【個人としての意見であれば、党外でも発信して良い緩さがほしい】
規約5条5項ではこのように書かれています。
第五条 党員の権利と義務は、つぎのとおりである。
(五) 党の諸決定を自覚的に実行する。決定に同意できない場合は、自分の意見を保留することができる。その場合も、その決定を実行する。党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない。
「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない。」の「決定」とは何でしょうか?
党員である以上、自分で認めた綱領や規約、全国的な討議を経て決められた大会決定などは守る必要があるという点は基本的には問題ないかと思います。
一方で、松竹氏の過去ブログを読むと、兵庫で除籍になった元党員の方の話が書かれていました。曰く、留保した意見をどこかで個人の見解として明らかにした場合、民主集中制に反していて処分の対象になる、というのが地区委員会の見解だったそうです。
これをそのまま当てはめると、中国研究者の学者の党員が自分の見解を学会誌で公表するのも処分の対象になりますよね。しかも、党の中国共産党に対する評価も変わっているので、それに合わせて変えなければダメということになってしまいます。事実上、学問研究の自由はなくなるし、学者であることと両立できません。
よく、「日本共産党の党員は、全員が中央委員会など機関と同じことを言っている」などと言われがちです。これは、外部から見て、入党したいという魅力を感じてもらいにくいのではないでしょうか。
党見解と異なっていても個人としての意見と断れば問題ないような適度な「緩さ」があった方が良いのではと思います。
(もちろん、党の機密情報や、個人情報を公に晒すことはNGでしょう。)
時代背景としても、規約が最後に改定された2000年当時と違い、情報化社会になっています。党は未だにかなりの紙文化ですが、スマホをタップするだけで世界中に発信される時代であり、ルールとして既に形骸化しつつもあります。ここも次回の党大会で見直すべきところと考えます。
実際、地方議員のTwitterなどを見ると、党の公式見解とは異なる意見を述べている方がちらほらいらっしゃいます。今回の除名処分に対して抗議や、控え目に言っても疑問のツイートをしている議員もいます。
確かに党幹部にしてみれば、例えば常任幹部会で何かを決定する、そのあとに党員がいちいち異論を出してくるのは、正直面倒でしょう。難しい問題を最高幹部が熟慮して決定したのだから文句を言うな、という気持ちにもなります。
しかし、そこに落とし穴があります。異論を持つ党員によく投げられる言葉に、「党はサロンではない。いつまでも議論するのではなく、決定を実践しろ」と言うものがあります(青年分野ではほぼ聞かないが)。中には対応するに値しない水準の意見や、明らかな誹謗中傷、そもそも日本語として意味が通じないものだってある程度は出てくるでしょう。そういったものはスルーして良いと思いますが、しかし、異論を受け付けないというのでは、自らも入って活動したいと思える政党として受け入れられにくいのではないでしょうか。