東北地方を回っていて実感することは、土地が有り余っているということだ。
また、人手も有り余り過ぎている。至るところに低賃金労働者が溢れている。
このように、東北地方が国内平均と比べて貧しい理由は色々と考えられるが、
理由の一つとして「円高 」が挙げられるだろう。
域内の経済成長というのは、大抵の場合、
第1次産業 (農林水産) → 第2次産業 (鉱工業) → 第3次産業 (小売サービス)
といった具合に進展していくのが一般的である。
だが、例として東北一の経済を誇る仙台経済圏 を眺めてみると、
他の都市圏と比べて第2次産業が経済全体に占める割合 が極端に小さい。
これは、「支店経済 」という仙台経済圏の特徴のみならず、
東海道 地域やアジア圏から離れているという地理的条件により、
戦後以降における工業化の波から置いていかれたことに由来している。
まず、高度成長期における工業地帯と言えば、やはり東海道ベルト地帯 である。
その後、東海道ベルト地帯は第3次産業を中心とする傾向が顕著となり、
また人件費の高騰などの問題から、企業は石炭産業が衰退した九州地方に進出した。
特に九州地方は、アジアやオセアニアに比較的近いという地理的条件もあり、
生産品の海外輸出に好都合であった。
時を同じくして、東北道を中心軸として北関東・福島南部(白河 - いわき 周辺)にまで
日本の大工業地帯は拡張されていった。
そして、ついに東北や北海道の中心地へ工業地帯が伸張しつつあった頃、
バブル景気が見事なまでに崩壊し、工業地帯の拡大圧力は減退していった。
しかし、2000年代前半に輸出産業が好調 の兆しを見せ始めたため、
少しずつではあったが、再び東北地方への企業立地が進みつつあった。
また、やや円安の傾向 もあったため、企業は工場の国内立地に意欲的でもあった。
しかし、その勢いもリーマン・ショック によって終焉を迎えることになる。
更に、ユーロの信用不安や米国経済の不安定さを嫌気した投資家たちが
円買いの動きを強め始めたことから、円高が恒常化し始めた。
恒常的な円高により、国内企業は海外進出する以外の選択肢を失った。
こうして、多くの土地と人手が有り余った東北・北海道が
無残にも放置される構図が出来上がったのである。
そこで、上に述べた問題を解決する手段として、あえて暴論を唱えてみたい。
それは、東北・北海道限定に流通する新たな通貨の発行、
すなわち「北日本円(仮称)」の提案だ。
北日本円(仮称)は、「北日本中央銀行」(旧・日本銀行仙台支店 )より発行される通貨であり、
東北・北海道地域における経済力をより正確に反映するため、
一般的な日本円よりも確実に安くなるはずだ。
(※適当な概算だが、日本円に換算すると、対ドルレート 120 円前後ではないだろうか)
というより、東北・北海道の経済力からすれば、
最適通貨圏 を外れるとまでは言わないにしても、日本円は高過ぎる。
だから、企業立地に適した広大な土地や比較的安価な労働力が無駄になり、
また若者が都心部へ流出することによって地域が荒廃し、
挙句の果てに限界集落 だらけになってしまうのだ。
もし日本円と比較して安価な「北日本円(仮称)」が発行されれば、
企業はリスクが高い海外よりも、同じ国内の東北・北海道に進出することを望むだろうし、
企業立地によって有閑地の多くが解消されれば、地域に雇用が生まれることは間違いない。
当然、若者には「地域に留まる」という選択肢が与えられ、
老人だらけだった寒村にも新生児の産声が盛んに聞こえ始めるわけだ。
しかし、「北日本円(仮称)」は米ドルに対して安いため、
輸入品が比較的割高になるという短所もある。
しかし、少なくとも食料品に限って言えば、東北・北海道は全国有数の生産地であり、
域内経済で十分やっていける。その上、生産品への需要が高まるため、
域内農業に対する間接的な支援効果も見込めるだろう。
ただし、海外旅行に関しては、ちょっと我慢してもらうしかないが 笑
しかし、いつまで「北日本円(仮称)」は発行され続けるべきだろうか。
かなり極端な形の道州制 が施行され、域内が半ば独立国家のようになった場合を例外とすれば、
将来的な出口戦略として「対ドル為替レートが日本円と同水準」になった頃を区切りとして
「北日本円(仮称)」を日本円と同等のものとみなし、通貨発行を終了すれば良いだろう。
ただし、個人的には、東北・北海道が「北日本連邦」となって独立する日を夢見ている
…なんてことを書くと警察庁に「分離独立派・反乱分子」扱いされるかもしれないので、
オフレコでお願いします。