【除名を撤回し、問題整理を行うことが必要】
党内で一度も意見を出すことなく、出版をし、記者会見まで開いて大々的にメディアも巻き込む松竹氏の手法は、規約を尊重した方法とは思えません。混乱を招くことはかなりのレベルで予見できたでしょうし、この点では党に理があると考えます。処分を行うこと自体には賛成です。
しかし、除名とその説明の一連の流れは失敗でした。
ある有名専従は、「松竹氏の規約違反は社則を破ったのと同じ。だから除名は当然」という趣旨の投稿をしていました。不当な扱いに苦しんでいる労働者もいると思いますし、ケースバイケースでしょう。具体的にどの程度の違反なのか?何回注意したのか?という説明がなければ、それはタダの不当解雇と思われても仕方ないように思います。
共産党内部のルールと運用が特異な例ではないことを示すために民間企業の例を出すことは良いと思いますが、だから一概に問題ないといえるかというとそうではありません。常に組織のあり方を自己検討しなければならない政党にあって、企業のルールと変わらないというのは、水準の低い議論だと言わざるを得ません。
私は、学生時代に松竹氏の著作を読んで琴線が触れ、もともと9条護憲派ではないという点はありますが、松竹氏をなんとしても擁護したいから今回の処分に異論を言っているわけではありません。規約の運用が粗雑で、物事を整理せず感情的に行っているようにしか見えないことが、内外に不信感を抱かせているのではないか?というのが問題意識です。
個々の党員が「こういう事情があるから彼は除名になっても当然だ/仕方ないのだ」と内に閉じた理解で納得するのは構いません。しかし、粗雑な運用を許すことは党組織の未来を明るくするものではありません。党組織の問題は恒常的な問題ですから、「統一地方選が近づいているのだし、このような問題に時間をとるべきではない」というものではないと思います。
なお、規約の不明瞭かつ一貫性に欠ける運用は、今回が初めてではないことが伏線としてありました。最近の事例でいえば、件の草加市議団の問題の際、埼玉の東部南地区委員会は、「党規約は、会議の場以外の意見は認めていない」と述べています。
この解釈によれば、中央委員会に対して意見と質問のメールを送ることすらも規約違反ということになり、5条の解釈として全くあり得ないものです。
このように、いったん立ち止まって整理・改善すべき問題が多いのではないでしょうか?
私は、長年にわたって党を引っ張ってきた党幹部の努力には敬意を表したいと思います。特に野党共闘については何度心を砕かれたことだろうと思います。
しかし今回の一連の対応は、それを打ち消してしまうほどに冷静さを失ったものでした。今からでも除名を撤回し、党内議論をする姿勢を示すべきです。