約束の一時間前についたので、場所だけ確認しようと歩いていた。

有名な場所だが初めて降り立つ。
そこそこ賑わっており、様々なお店が立ち並んでいた。
便利そう、というのが第一印象。隙間に店を詰め込んでいるので見栄えはよくないが、ここにいれば一通りは揃いそうだと感じた。


地図と睨めっこしながら15分くらい歩く。暑い。ものすごく暑い。
頭のてっぺんを触ると鉄板みたいに熱くなっていた。肉が焼けそう。

目的地に着いたため、次は時間つぶしのためのカフェを見つけなくては。
歩き出して見つけたのは坂道だった。
結構急な下りの坂道が目の前に広がっている。
心が高揚するのを感じた。思わず降りてみる。

家やら小さな庭が表れては消えていく。
ヨーロッパのように整頓されてはいないが、人の暮らしを身近に感じられて安心した。
どんどんくだっていく。
なぜこんなに高揚しているのか。
平衡感覚がなくなるから? そんな現実的な答えは求めてない。
どこか違う世界に繋がってそうだから。うん、これにしよう。アリスみたいだなと思った。

しかし私は下りがあるなら上りがあることを忘れていた。
蜃気楼が見えそうなくらい暑い道を登って行く。
アリスはいいよな、下るだけで。よく分からない愚痴をこぼす。

大きな道に出たが、あまりの暑さに湯気が出そうだった。
どこかで休みたい。しかしあるのはビルとたくさんの車だけ。
とぼとぼと歩いていく。今なら1000円のコーヒーを買ってもいい。どこか涼しい場所を提供してくれ。

見えてきたのはスーパーだった。
野菜でも買うのか?と嘲笑する私を頭の中で蹴飛ばして中に入る。
とりあえず涼みたかった。

そして中に天国を見る。

「リラックススペース」

どなたでもご自由におくつろぎください。という言葉に涙が出そうになる。地獄の中で糸を見つけた男の気持ちが分かるような気がした。
でもこの話だと、このあとの選考を落とされることになる。考えるのをやめておく。

150円でアイスカフェオレを頼みソファに座った。
幸せだ。涼しい。きっとこのあとも頑張れる。

少しのことで一喜一憂できる自分。
呆れる部分も多いが、そんな自分がなんだかんだ好きだ。