このところ、小説を読むとしたら遠藤周作にはまっています。
同じく遠藤周作の「王妃マリー・アントワネット」もかなり面白く読めましたので、ご紹介しようと思います。^^
この小説は上下2巻の文庫本のページ数なので、集中すると結構すぐに読めてしまう量かもしれません。
上巻の内容:
美しいブロンドの髪とあどけない瞳を持つ14歳の少女が、オーストリアからフランス皇太子妃として迎えられた。少女はやがて、ヴェルサイユに咲いた華麗な花と呼ばれ、フランス最後の王妃として断頭台に消える運命にある……。フランス革命を背景に、悲劇の王妃の数奇な生涯を、貧しい少女マルグリット、サド侯爵、フェルセン、ミラボーなど多彩な人物を配して綴る、壮大な歴史ロマン。
下巻の内容:
フランス革命によってヴェルサイユ宮殿の栄華は過去のものとなった。貴族たちは財産を奪われ、特権を剥奪され、次々と裁判にかけられる。王と王妃の処刑を要求する民衆の声は、日増しに高くなって行く。激しい愛を胸に秘め、フェルセンは王妃救出を必死に画策するのだが――。苛酷な運命の中、愛と優雅さとを失うまいとする悲劇の王妃の生涯を、円熟の筆に描き出す華麗な歴史絵巻。
こんな感じで、14歳のマリー・アントワネットがフランスに王太子妃としてやって来て、その後ギロチンで処刑されるまでの歴史を架空の人物を交えて物語化した小説です。
Par Georges Cain — Marie-Antoinette d'Autriche, sur le site du musée Carnavalet., Domaine public, Lien
(こちらはパリのカルナヴァレ博物館所蔵の絵画で、マリー・アントワネットがコンシェルジュリー牢獄から処刑場に連れて行かれる様子です)
わたしはこの本を読む前に、安達正勝氏による『 物語 フランス革命 バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書) 』と『 フランス反骨変人列伝 (集英社新書) 』そして『 死刑執行人サンソン――国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書) 』を読んだことがあり、詳細は忘れているものの、なんとなくその世界のことは想像することができたので、より面白く感じたのかもしれません。^^
わたしがこの本を気に行った理由は、王家や貴族の華やかな世界だけでなく、貧しい生活を強いられる架空の人物たちの生き生きとした様子が描かれていて、本書の登場人物全員の数はそれほど多くないので、それぞれの人物がそれぞれの理由でうまくつながっている群像劇(?)のような物語になっているからです。
それに、単なる楽しい読み物でもなく、そこは遠藤周作なので、やっぱりキリスト教的要素もしっかり盛り込まれています。^^
話の構成上、実在の人物の役割を架空の人物が演じていたりするので、全く歴史に忠実というわけでもないみたいですが、物語として読むなら楽しくその世界に入っていけると思います。
Par Jean-Joseph Weerts (1847-1927) — Musée "la piscine", de Roubaix., Domaine public, Lien
(こちらはルーベの美術館ラ・ピシーヌ所蔵の絵画で、シャルロット・コルデによるマラー暗殺の場面です)
Par Château de Breteuil — Travail personnel, CC BY-SA 3.0, Lien
(こちらはマリー・アントワネットを陥れた歴史的な詐欺事件の首飾りのレプリカです)
ところで、こちらの映画は、マリー・アントワネットの朗読係という若い女性が見たヴェルサイユ宮殿が崩壊する様子の激動の三日間のお話だそうで、この架空の朗読係はレア・セドゥ、王妃マリー・アントワネットはダイアン・クルーガー、その親友のポリニャック公爵夫人はヴィルジニー・ルドワイヤンが演じています。
実際にヴェルサイユ宮殿で撮影されたそうですので、この映画予告編だけでも当時の雰囲気が少し想像することができます。^^
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こちらはこの映画の原作Les Adieux à la reineの翻訳ですが、残念ながらまだ電子書籍化されていません。。フランスの文学賞「フェミナ賞」を受賞していますが、このフェミナ賞は外国小説賞を1999年に辻仁成さんが受賞していましたね!
こちらは上記の小説の著者シャンタル・トマによる別の2013年の小説L'Échange des princessesを映画化したものですが、2017年12月公開なので、日本での公開はもう少し後になるのかもしれませんね?
ルイ16世の祖父のルイ15世が少年の時のスペインとの政略結婚のお話なので、直接マリー・アントワネットとは関係がなさそうですが、ルイ15世は、「王妃マリー・アントワネット」にも時々登場するので、いつか機会があれば是非観てみたいと思っています。^^