真向かいに座っている同僚が、いかに面白いマンガであるか、顔を真っ赤にして力説してくれたので、次の日さっそく買い求めて読みました。
『テルマエ・ロマエ』は、「マンガ大賞2010」と「第14回 手塚治虫文化賞」のW受賞をした、ヤマザキマリ氏の作品です。
古代ローマの浴場設計技師ルシウスという男性が、現代の日本の温泉やら、お風呂やら、湯治場にタイムスリップしてしまうお話です。
ルシウスは、カルチャーショックを受けつつも、日本の優れた入浴文化に感銘を受け、再び舞い戻った古代ローマ(ロマエ)世界に、次々と斬新な浴場(テルマエ)を建設してゆくことになります。
ルシウスが生きた時代は、まさしく「パクス・ロマーナ」の時代。
「パクス・ロマーナ」は「ローマの平和」と訳します。
ローマの領土は最大となり、強い軍事力に守られた帝国内の治安は安定し、多くの植民都市にもローマ風の建築物が次々と建てられたこの時代。
インド洋の季節風・モンスーン貿易に支えられ、交易圏は大きく広がります。たくさんの貴金属・香辛料・絹・美味しいものがローマに運ばれます。つまり、ローマには当時の「世界中」の素晴らしいものが集められたわけですね。
しかも、帝国はラテン語の普及に努めたので、ローマ市民は、ギリシャ語かラテン語か、どっちかの言葉だけで、不自由しないで広い領土を旅することができたようです。
こういう、ローマ市民にとってはくらしやすい「良い世界」は、奴隷制によって支えられていたんです。
↑↑↑とこのような世界背景を知って読むと、ルシウスがよほど悔しい思いをかみしめたであろうことが想像されます。
ルシウスは、出会った日本人を奴隷と思いこむんです。そして「平たい顔族」と呼び、「こんなやつらにローマの進んだ文明が敵わないなんて![]()
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」とショックを受けるんですね。
しかも、はしばしに「ラテン語もしゃべることができないのか」とか「感化せしめる立場にある我々ローマ人」なんていう感じで、常に上から目線のルシウスです。
にもかかわらず、なんて素晴らしいこの入浴文化!!!!ってな感じで、感動せずにはいられない、学ばなければなるまい、余すところなく!!という執念めいた思いをあらわさずにはおれん、職人魂が、何とも愉快なんです。
日本の技術を学んで作ったローマ時代のそれは、多くの人々に受け入れられ愛されます。でも、「パクリ」っぽくていやん
という、こんなことしちゃってちょっと後ろめたい感じ、というルシウスが愛おしく見えてくる、おもろい作品でした。
