雨は小降りになったものの止む気配はなく,車外に設置した発電機の雨避けを気にしつつ15時半から遅れてコンテストCQ.

コンテストには初め6mでの参加を予定していたが,コンテストが始まってバンドを聴いてみるとあろうことか声を出している局は皆無で,430での参加に急遽変更した.

その後も6mでコンテストCQを聴いたのは1局のみであった.

いつしか雨は上がり,ナンバー交換も進んで17時半の60QSOを機にQRT.

雨は止んだが日が暮れて周囲が暗くなり始めたためコンテスト終了を待たずに撤収,現地を後にした.

民家は周囲にあるにはあるものの殆どが別荘の様子でこのような時刻に人気などないと思って焦りながら現場を離れたが,車で数分も行かないうちに犬の散歩に遭遇したり沿道の作業小屋には明かりが灯ったりと,そこまで人のいない場所ではないと判り安堵する.

7月以来抱えているトラウマはまだ解消しそうにない.

 

 

■あっと言う間に日は暮れ,人気のない高原.幸いにもこの先に犬の散歩人が.