12/14(木) ③ 過去の今日のドラマ作品だヨ(=^◇^=) | J.BO∅WYの気になる過去の今日の出来事だヨ(=^◇^=)

J.BO∅WYの気になる過去の今日の出来事だヨ(=^◇^=)

過去の今日、『太陽にほえろ!』のどのエピソードが放送されたかを後悔なく公開するブログでしたが、
2023(令和五)年2月2日(木)曜日に突然、きまぐれに気が変わってしまい変更しました土佐ヨ(=^◇^=) 
いうことでどうか④⑥③⑨お願いしますm(__)m(__)m

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 ┃『太陽にほえろ!』放映リスト┃
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 日本テレビ系列/金曜日 夜8:00~8:54
 七曲署捜査記録~ジーパン編 全59話+1話
‡22 074.1973.12.14 ひとりぼっちの演奏会 佐藤仁哉
【出演者】石原裕次郎、松田優作、関根恵子、露口茂、竜雷太、小野寺昭、下川辰平、青木英美、佐藤仁哉、山本廉、加藤茂雄、北川陽一郎、剣崎龍次、岩田博行、広田正光、相馬優子、渡部雄二、成瀬昌彦【監督】石田勝心【脚本】長野洋【音楽】大野克夫(音楽)、井上尭之バンド(演奏)【原作】魔久平
【あらすじ&ジーパン心の叫び】部屋に転がっている注射器-ジョーというバンドマンは麻薬でショック死をしたのか?彼はダーティー・エンジェルというジャズバンドのリーダーだった。彼の死体を発見したのは彼の身の回りの世話をしていたバンドボーイの川合タカオ(佐藤仁哉)という男であった。彼の事情聴取をしたのはシンコだったが最初は婦人記者に間違われる。そんな中でジーパンに茶化されながらも女刑事の意地で取り調べるシンコ。タカオは渋々ながらも深夜スナックのアルバイトが終わって、合い鍵で部屋にはいるとジョーが死んでいたと語る。七曲署の面々はバンドのメンバーに裏を取るがビッグ・ジョーの評判は至って良くなかった。そんな最中、シンコはボスから少年係の経験から引き続きタカオの捜査を頼まれる。だがその折りにタカオは自宅で数人の男に袋叩きに遭う。どうもそれにはジョーの麻薬が絡んでいるらしかった。その後、ジョーの死体から20gという多量の麻薬が検出される。麻薬常習者のジョーから考えるとこれは明らかに殺しであるとボスは断定した。一方、シンコは人間として信じたいタカオの捜査に必要以上にのめり込んでいた。タカオを黙って見つめていたジャズ喫茶でジーパンに非難されるのも厭わずに。実はタカオにはビッグ・ジョーの追悼コンサートでドラムを叩くことが決まっていた。"ドラムが恋人"の彼は漸くチャンスが巡ってきたと喜んでいる。そして、シンコの親身の接触によって彼は次第に心を開き始めた。声色を使ってアルバイトの時間をずらしてまでも彼女と話そうとした。シンコはそんなタカオから事件当夜、死亡推定時刻の1時前後、彼宛にジョーからアルバイト先の「テアトロ」に電話が掛かってきたことを聞く。その上、タカオから偶然に彼女は店のマッチをもらう。この証言の裏はそこのマスターにより証明されるがシンコはジーパンが来た時のタカオの豹変が、そしてジョーの死因を殺しと拘ったことに疑問を感じる。悩み抜いた彼女は遂にタカオの特徴である声色と彼からもらったマッチによって、事件の真実にたどり着く。逃げ場をなくした彼はオートバイを盗み、逃走する。シンコは彼を追跡し、川縁に追い詰めるがタカオは夢であったドラムを叩く「追悼コンサートまで待ってくれ」と懇願する。その言葉に戸惑い立ち竦み、タカオを逃がしてしまったシンコにヤマさんは刑事の心構えを告げる。そんな放心状態の彼女にタカオはもう一度「一人だけであって欲しい」と電話で告げる。迷った末、シンコが選択したのは刑事としての立場であった...。
 ジーパン心の叫び 「どういうつもりなんだ。あんた、女だということを利用して、ヤツを丸め込むつもりか」「やだね、俺はそんな考え方する女、嫌いだ」「ここで待ってるよ。アイツ、きっとシンコに聞いてもらいたいと思っているよ」「せめて、この演奏が終わるまで...」
 http://yusaku.from.tv/t74.html
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 第074話 ひとりぼっちの演奏会
 脚本/長野洋 監督/石田勝心
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 あるアパートの一室のベッドの上で男性が死亡した状態で発見される。現場脇には注射器が落ちてあり、被害者の男性は麻薬の常習者だったことから、投与する量を間違えたのではないかと疑われる。しかし寧ろ麻薬の常習者だからこそ間違えることはあり得ないのではないかと告げる。被害者はダーティエンジェルスというロックバンドのリーダーのジョーだと判明する。管理人によると最初に見つけたのはアソコで座っている同じバンドのメンバーの仲間だという。シンコはその男性に声を掛ける。男(川合タカオ)はシンコの姿を見て記者なのかと問うが、私は刑事だと語る。シンコが刑事の筈は無いとして信用しない男。名前は何かと問うがまるで話そうともしなかった。ボスは今の所過失での死の線が強いが、麻薬の出所を調べる必要はあるという。ダーティエンジェルスのメンバーであるトランペットのサム、ベースのゴローやエムなどから話を聞いて欲しいとしてゴリと長さんに頼む。シンコはなんとか発見者から情報を聞き出そうとする。名前は川合タカオで、新宿区大久保のみどり荘に住んでいるという。ジーパンはシンコの取り調べが甘いとしてタカコに力尽くで口を割らせようとするが、この子は私が取り調べを引き受けたのだとしてシンコは語る。話を聞くと前の晩にはジョーが相当酔っぱらっていたことを告げタカオが毎回送り迎えをしていたのだという。タカオによるとジョーの事をベッドで寝かせた後、自分はバイト先である深夜スナック"テアトロ"で働きに行っていたとのことだった。ゴリはボスからの要請でバンド関係者から話を聞く。アイツはヤクを使うと良い音色を出せると馬鹿な事を信じていたこと。昔は確かに良いプレーヤーだったが麻薬をするようになってからダメになったこと。最近は女性のようにヒステリーになったりしていたとし、嫌な野郎だったという。辞めたらただじゃおかないと脅されたとし、ホントにヤクザと付き合っていた様だとの供述を得る。ジョーの事は腰巾着だったタオカが一番知っているのではないかというものだった。話を聞いたゴリはボスに報告に行くと、嫌われているよりも寧ろ憎まれていたようだと告げ、全員に殺しの容疑があるとのこと。しかし麻薬の件も含めて一番情報に精通しているのはタカオで間違いないという。ボスはシンコに対して少年課だった頃の経験を活かしてタカオから話を聞き出すよう告げる。アシスタントにはジーパンをつけるというと、ジーパンはなんで俺がシンコなんかのアシスタントなんだとして文句を言うが、仕方なく一緒について行く事になる。今日はあなたは私のアシスタントなのだから余計なことはしないでというシンコ。いざタカオが住むミドリ荘につくと、アパート内から争う音が聞こえる。ジーパンは急いで室内に飛び込むと、三人のヤクザがタカオの事をボコボコにしていた。ジーパンら刑事が来た事を知ると三人のヤクザはアパートから逃げ出す中、ジーパンはそれを追いかけるとシンコがタカオの顔の傷を手当てする。持っていたハンカチで止血する。タカオはシンコに対して彼らはジョーの部屋に麻薬があるハズだとして襲って来たとし自分が盗み取ったであろうことを言っていたという。しかし自分はタカオが麻薬をしていたこと自体は気が付いていたが、入手先などに関しては相当ジョーは気を遣っていたので知らないのだという。疑っているのであれば俺を警察署に連れて行って調べれば良いだろうとし、ウソは付いていないと語ると、シンコは信じるわと告げる。遺体の検死結果、血中に麻薬が20gも含まれており、こんな量を撃つはずはないとして、殺しで間違いないだろうという。渋谷病院でタカオの手当をしに行くシンコ。そんな中シンコのポケベルにボスから連絡が入る。すぐに署に電話すると、シンコはこれまでの経緯をボスに報告。現在の所タカオがジョーを殺した可能性が高いことを聞かされ、暫くは彼の元から離れないよう告げる。
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 アパートの一室で亡くなったバンドメンバーの一人ジョーの死因を巡って、麻薬で亡くなったことは明らかだったが、常習者にしては、ドラッグの分量が不自然だと感じ、ジョーのことをマネージャーのようにして面倒を見ていたタカオから話を聞いていく。シンコがメインである今回のエピソード。シンコが容疑者に寄り添うことで、友達のような関係になり、普通の人には話さないような内容を語らせるというもの。人にはそれぞれの取り調べの方法があるということで、シンコは女性としての武器を使うという方法論を取ろうとしていた。その件に関してジーパンは反対する姿が有ったけど、シンコの方法は女性の武器というよりも親身になって話を聞いたというところが強いのかも。まぁ疑似的な恋愛を体験させたような感覚に陥らせて喋りやすくはするのだろうけど。アリバイのトリックは面白いものがあったかな。長所だとしたことが結果的に短所となってしまった。マッチをプレゼントしたことも犯人に取っては不利に働いてしまった格好で、店の外にある公衆電話から自分で店に電話をその電話を取りに行くというところは上手かったかな。今時だと携帯電話のトリックとなるので、被害者の携帯電話を持って来て自分の携帯に着信履歴を残して置くだけで簡単にアリバイトリックにはなるな。シンコが一日中行動を起こすことで、彼がジョーによってどれだけ不利益を被っていることが明らかにされた。タカオはジョーのせいでドラムをたたけず、移籍も出来ない状況であること。ドラムにかけている思いというものも聞かされ、みんなの前で自分のドラムを披露して、観客を魅了するのが夢だという。最後のカーチェイスの後、コンサートでドラムの演奏をするまで待って欲しいとしたけど、観衆はシンコ一人だった。タカオはシンコが裏切ったと思っている様だけど、シンコなりに最大限の配慮を見せた格好であり、その辺のシンコのささやかな努力が伝わっていないところが切ないね。山さんからは「殺されたヤツがどんなに嫌なヤツでも、殺したヤツがどんなに可愛そうでも逮捕しないといけなのでデカの仕事だ」と言われていた。最後にはジーパンからはシンコの行動に対して「刑事としては正しかったが、二人の間では裏切ってしまった」ことだという。「ホシを挙げれば何をしてもいい訳じゃない」としながらも永井人生には色んなことが有るとして、俺のアシスタントになって修行しろと語っていた。その台詞を聞いていたボスとか山さんが微妙な顔をしていたのが笑えたね。
 藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署のボス、係長)
 山村精一 …… 露口茂 (山さん)
 石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
 島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
 野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
 早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
 内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
 柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)
 永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
 柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)
 西山隆行 …… 平田昭彦 (署長)
 川合タカオ …… 佐藤仁哉 (ドラム)
 須田一郎 …… 成瀬昌彦 (ジャズミージシャン)
 山本廉
 加藤茂雄
 鑑識 …… 北川陽一郎
 剣崎龍次、岩田博行、広田正光、相馬優子、渡部雄二
 http://itawind.web.fc2.com/1970/taiyou/taiyounihoero074.htm
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 第74話「ひとりぼっちの演奏会」(1973.12.14  脚本・長野洋 監督・石田勝心)
 佐藤利明(娯楽映画研究家・オトナの歌謡曲プロデューサー)の娯楽映画研究所
 2021(令和三)年03月06日(土) 15:33 この原稿は、事件の核心、物語の展開について詳述しております。ネタバレ部分もありますのでご注意ください。
 永井久美(青木英美)川合隆夫(佐藤仁哉)「テアトロ」マスター(山本廉)マンション管理人(加藤茂雄)高田鑑識員(北川陽一郎)剣崎龍次 岩田博行「ダーティーエンジェルス」メンバー(広田正光、相馬優子、渡部雄二)須田一郎(成瀬昌彦)
 予告編「俺、一度でいいから、大勢のお客の前でドラムを叩いてみたいんだ!」「次回「太陽にほえろ!」「ひとりぼっちの演奏会」にご期待ください。
 第48話「影への挑戦」以来、久しぶりの内田伸子(関根恵子)主演エピソード。今回は麻薬常習者のジャズ・ドラマーが急死。最初は過失と思われたが、バンドボーイの隆夫(佐藤仁哉)が犯行に関わっている可能性が出てくる。少年係出身のシンコがボスの名を受けて、その若者に接近する。ジーパンとシンコの淡い恋愛感情が描かれ、ジーパンが嫉妬したり。微笑ましい場面が展開される。クライマックスに登場するライブハウスは「渋谷ジァンジァン」。渋谷公園通りの東京山手教会の地下に、1969年オープンしたミニシアター。淡谷のり子さんのライブ、イッセー尾形さんの一人芝居、永六輔さんプロデュース公演など、渋谷のサブカルチャーの発信の場だった。川合隆夫を演じた佐藤仁哉さんは、高校在学中に内藤洋子さん、吉沢京子さんの『バツグン女子高生 16才は感じちゃう』(1970年)でデビュー。「正義のシンボル コンドールマン」(NET)では主演を果たした。山口和彦監督の東映『サーキットの狼』(1977年)がきっかけで、プロレーサーとなる。「太陽にほえろ!」では第15話「拳銃とトランペット」から第675話「死にゆく女のために』(1985年)、PART2の第4話「俺は殺された」(1986年)まで9作品で出演している。麻薬中毒でショック死をした若者の検死をしている。麻薬の常用者が量を間違えるのはおかしいとジーパン。しかし高田鑑識員(北川陽一郎)は「それは私にはなんとも言えませんが、しかし、より刺激を求めるために量を増やすってことはよくあることですから」。マンションの管理人(加藤茂雄)によれば、亡くなったのは「ダーティ・エンジェルス」というロックバンドのリーダーでドラムのジョーだった。第一発見者は管理人ではなく、バンドのわかい衆だった。ダイニングにいるそのバンドボーイの川合隆夫(佐藤仁哉)にシンコが事情を聞こうとすると、新聞か週刊誌の婦人記者と間違えられてしまう。少しムキになるシンコ。「私は刑事です」「まさか?」「いいから名前を言いなさい!」捜査第一係。ボスが電話で山さん報告を受けている。麻薬の常習者による過失死という線で、クスリの出所を調べることに。バンドメンバーは、ペット吹きのサム、ベースのゴロー、レミ(相馬優子)の3名。ゴリさんと殿下が事情を聞きに出かける。一方、ジョーのマンションでは、シンコが川合隆夫から事情を聞くのに四苦八苦している。それを山さん、ジーパン、ゴリさんが面白そうにみている。名前を聞くのにも「3本川の川に、逢引きの相・・・」「逢引き?」とシンコ。住所は「新宿区西大久保2?3?8みどり荘」「みどりは漢字?それともひらがな?」だんだんイライラしてくる隆夫。ムキになるシンコ。みかねたジーパン「おい、もうちょっと静かにやれよ。怒鳴りゃいいってもんじゃないんだよ」。隆夫「なんだよお前?」「お前とはなんだよ!」と怒り出すジーパン。「社長シリーズ」のチーフ助監督だった石田勝心監督らしい、笑いに溢れた滑り出し。結局、シンコとジーパンが大声で喧嘩を始める。一係。長さんがボスに報告。被害者、いや亡くなったホトケは、前夜、相当酒に酔って、バンドボーイの隆夫に担ぎ込まれて帰ってきた。ボスが「高尾ってのは?」。シンコが応えようとすると、ジーパンが先に、隆夫の説明を始める。送り迎えは隆夫の仕事だったと。面白くないシンコ。管理人は「大きな声でジョーが歌っているのを聞いて目が覚めたそうです」と、シンコがジーパンを制して早口で説明。ボス「それで?」。ジーパンとシンコ、同時に喋り出すと、山さんが「あとは隆夫の話ですがね・・・」と割って入る。これもコメディの常套手段。隆夫はジョーをベッドに寝かして、アルバイト先の深夜スナックに出かけたという。ボスが「部屋を出る時、鍵はどうした?」。またシンコとジーパンが言いかけると、山さん「隆夫が合鍵を持っています」。「社長シリーズ」の朝の会議での三木のり平さん、小林桂樹さん、加東大介さんのシーンみたい。今朝も隆夫が迎えに行って返事がないので中に入ったらジョーが死んでいた。ゴリさんと殿下が帰ってくる。サムもゴローもリサも、ジョーに関しての評判は悪い。ヤクを打つようになってからは、プレイヤーとしてダメになったね、と亡くなったリーダーに対して冷たい態度だった。隆夫に暴力は振るうし、実際に暴力団との付き合いもあった。ピアニストは「隆夫なら腰巾着だったから知ってるんじゃないの?」。口にこそ出さないが、メンバー全員、ジョーが死んで良かったという顔をしている、とゴリさん。「嫌われていたっていうより、むしろ、憎まれていたって方がぴったりですね」と殿下。
「すると全員が殺しの動機を持っている?」とボス。殺人事件と思っている。とにかくジョーに詳しいのは、バンドボーイの隆夫。ボスは「おい、シンコ、元少年係のキャリアを生かしてみるか?」。嬉しそうなシンコ。そして「おい、ジーパン、お前、アシスタントでついていけ」。喧嘩ばかりの二人、果たして無事コンビが務まるのか。石田監督の演出はあくまでもコメディタッチ。ジーパンの乱暴は運転に呆れるシンコ。BGMもユーモラス。隆夫のアパート「みどり荘」。隆夫がいきなりヤクザにボコボコにされている。冬の午後の優しい日差しのなか、シンコとジーパンも到着。「いいわね、今日のあなたはアシスタントなんですからね」とシンコ。ジーパン、大いにクサる。「知らねえたら、知らねえんだよ」「野郎、しらばっくれるのか!」。隆夫とヤクザの声がする。ジーパンとシンコ、2階の部屋に駆け上がる。「お前ら、何やってんだ」「刑事さん!」。そこでジーパン、久々の大暴れ! 外へ逃げるヤクザたちお追いかけるジーパン。シンコは隆夫の部屋へ。隆夫は殴られて血だらけ。介抱するシンコに「ほっといてくれよ」「いいからいうこと聞きなさい」。一方、ジーパンは、屈強なヤクザ三人を一人でボコボコにする。
「どうしてこんなことになっちゃったの?」。シンコの質問に隆夫は「麻薬のせいさ」。ヤクザたちはジョーの部屋に残っていた麻薬を、隆夫が盗んだのではないかと、押しかけてきたのだ。シンコの「知ってるの?麻薬をどこから手に入れたか?」の質問に、隆夫は「知らない」。ジョーが麻薬を打っていたのは知っていたが、用心深いので決して入手経路も、どこに隠しているかも知られないようにしていた。信じられないなら、警察に連れて行って拷問でもなんでもしたらいいじゃないかと隆夫。シンコはその目を見つめて「嘘じゃないわね。信じるわ」と微笑む。さすが元少年係! 隆夫を手当てしてあげるシンコ。次第に二人に信頼関係が芽生える。そこへジーパン、チンピラを逮捕してきて、二人の睦まじさに少し嫉妬する。「医者に見せた方がいいんじゃないの?」一係。ジョーの死体から検出された麻薬はなんと20グラム。「これならどんな奴だって、一発で参っちまうよ」とゴリさん。どんなに酔っていても乗用者がこんな間違いをするはずがないと山さん。ボスは「明らかに殺しだ」と断定する。ボスのアップの次のカットが「渋谷病院」(笑)「大都会PART2」で裕次郎さんがここの医師になるのは4年後のこと。治療を終えた隆夫につきそうシンコ。姉と妹のような感じである。「さっき、お医者さんの前でベソかいていたくせに」「どうも、刑事さんっていうのはピンとこないな。内田さん、シンコちゃん」「馴れ馴れしいわよ」「じゃ、シンコさん」。隆夫はシンコが手当をしてくれた時のハンカチを出して「これくれる?」。和やかに話す二人。シンコは七曲署で、事情聴取の続きをしたいので隆夫を誘うが「病院より怖いよ」と断られる。ちょうどその時ペイジャー(ポケベルの前身)がなりシンコは近くの電話へ。ボスによればジョー殺しで、一番の容疑者は隆夫。ジーパンを送るから隆夫と一緒にいてくれ。しかしシンコはそれを信じることができない。ぼうっとしている間に、隆夫はどこかへ消えてしまう。ボス「渋谷病院あたりで、隆夫が消えた」「アパート行ってきます」とジーパン。裕次郎さんと優作さんんと渋谷病院。やっぱり「大都会PART2」を連想してしまう!渋谷病院の近く、隆夫を探し回るシンコ。ジーパンは隆夫のアパート「みどり荘」へクルマを飛ばす。しかし隆夫は帰ってきていない。渋谷・宇田川町、シンコが隆夫を探していると、電信柱に「ダーティ・エンジェルス コンサートNo.5」のスターが貼ってある。「ビッグジョー追悼コンサート」とステ貼りしてある。
 12月14日(金)7:00 渋谷ジァンジァンと書いてある。渋谷ジァンジァンは、教会の下にあったライブハウス。渋谷のサブカルチャーの拠点として1990年代まであった。ジァンジァンの地下に降りる階段で、係員に話を聞くシンコ。この階段、よく並んだなぁ。懐かしい。一方、ジーパンは「みどり荘」の近辺で主婦から聞き込みをしている。やがてシンコは、ジャス喫茶DUGへ。バンドボーイの隆夫はそこにいた。管理人(加藤茂雄)はロックと言っていたが、ダーティ・エンジェルスはフリージャズ。やはり、そこへジーパンもやってくる。シンコ「よく、ここがわかったわね」「刑事だからね」とジーパン。「いつまで見ているつもりだ」と立ち上がるジーパン。シンコは「確証があるの?彼がやったという」と隆夫を庇う。「そんなものがあれば、入ってくるなり、捕まえているよ」「どうするの?」。困ったジーパンは、何かきっかけを作って口を割らせるか、証拠を掴むか、と曖昧な返事。シンコは「だったら私、ひとりにして。ひとりなら聞き出しやすいわ」。口を割らせるなら俺の方がというジーパンに、シンコは「だめよ。あなた男でしょ」「どういう意味だ?シンコ、お前、どういうつもりなんだ」。女を武器にして隆夫を丸め込むつもりなのか?とジーパン。
「私は刑事よ。容疑者や参考人の口を割らせるのに、みんなそれぞれのやり方があるわ。山さんには山さんの、ゴリさんにはゴリさんの、あなたにはあなたのやり方が・・・私は私の方法でやってみるだけよ」早くひとりにさせてほしいというシンコに、ジーパンは「嫌だね。俺はそんな考え方をする女は嫌いだね」と言って立ち去る。ジーパン、シンコのことが好きで心配なんだね。DUGの店内。シンコが隆夫に親しげに話しかける。「麻薬を守っている奴から、君を守れって命令されたのよ」「そうか」安心する隆夫。そこへ須田一郎(成瀬昌彦)が「よお」と声をかけてくる。ジョーの追悼コンサートのことを聞く須田。「ドラムはお前が叩くんだろう?」。満更でもない隆夫。嬉しくてしょうがないようだ。伝説的プレイヤーの須田は、隆夫を引き抜こうと思っていたが、ジョーが死んでしまい、隆夫が後釜になるなら、それも叶わないと嘆く。「お前にもやっとチャンスが回ってきたんだ。頑張れよ」。シンコは隆夫のチャンスを祝福する。「頑張ってね。あたし、必ず聞きに行くから」。シンコ、それじゃ隆夫は惚れてしまうぞ!公園。シンコと隆夫が会う。デートみたいな雰囲気。「俺たち恋人同士に見えるかな?」「恋人?」「厚かましいかな? でも友達かな?」うなづくシンコ。「自分が女だということを利用して、奴を丸め込むつもりなのか?」ジーパンの声がリフレインされる。ペイジャーが鳴る。「忘れたよ。あんた刑事だったんだ」。シンコ、ペイジャーを切って「もうこれで鳴らないわ」。ジーパン、シンコと隆夫のデートを陰から見張っている。隆夫のマッチに目を留めるシンコ。黒いマッチ棒が珍しかったのだ。隆夫はシンコにそのマッチをあげる。「使い道ないもん」とバッグにしまう。あくまでもシンコは、麻薬のことで隆夫に近づく悪い奴を見張っている。つまりボディガードであることを強調する。「女じゃ頼りねえなぁ」「もしゃもしゃ頭のひょろっとした男より、あたしの方が頼りになるわよ」。ジーパンの話題になる。ベンチの二人。隆夫は自分の恋人はドラムだと胸を張る。辛いことがあってもドラムを叩いていれば平気。「随分辛いことがあったのね」「ええ」。ジョーへの恨みをそれとなく確かめるが隆夫は「済んじまったことさ」と口を閉ざす。隆夫は近所の赤電話からバイト先の「テアトロ」に、隆夫の友人を装って2時間遅れると電話をする。「声色なんか使っちゃって」「俺、人真似が得意なんだ」。笑二人。その様子をじっと見ているジーパン。少し嫉妬している。それに気づいた隆夫ショック。
「俺がジョーを殺したんじゃないかって疑っていたんだろ?」
「確かにあなたは疑われているわ。ただね、私はあなたが犯人じゃないって信じたいの」シンコが隆夫と付き合っていたのは、隆夫が犯人ではないという証拠が欲しかったからだと伝える。アリバイさえしっかりしていれば問題はない。「アリバイならあるさ」。あの晩、ジョーを送っていった隆夫は、バイト先の「テアトロ」へ。そこにジョーから隆夫宛に電話があった。マスターが受けて隆夫に取り次いだというのだ。シンコとジーパン。「テアトロ」マスター(山本廉)から話を聞く。山本廉さんは東宝の第3期ニューフェース出身のバイプレイヤーで、同期に小泉博さん、岡田茉莉子さんがいる。マキノ雅弘監督に可愛がられ「次郎長三国志 第七部・初祝い清水港』(1953年)での七五郎役が印象的。東宝特撮映画の常連でもある。マスターは、その日は、隆夫が遅番で、店に来てまもなく、午前1時ぐらいにジョーから電話があったと証言する。隆夫が表にゴミを捨てに行っている時で、マスターが電話を受けた。「明日の朝、何時までに、迎えに来いって言われてましたね」。
「テアトロ」の店の外。ジーパンはシンコに「隆夫がここに来た時、ジョーは生きていた。完全なシロだな」。しかしシンコは腑に落ちない。「隆夫くん、どうしてジョーが殺されたって思ったのかしら?」。シンコは「ジョーが殺された」とは一言も言ってなかった。麻薬のことしか言ってないのに。「俺がジョーを殺したんじゃないかと疑っていたんだろ?」と隆夫は言った。しかし隆夫にはアリバイがある。シンコは「テアトロ」で張り込み、ジーパンは隆夫のアパートへ。一係。ジーパンからの無線報告を受けたボス。隆夫のアリバイは一様成立したものの「どうも引っかかるところがあるんだ」。ジョーから隆夫に電話があったのが午前1時ごろ。死亡推定時刻と同じなのだ。「死にかけた人間が電話したことになりますな」という山さんにボスは、シンコに合流して隆夫に当たるように命じる。
「テアトロ」に出勤してくる隆夫。店の隣は「トルコ・ウヰンザー」。マスターは刑事がジョーのことを調べにきたと隆夫に話す。「お前にかかってきた電話のことをしつこく聞いてきたな」。ゴミを捨てに店の外に出る隆夫。近くで張り込んでいたシンコ。電話ボックスに隠れる。旧式の電話ボックスで、クリーム色のもの。全面ガラス張りではないので、しゃがんで取手の穴から、隆夫を見ているシンコ。立ち上がる時、シンコはボックスの中に落ちている黒いマッチ棒を見つける。バッグから、先ほど隆夫に貰ったマッチを取り出すと、なんと同じもの。ここで賢明な年少視聴者なら、トリックがわかってしまう(笑) シンコは、隆夫の「俺人真似が得意なんだ」のことばを思い出す。シンコはマッチを見て「テアトロ」に電話をする。マスターが電話を受けて、隆夫に「電話」と伝えて、そのままタバコを買いに行く。電話に出る隆夫「もしもし、誰だろ?」。店のドアが開いて「あたしよ」シンコが現れる。
「表の公衆電話からかけたの。あそこからだと、走れば、ほんの何秒かでこの店に帰って来られるわね。隆夫くん、あなた声色が得意だったわね。いつも一緒にいたビッグジョーの声色なんか、特に上手だったんじゃない?」
「あなたはジョーが生きている限り、ドラムを叩くこともできないし、他のバンドに移ることもできない。だからジョーが酔い潰れている時に、大量の麻薬を注射して、ショック死させたのよ。その後にこのお店へ出て、あの公衆電話から、あなた自身へ電話をした。ジョーがまだ生きてるって、見せかけるためにね」隆夫、シンコに体当たりして店の外へ走り出る。ちょうど止まっていたバイクをアベックから奪って逃走。シンコ、タクシーを止めて「あの男を追ってちょうだい」。運転手、最初「バッキャロー」と急に車を止めたシンコに怒鳴るが、警察手帳を見て「へい」。性差別の描写というより、この時代、女性に対してこういう感覚だったのだなぁと。ようやく山さんが到着するが、すでに隆夫もシンコも去った後だった。山さん、バイクの青年の「オートバイ泥棒、待て」の言葉で全てを理解し、覆面パトカーで追跡開始。新宿西口の京王プラザホテル前、隆夫のバイクが走る。追跡するタクシー無線で、シンコはタクシー会社に「七曲署捜査第一係に連絡してほしい」とメッセージを伝える。すぐに山さんのクルマにボスから「犯人は甲州街道に向かった」。シンコはタクシー無線で「ただいま犯人は甲州街道から環状8号に向かっています」。この連携プレー。今見るとまだるっこしいが、当時、小学四年の僕は、感心しながら手に汗握っていた。やがてバイクは多摩川河川敷へ。バイクを捨て、川に逃げ込む隆夫。タクシーを降りて追跡するシンコ。しかし川の中に入るのに躊躇してしまう。
「無理だよ。女刑事さん!」やがて山さんが到着する。
「隆夫くん、戻ってきなさい。もう逃げきれないわ」とシンコ。
「わかっているさ、けどあんたさえ黙っていてくれたら、あと二、三日は稼げる」「二、三日?」「刑事さん・・・シンコさん、頼むから明後日まで待ってくれないか。明後日、俺たちのコンサートがあるんだ」
「俺、一度でいいから大勢の客の前でドラムを叩いてみたいんだ。俺のドラムで大勢の客を酔わせてみたいんだよ! お願いだ。明後日まで待ってくれ。俺たち、ちょっとの間でも友達だったんだろう?」逃げようと思えば細い道を行くこともできた、だけどシンコのためにわざと広い道を走ってきたんだと隆夫。シンコに待ってほしいと懇願して、逃げ去ってしまう。そこへ山さん「逃げられたな・・・隆夫と何をしゃべった」。口ごもるシンコ。
「シンコ。殺された奴がどんなに嫌な奴でも、殺した奴がどんなに可愛そうな奴でも、それでもやっぱり逮捕しなきゃならんのが、デカの仕事だぞ」と山さん。うなづくシンコ。隆夫との会話を山さんに伝える。一係。山さん帰ってくる。シンコとジーパンは「テアトロ」へ。隆夫のアパートに張り込んでいたゴリさんによれば、隆夫は戻らずに麻薬組織のチンピラがウロウロしている。バンドメンバーのところにも来ていない。隆夫はどこへ?「スナックにもまず、顔を出すことないでしょうね」と長さん。ボス「テアトロ」に電話をする。ジーパン「隆夫はやっぱり麻薬組織のことを知っている。下手すりゃあいつ、消されるぞ」と言い残して外へ。再び電話。隆夫からだった。「約束、守ってくれたかい? 誰にも話さなかったんだろ?」「ええ、誰にも話してないわ」「シンコさん、もう一度だけ会ってくれないか」。隆夫はライブ会場の渋谷ジァンジァンに、シンコ一人できてほしいと告げる。
「わかったわ、必ず一人で行きます」。ジーパン戻ってきて「どこへ行くんだ?」「・・・」「隆夫だな」。シンコは黙って、一係に電話をする。「ボスですか? 川井隆夫の居場所がわかりました」。シンコは情に流されず、刑事としての職務を全うしたのだ。ジァンジァン。観客のいない真っ暗な空間。隆夫、首に白いマフラーを巻いて、ドラムを叩き始める。ゆっくりとリズムを刻む。ジーパンとシンコがジァンジァンに。「裏に回ってくれる?」とジーパンに頼むシンコ。しかしジーパン「俺、ここで待ってるよ。あいつ、きっとシンコに聞いてもらいたいと思ってるんだよ」「柴田くん・・・」「待ってるよ」「ありがとう」。ジーパンの優しさ、シンコとの信頼関係が伝わってくる良い会話。シンコ、店内に入る。無心になってドラムを叩く隆夫。シンコ「やめないで。そのまま続けて。思いっきり叩くのよ」長さんと山さんもやってくる。山さん「こうやっているうちにも気が変わって逃げ出すかもしれん」。長さん「裏へ回って」。そらそうだ。店内では演奏がクライマックスに、隆夫を見つめるシンコ。優しい微笑み。その瞬間、ライトがついて、長さん、山さん、ジーパンが現れる。
「川合隆夫、殺人容疑で逮捕する」と山さん。隆夫、裏切られたことを知り、スティックとマフラーを叩きつける。「あんた汚いよ。一人で来るって言ったじゃないか! 汚ねえ、あんた汚ねえよ」よシンコに罵声を浴びせる。涙を浮かべるシンコ。山さんたちは隆夫を連行。一人残されたシンコと隆夫のマフラー、スティック。一係、しょげかえっているシンコ。部屋を出て向かいの資料室へ一人入る。そこへジーパン、明るい声で「オス!」と入っていく。ボスと山さんも立ち上がって資料室の方へ。資料室。「あたし、あの子を裏切ったのね」「刑事としてシンコは正しかったよ。ただし、隆夫と君の間では、君は隆夫を裏切った。まあ、ホシさえ挙げれば何をやってもいい、ってもんじゃないんだよ、な」「・・・」その会話を廊下で聞いている、ボスと山さん。
「ま、長い人生にはいろんなことがあるさ。な、良い勉強になったな」
「・・・」
「これからはね、シンコがアシスタントになって、俺の下でもっと修行するんだな」ジーパン紙袋の中から「森永ハイクラウンチョコレート」をシンコに「気分直せよ」と渡す。その優しさが嬉しいシンコ。「またパチンコ?」「そう。鬼の係長の元でこき使われてさ、せいぜいこれぐらいしか楽しみがないのよ。そういう哀れな私って、挫折だ・・・」。シンコ笑う。廊下で山さんも吹き出す。「おい、山さん。何がおかしいんだよ」とボス。思わず笑い出す。
 #渋谷ジァンジァン #石原裕次郎 #松田優作 #太陽にほえろ #1973年 #関根恵子 #長野洋 #石田勝心 この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!note.user.nickname || note.user.urlname よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。
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太陽にほえろ! 第74話「ひとりぼっちの演奏会」
2016-06-08 13:59:38 テーマ:ジーパン編
第74話「ひとりぼっちの演奏会」
■ストーリー■
麻薬常用者のジョーという男が、麻薬の打ちすぎでショック死する事件が発生した。
鑑識の高田助手(北川陽一郎さん)によると、より刺激を求めるために麻薬の量を増やすことはよくあることであった。
アパート管理人(加藤茂雄さん)は、ジョーが「ダーティーエンジェルス」というロックのバンドのリーダーでドラム担当だということを話した。
第一発見者は、「ダーティーエンジェルス」のバンドボーイの川合隆夫(佐藤仁哉さん)であった。
「ダーティーエンジェルス」のメンバーは、トランペット演奏者のサブ、ベースのゴロウであった。
石塚と島は「ダーティーエンジェルス」メンバーの調査を担当することになった。
伸子は川合の供述を担当していた。
川合の住所は、新宿区西大久保2-3-8、「みどり荘」であった。
伸子は自分の担当だと強情に言った。
野崎はジョーが昨日の夜に泥酔し、川合が自宅まで担いでいたことを報告した。
川合はジョーをベッドに寝かせた後、アルバイト先の深夜スナック「テアトロ」で朝まで働いていた。
川合はジョーの自宅の合鍵を持っており、返事がないので入ったところ、ジョーが死亡していたというものだった。
「ダーティーエンジェルス」のメンバーは、ジョーに対する悪評を話していた。
藤堂は川合の取調べに伸子を、アシスタントに柴田を指名した。
川合は自宅で数名のヤクザに殴られていたが、柴田と伸子が自宅を訪問して発見し、柴田がヤクザを追跡した。
伸子は川合の傷を手当した。柴田は3人のヤクザのうちの1人を逃がしてしまった。
川合はヤクザにジョーの部屋に残っていた麻薬を盗んだと勘違いされ、暴行されていた。
しかし、川合はジョーが麻薬中毒者であることを知っていたが、ジョーが用心深い性格であったために、どこで入手してどこで隠していたかを知らなかった。
司法解剖の結果、ジョーの遺体の血液中に残っていた麻薬の分量から、ジョーが当日麻薬を20g打ったと推測された。
麻薬常用者が、自身が死亡するほどの量を打つ間違いをするとは思えないため、殺人と断定された。
川合は伸子と渋谷病院に行った後、伸子から治療に使った手ぬぐいを貰った。
伸子は電話で報告に行った際、藤堂から一番疑わしいのが川合だと聞かされたが、電話中に川合がいなくなっていた。
柴田はみどり荘に向かい、伸子は調査中に電柱に張り付けてあるダーティーエンジェルスのビッグジョーの追悼コンサートのポスターを見た。
伸子は川合を発見し、柴田と合流した。伸子は自分の方法で川合を落とすつもりであった。柴田は伸子の方法に反対し、嫌った。
伸子は川合と再会した後、ジャズミュージシャンの須田一郎(成瀬昌彦さん)とも会った。
須田はジョーを自分のバンドに引き抜こうとしていたが、ジョーが死亡したことで川合は「ダーティーエンジェルス」のリーダーになっていた。
伸子はジョーの追悼コンサートに行くことを約束した。
後日、伸子は川合とデートをし、川合は自分の働いている「テアトロ」のマッチをプレゼントした。
川合はドラムを叩くことを何よりの楽しみとしていた。川合は「テアトロ」に、人真似を使って友人のふりをして遅刻するという電話を入れた。
川合は張り込んでいる柴田を発見し、自分を疑っているのかと怒った。伸子は川合が犯人でないという証拠が欲しくてデートしていた。
川合は当日にジョーを自宅まで送った後、「テアトロ」で勤務中にジョーから電話がかかってきたというアリバイを告げた。
「テアトロ」のマスター(山本廉さん)は、川合が午前1時頃、ジョーから川合宛に電話がかかってきたことを記憶していた。
川合は店にゴミを出していたため出られず、電話はマスターが出ていた。
伸子は自分が麻薬のことしか言っていないのにも関わらず、川合が「自分が殺したのではないか」と言ったことに疑問を持った。
川合は「テアトロ」に入店し、マスターから店に刑事が来たことを聞かされた。
伸子は「テアトロ」の近くにあった公衆電話から川合に電話をかけた後、入店した。
伸子はジョーがバンドにいる限り、川合がドラムも叩けないし他のバンドに移れないため、ジョーが泥酔している隙に大量の麻薬を注射してショック死させ、店の表の公衆電話を使ってジョーが生存していると見せかけたという推理を言った。
川合は伸子の推理を聞き、「テアトロ」を脱出し、オートバイを盗んで逃走した。
伸子はタクシーで川合を追跡し、応援に来た山村も川合を発見した。
川合は河川敷でオートバイを降り、川を伝って逃走した。
川合は明後日にダーティーエンジェルスのコンサートがあり、ドラムを叩いて客を喜ばせたいので、逮捕を待つように懇願した。
川合は伸子なら気持ちが分かってくれると思い、広い道を伝って逃げた。
山村は殺害されたのがどんなに嫌な奴でも、殺したのがどんなに可哀想な奴でも逮捕しなければならないのが刑事の仕事だと話した。
川合は麻薬組織を知っているため、麻薬組織に消される可能性が出てきた。
伸子と柴田は「テアトロ」で待機していた。「テアトロ」に川合から、コンサート会場のジャンジャンに1人で来てほしいという電話がかかった。
伸子は柴田に促され、川合の居場所を報告した。
伸子はコンサート会場に赴き、川合はドラムを演奏した。
柴田はコンサート会場の前で待機していたが、山村と野崎が合流した。
川合がドラムで演奏している最中、山村と野崎と柴田が入り、川合は逮捕された。
川合は伸子を汚いと叫んだ。
柴田は伸子を資料室で励ました。
■メモ■
*「影への挑戦」以来、久々のシンコ主演作。
*川合が「女性が刑事? まさか」と言っているシーンに時代を感じる。後年のマミーではありえない光景。
*ゴリさんは外国人が苦手らしい。
*ジーパンが怒鳴っているシンコを宥めようとするシーンがあるが、川合に「お前」と言われて結局ジーパンも怒鳴っている。(笑)
*今回は「眠りの中の殺意」と「仕掛けられた銃声」と同時撮影。
*川合がドラムを弾く音は、後期にSEとして使われている。
*最後、ジーパンがパチンコ屋で得たタバコをシンコにプレゼントしていたが、当時関根氏は未成年なので喫煙していないと思われる。
*予告編にはナレーションが「次回~」しかなく、川合の演奏がメインとなっている。
■キャスト、スタッフ■敬称略
藤堂俊介:石原裕次郎
柴田純:松田優作
内田伸子:関根恵子(現:高橋惠子)
島公之:小野寺昭
野崎太郎:下川辰平
永井久美:青木英美
川合隆夫:佐藤仁哉
須田一郎:成瀬昌彦
「テアトロ」マスター:山本廉、アパート管理人:加藤茂雄、高田助手:北川陽一郎
剣崎龍次、岩田博行、「ダーティーエンジェルス」メンバー:広田正光、相馬優子、渡部雄二
石塚誠:竜雷太
山村精一:露口茂
脚本:長野洋
監督:石田勝心
#太陽にほえろ#シンコ主役編
https://ameblo.jp/chitei-gogogo/entry-12168583688.html
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2021-08-26 00:24:12 テーマ:ロッキー&スニーカー編
1979/12/14 第385話「死」通算第595回目
■ストーリー■
野原圭子(8歳)(中嶋香葉子さん)はビルの建設現場の1階部分にて、一人で遊んでいた。
圭子は建設現場に自動車が駆けつけるのを聞き、自動車に向かって走り、転倒した。
圭子は、桑山謙(32歳)(金井進二さん)という男が、顔面が血まみれの、田沢清という男を自動車の後部座席に乗せるのを目撃したが、桑山に顔を見られてしまった。
桑山は自動車で逃走した。
一係室に、田沢歯科医院院長の田沢修(内田稔さん)と夫人の田沢文子(渡辺知子さん)から誘拐事件の通報が入り、野崎と島と岩城と五代が田沢歯科医院に直行した。
田沢は誘拐犯に、清を電話に出すように頼んだが、断られてしまい、誘拐犯から、要求に従わず、警察に通報すると清を殺害すると脅迫された。
誘拐犯は田沢夫妻に、まだ身代金の受け渡し方を伝えていなかった。
誘拐犯には声の特徴が無かった。
田沢は誘拐犯が清の遊び仲間であると思っており、野崎達に、清が歯科医科大学の受験に3度失敗したことを教えた。
清宛てに清の遊び仲間から頻繁に電話が入っていたが、田沢夫妻には名前を名乗らなかった。
田沢宅に近所の野原夫人(執行佐智子さん)から、電話が入った。
野原家は娘の圭子が、以前に清から英語を教わっていたことがあった。
圭子は小学生だが、何でも覚えたがる性格だった。
野原夫人は田沢に、清が無事に帰宅したかを質問し、圭子が、負傷した清が男により自動車に連れ込まれたのを目撃していたことを伝えた。
野崎と島はフラワーマンションの野原宅に赴き、野原夫人と圭子と面会した。
圭子は見間違いではないと強調した。
野原家は熱帯魚を飼っていた。
圭子は大の生物好きで、以前には亀やリス、ハツカネズミを飼っていたが、既に死んでいた。
圭子は野崎と島に、清がぐったりしていて、頭から流血していたことを証言した。
圭子は清を目撃した時、桑山に恐怖を感じ、すぐに顔を引っ込めたため、自分が桑山に顔を見られたかどうかは分からなかった。
圭子は野崎と島に、目撃現場のビル建設現場まで案内した。
圭子が建設現場の1階部分で約1時間遊び、自動車の停車音を聞いた後、午後4時に帰宅していた。
圭子は白い自動車が建設現場付近の裏通りに停まっているのを記憶していた。
野崎は自動車が停まっていた地点の地面に血痕が付着しているのを発見した。
裏通りで発見された血痕と清の血液型が完全に一致した。
捜査員は犯人が清を自動車で轢き、意識を喪失したところを誘拐したのではないかと推理した。
山村と島は清が既に死亡している可能性を危惧した。
圭子は誘拐犯の顔を目撃していなかったが、誘拐犯が長髪で30年配だったことを覚えていた。
判明しているのは、清の遊び仲間が容疑者であることのみだった。
石塚と岩城は清の遊び仲間(東条きよしさん)を追跡し、取り押さえた。
清の遊び仲間は清の居場所を知らず、警察に連行されそうになると、清に20万円を貸したこと、清が自分のところから覚醒剤を勝手に持ち去り、その代金を払わないことを自白した。
野崎と島は田沢宅にて待機していたが、誘拐犯の桑山が田沢宅に電話をかけてきた。
桑山は文子から清の負傷の度合いを尋ねられると、知らないと嘘をつき、田沢に清が無事であると強調した。
桑山は田沢に、明日の午後5時、文子に身代金3000万円を持たせ、矢追駅西口広場にて待機するように強要した。
田沢は疲弊している文子を気遣い、自分が身代金の受け渡し役になると言い出した。
桑山は田沢夫妻が清の負傷を知っていることを疑問に思い、圭子が田沢に話したのではないかと直感した。
島は電話の逆探知をしたが、都内の電話ということしか判明しなかった。
田沢は誘拐犯が清の遊び仲間で、清に金を貸した者か、清に恨みを持っている人物ではないかと推測していた。
島は田沢に、患者のカルテを見せるように要求した。
島は西口広場がかなりの人混みであるにもかかわらず、誘拐犯が田沢にも文子にも目印を指示していないことから、誘拐犯が田沢歯科医の患者ではないかと考えた。
文子は田沢歯科医の窓口を手伝っていた。
島は年齢30歳前後、長髪の男の、田沢歯科医の患者をリストアップしていた。
島は容疑者の患者の桑山の自宅アパートを訪れたが、桑山が不在だった。
大家(木田愛子さん)によると、桑山は2日前から帰宅していなかった。
桑山はバーテンダーをしていたが、頻繁につけで物を購入する一方、家賃を滞納していた。
桑山は自動車を所持していなかったが、レンタカーを運転していた。
島はレンタカー屋を捜査し、桑山が借りた白い乗用車のレンタカーを突き止めた。
レンタカーの後部座席には黒い染みが付着していた。
桑山は染みについて、醤油をこぼしたと弁解し、規定の賠償金を払っていた。
桑山は田沢歯科医の患者の1人で、長髪で黒いコートを着用していた。
桑山は2日前の犯行当日、白いレンタカーを1日借りていた。
藤堂は島に、桑山の足取りを追うように命令した。
桑山は公園で遊んでいる圭子を発見し、圭子の前に姿を現し、圭子を追跡した。
桑山は圭子を追跡中、走行中のバンと衝突しそうになり、圭子を見失った。
島は藤堂から、八王子の造成地の草むらから、桑山が隠したと思われる清の遺体が発見されたという無線連絡が入った。
レンタカーの後部座席の染みは、清の血液だった。
藤堂は島に、田沢夫妻に遺体の確認をさせるように指示した。
田沢夫妻は清の遺体と対面し、号泣した。
清の遺体は監察医務院の司法解剖に回され、結果が出るのは明日の昼ということになった。
野崎は誘拐の手段としても、乗用車を轢いてから殺害するということに異常さを感じていた。
桑山には詐欺と恐喝の前科があったが、ただの金欲しさに殺人を犯すとは思えなかった。
石塚は桑山が偶然、清を轢いたのが発端ではないかと意見した。
清は予備校の学生証を所持していた。
桑山が学生証から、清が田沢の長男であることを知り、偽装誘拐で身代金をふんだくることを計画したのではないかと考えられた。
藤堂は桑山の逮捕まで、遺体発見の公表をしないことを決定した。
一係室の島に圭子から、桑山が自分を尾行してくるという電話が入った。
圭子は自宅に一人でおり、野原夫人がまだ仕事で帰宅していなかった。
島は圭子に、扉を施錠し、外に出ないように指示し、野原宅に急行した。
圭子は自分を追跡したのが桑山であると断言した。
野原夫人が帰宅してきた。
圭子は感受性の強過ぎる性格だった。
島は圭子の証言を信じていた。
野原夫人は下手の横好きで商業デザイナーの仕事をしており、夫の野原も長期間外出中であることから、時々深夜まで圭子を一人にしてしまうこともあった。
圭子はとてもしっかりしており、一人で食事を済ませていた。
野原夫人は圭子が厨房のシンクの皿の中に、死んだ金魚を入れていたのを見て、皿が魚臭くなると叱り、死んだ金魚をゴミ箱に捨てた。
島は覆面車でフラワーマンションを張り込んでいた。
桑山はマンションの付近から張り込み中の島を見た。
翌朝、圭子が登校した。
島は圭子の登校を見届けた直後、軽トラックが放火され、炎上しているのを目撃し、覆面車から消火器を取り出し、消火した。
圭子は島が目を離している隙に、非常階段で桑山に拉致されてしまった。
島は圭子を捜索中、合流した岩城から、桑山がビルの建設現場にて遺体で発見されたということを告げられた。
圭子は野原夫人からの連絡で自宅に逃げ帰っていた。
桑山は建設現場の7階部分から転落し、死亡していた。
7階部分の手摺が外れていた。
野崎は石塚と島に、圭子が桑山に追跡され、ビルの建設現場に逃げ込んだことを話した。
桑山が圭子を突き落とそうとして、逆に手摺が壊れて転落死した可能性が考えられた。
圭子は最初、野崎にマンションのエレベーターホールで捕まりそうになり、逃走し、遠回りして帰宅したと説明したが、目撃者が様子を見に来た後、態度を変え、建設現場に逃げ込んだことを認めていた。
圭子が建設現場に逃げ込んだのは、建設現場で頻繁に遊んだからだった。
圭子は野崎に、桑山が自分に「お前は俺を見たの?」と尋ね、「俺は悪魔だ」と発言したと述べた。
島は圭子について、嘘つきではないが、一人になることが多いせいか、非常に空想力が豊かで、何もかも少女漫画の1ページのように見てしまうところがあると分析していた。
石塚は建設現場の7階部分で、覚醒剤の注射器を発見した。
注射器の指紋は清の指紋と一致した。
清は人目を恐れ、建設現場の7階部分で覚醒剤を注射していた。
解剖の結果、清の死因は前頭部陥没及び全身打撲による内臓破裂であることが判明した。
清は高所から転落して死亡しており、桑山と全く同じだった。
島は近所の住人から、自動車が停まる音がした7,8分前、地響きを聞いたという証言を入手した。
清は桑山が来た時には既に死亡していた。
桑山と清が全く同じ場所で足を踏み外す可能性は低かった。
島は圭子が現場で1時間遊んでおり、清が転落する物音を聞いているにもかかわらず、聞いていないと証言していることを不審に思った。
圭子は島に、あくまで、清が転落する物音を知らないと話し、島の質問に答えるのを激しく嫌がった。
圭子は島に、清を突き落としたのかと質問されると、激しく不機嫌になり、遊園地に行こうとした。
島は東京都監察医務院の霊安室に圭子を連れて行き、今日に監察医務院に運び込まれた若い男の死体を見せた。
男はつらいことがあり、死ぬと楽になる、自分が死んでも誰も気にしないと思い、昨日、薬を飲んで自殺をしていた。
男の遺体のそばで、男の家族が男の死に号泣し、悲しみに暮れた。
島はビルの建設現場に圭子を連れて行った。
島は自殺した男が、死の意味を理解していなかったと思っていた。
島は圭子に、人間の生命がかけがえのないもので、玩具のように新しいものと取り替えることができないと諭した。
島は圭子に、生き物の死が悲しく、とてもつらいことであると言い聞かせた。
圭子は、建設現場の7階で注射をしていた清が、自分を怖い視線で睨み、誰にも言わないようにと怖い表情で脅したため、清が帰ろうとした時、背中を突き落としたことを自白した。
圭子は自分を追いかけてきた桑山も、隠れて接近し、桑山が壊れかけの手摺を見ている隙に、背中を押して殺害していた。
圭子は2人を突き落とした理由は、2人が怖い表情をしたからだった。
圭子の父親の野原(早川純一さん)がパリから帰国し、島と面会した。
野原夫妻は島に、圭子を2日間取り調べたことに抗議し、島が殺人事件であると弁解すると、圭子が子供であると反論した。
野原夫人は法律で子供が保護されていること、圭子に空想癖があり、突き落とせば人が死亡するなんて分からず、面白半分でやったのではと主張した。
島は圭子が、突き落とせば人を死亡することを知っていたが、死の意味を知らなかったと説明した。
野原夫妻は島に、圭子が死の意味を理解するなんて無理であり、子供を裁く権利がないと反論した。
野原は圭子の行動が、ただのいたずらであるとしか言いようがないと伝えた。
野原夫妻は圭子に情操教育をしていたが、生命については何も教えていなかった。
野原夫人はマンションには死亡したペットを埋める場所がないと抗議した。
野原は夫婦二人とも仕事で多忙であることを自覚しつつ、圭子を一人前の人間として扱うことが一番いいと思い、子供をしっかりさせると自分に言い聞かせていた。
圭子は教護院に送られることとなった。
圭子は殺人の罪をはっきりと自覚していた。
■メモ■
*『太陽』史上でも屈指の、重く陰鬱な回。
*オープニングのテロップ、サブタイトルの字が非常に小さい。この状態がしばらく続く。
*殿下が、誘拐犯が田沢歯科医の患者であると特定した根拠が面白い。
*執行氏と早川氏は「強き者よ、その名は……」でも共演している。そちらでは兄妹役。
*よくよく考えるとかなり恐ろしい冒頭。圭子が遊んでいるように見えて、既に清を突き落とした後…
*圭子を演じた中嶋氏の「純朴感」がリアルで怖い。
*圭子に「死の悲しさ」を伝えるために、圭子を監察医務院に連れていく殿下。
*ラストは「自首」、「朝顔」などと同じ無音のエンド。(どれも児玉監督作品)。
*OPのハイライトには、田沢の遊び仲間が雀荘で麻雀中、ゴリさんとロッキーに事情聴取され、逃走するシーンがあるが、本編にはない。
■キャスト、スタッフ■敬称略
藤堂俊介:石原裕次郎
岩城創:木之元亮
五代潤:山下真司
野崎太郎:下川辰平
松原直子:友直子
田沢修:内田稔、野原夫人:執行佐智子、野原圭子:中嶋香葉子
桑山謙:金井進二、野原:早川純一、田沢文子:渡辺知子
田沢の遊び仲間:東条きよし、アパート大家:木田愛子、松島真一、西山直樹
泉よし子、三輪和歳、田川千春、高野真一
石塚誠:竜雷太
島公之:小野寺昭
山村精一:露口茂
脚本:小川英、四十物光男
監督:児玉進
#太陽にほえろ#殿下主役編
https://ameblo.jp/chitei-gogogo/entry-12694263972.html
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太陽にほえろ! 第628話「ヒーローになれなかった刑事」
2018-01-05 20:29:11 テーマ:マイコン登場編
第628話「ヒーローになれなかった刑事」通算第322回目
■ストーリー■
水木は聞き込みを開始していたが、収穫が無かった。
水木は1台の黒い車が踏切を渡った直後、貨車の到着で踏切が閉まる際、折原周一(52歳)(神山寛さん)という男が踏切に倒れるのを発見した。
水木は何とか折原を救出しようとしたが、折原の体が全く動かず、折原は貨車に轢かれてしまった。
新聞記者(増岡弘さん)が警視庁鳴滝署港派出所で待機中の水木に質問した。
水木は呆然としており、記者に折原が死亡する気だったと思うと呟き、捜査員に折原の事故を連絡した。
水木は折原が車から突き落とされたわけではないと思っており、自殺だったと思うと話してしまっていた。
令子と澤村は港派出所に急行したが、水木は監察医務院に急行していた。
折原夫人の折原綾子が遺体確認のために監察医務院に向かっていた。
折原は東亜倉庫株式会社の総務部長だった。
井川は監察医務院を訪れた。
水木は折原の遺体を確認した綾子(川口敦子さん)に、折原の最近の状況を尋ねようとしたが、綾子は折原が自殺したと言った水木に激怒した。
綾子は25年間折原と暮らしているため、折原のことを誰よりも良く知っていると強調し、折原が自殺していないと考えていた。
綾子は水木が、折原を救助できなかったから、言い訳に折原が自殺したと言ったのではないかと思い込み、号泣した。
水木は井川に、折原が石のように重くて動かなかったから自殺だと思ってしまったことを発言し、軽はずみな発言をしてしまったことを謝罪した。
新聞にて水木の行為が批判され、「勇み足」、「疑問を呼ぶ軽はずみ発言」、「ヒーローになれなかった刑事」と報道されてしまった。
綾子は昨夜のうちに抗議の電話を大量に入れたためだったが、折原の死が自殺でない場合、綾子の抗議は当然であると考えられた。
水木は一係室に出勤直後、大和田署長(草薙幸二郎さん)に召集された。
大和田は昨夜の事件を他殺または事故死として処理することを決定し、水木に軽率な発言だったとして謝意を公表するように命じ、何も言い訳しない水木に激怒した。
水木は大和田の命令通りに行動しようとしたが、山村に現場検証に連れて行かれた。
山村は水木を、令子と澤村と共に事故現場の線路に連れて行き、折原の死亡した格好と同じ格好を取るように命じた。
折原の体重は55kg前後だったため、水木が救出するのは容易だった。
司法解剖の結果、折原には毒物や睡眠薬を飲んだ形跡が無く、呼吸器系統にも異常が無かったため、折原が正常な人体だったことが断定された。
山村は水木が迫ってくる貨車を恐れていても、一瞬の間に全力を振り絞っていたのではないかと推測していた。
水木には折原の両腕が見えていなかったが、山村は折原の両腕が轢断されていたため、折原が必死になって、両手で線路にしがみ付いていたのではないかと推理していた。
水木は自分が助けられなかった事実に変わりないため、折原が自殺だろうが事故死だろうが関係なくなっていた。
山村は水木が大和田の指示通りに、プライドを捨てて謝罪すれば水木の気持ちは楽になるが、一言で折原の一生が決まってしまうと諭した。
山村は折原の52年間の生涯がかかっているため、曖昧な気持ちで決めていいのか、刑事が務まると思っているのかと叱咤し、逃げてはいけないと激励した。
水木は折原の死が自殺であるという結論を出し、現場の目撃者及び黒い車の捜索のために出動した。
東亜倉庫の専務(久遠利三さん)は、折原が真面目過ぎる男で、社内の評判が高かったため、折原の自殺を信じられなかった。
折原は趣味が無く、酒も飲まないため、付き合いが悪かった。
折原は娘の折原いずみ(石原ゆうさん)の子供を非常に可愛がり、毎週日曜日に会いに行くのを楽しみにしていた。
山村と水木は綾子と対面したが、綾子は何も話すことが無いと述べた。
綾子は山村と水木が折原の自殺の言い訳を探しに来たと解釈しており、折原が自殺したと信じる水木に帰宅を強要した。
山村は折原の部屋のゴルフ道具が気になったが、折原はゴルフを一度もしていなかった。
綾子はゴルフ道具について、5日前に折原が購入したものであると告げた。
折原はいずみが結婚したことで落ち着き、ゴルフをして楽しみたいと言い残していた。
山村は折原のゴルフ道具を調査したが、綾子は折原がゴルフ道具を試すことなく亡くなったことから、自殺でないと考えていた。
綾子は山村と水木に対し、これ以上折原を自殺扱いにする場合、死亡した折原の名誉のため、名誉棄損で告訴すると警告した。
ゴルフ道具は外国製のカーボンシャフトで、約40万円の高価なものだった。
水木は山村がゴルフ道具のことを言い出した際、綾子が少し動揺したことが印象に残っていた。
山村は綾子がゴルフ道具を逆手にとって反論したことも、自殺に対する反論の証拠としてもっと前に出しているはずと推理していた。
綾子がゴルフバッグについて嘘を吐いている可能性が浮上したが、七曲署捜査員を名誉棄損罪で告訴してきた。
水木は自分のせいで窮地に陥ったことを謝罪したが、西條と井川に励まされた。
当直の水木は現場の状況をホームズ三世に入力した。
貨車の速度は時速60kmで、貨車と折原の距離は120mだった。
ホームズ三世の画面には折原の救出できる可能性が80%であると出力され、水木は十分に助ける時間があったと判断し、自分の恐怖の度合いと全力を出せた可能性も入力した。
山村は折原が死亡する前の1週間の間に、折原の銀行預金から100万円が引き出されていることを伝えた。
折原は5年前(1979年頃)に買った自宅と去年(1983年)のいずみの結婚で預金を使い果たし、100万円が残金だった。
折原の銀行預金はキャッシュカードで、20万円ずつ5回引き出されていたが、誰が引き出したのかは不明だった。
水木は綾子が何か秘密を持っており、折原が綾子の秘密を知って絶望し、自殺したのではないかと考察していた。
山村は折原の他殺の可能性も考えていた。
水木は折原の霊前に立って折原の気持ちを理解するため、明日の午前11時から、折原宅の近隣にある寺で執り行われる折原の告別式に出席することを決意していた。
水木は綾子から、折原の焼香を拒絶され、発言を糾弾された。
水木は裁判で折原の死が自殺でないと証明された場合、刑事を辞職する覚悟をしていた。
山村は綾子の行為に対し、礼を尽くして弔う人間を追い返すことがなかなか出来ず、むしろ綾子が折原を心から愛しているのなら、懸命に押さえると推測した。
山村は綾子が、折原が自殺などしないと心から信じているのではなく、自殺ではないと自分と周囲に思わせたいだけであるという確信を持っていた。
生命保険の調査員(江角英明さん)が、被保険者が折原で、保険金受取人が綾子の1億円の生命保険契約に重大な疑惑があるという理由で、一係室を訪れていた。
調査員所属の保険会社の売約生命保険は、病死または自殺の場合は5000万円で、他殺または事故死の場合は1億円の契約となっていた。
自殺と事故死では綾子の受け取る金額が5000万円の差があった。
調査員は新聞を見て、証拠こそ無いものの、綾子の詐欺行為であると確信していた。
調査員は折原が綾子に重大な疑惑を持っていたこと、1ヶ月前、折原宅の近所で、綾子の男性関係について嗅ぎ回っている男がいたことを伝えた。
調査員はその男が探偵社の社員であると推定していた。
折原が生命保険に加入したのは20年前(1964年頃)だが、10年前(1974年頃)に売約保険に切り替え、金額を増額しており、綾子の方が増額に積極的だった。
折原は生命保険を20年間払い続けても、自分のために1円も使えないため、馬鹿馬鹿しいと言い残していた。
澤村は折原が綾子に絶望したという確信を抱いていた。
綾子が折原の預金を使い込み、自分の浮気相手を使って折原を殺害しようとしたという疑いも出てきた。
令子は自殺でなかったら水木を助けられないと考え込んでいた。
令子と澤村には、目撃者捜索の継続という藤堂の命令が出ていた。
弥生七宝教室の講師(木村翠さん)は、生徒の綾子が折原の死亡する何日か前、ゴルフの話題をして楽しそうだったことを記憶していた。
講師はゴルフが大好きで、綾子に依頼され、ゴルフショップを教えていた。
折原から綾子の男性関係の浮気調査を依頼された男は、村山探偵社の探偵(小瀬朗さん)だった。
探偵は2ヶ月前に折原から綾子の男性関係を1ヶ月の調査期間で、調査するように依頼されていた。
ゴルフショップで外国製のカーボンシャフトを購入したのは折原だった。
探偵の調査結果は、綾子には浮気相手がいないというものだった。
銀行の防犯カメラの録画映像にて、キャッシュカードで金を引き出したのが折原であることが判明した。
綾子が折原の死については全く白であることが確定した。
竹本は綾子が何もしていないが、金が欲しいため、5000万円を余計に欲しいため、他殺と言い張っているのではないかと推理していた。
捜査員は会社の仕事が順調であること、知人や友人に問題がないこと、綾子に何もないため、折原の自殺の理由が分からなかった。
水木は頭を冷やすため、七曲署の屋上に行った。
水木は事件から逃げ出したくなかったが、逃げ出すと何も自信が無くなるため、逃げ出すことを恐れており、ホームズ三世でも役に立たない八方塞がりの状態を嘆いていた。
山村は自分から逃げることが出来ず、変死体の謎がある限り捜査を続行しなければならないと言い聞かせ、最後の手段として折原の胸中を覗くことを決定した。
折原は毎朝、決まった時刻に、京王帝都電鉄京王多摩川駅から満員電車に乗り、片道1時間15分で東亜倉庫に出社していた。
折原は午前9時15分前にタイムレコーダーを押し、午後5時30分に帰社していた。
折原はいつも定食屋で夕食の「幕ノ内」を食べ、帰りの電車に乗っていた。
山村と水木は煙草屋の女主人(高山千草さん)から、折原がいつも同じ時刻にホープを購入していたが、1ヶ月前から2時間以上遅く、泥酔して購入するようになったことを掴んだ。
山村は折原の中で何かが起きたと直感した。
折原は突然、レールから脱線したかのように、居酒屋、スナック、公園脇の屋台で酒を飲んでいた。
折原は一人で酒を飲んでいたが、公園のベンチで犬と話していた。
山村と水木はおでん屋台の主人(宮沢元さん)から折原についての話を聞いた。
折原は毎晩、色々な店で注文した食べ物を半分残し、公園のベンチに腰掛け、野良犬に食わせながら話していた。
野良犬は捨て犬が成長した、人懐っこい性格の犬だったが、4,5日前に野犬狩りに遭い、保健所に連れて行かれていた。
野良犬が野犬狩りに遭った日は事件の前日だった。
折原は主人から犬が好きなのかと質問され、犬が嫌いで飼ったことがないと回答しており、屋台の主人ともそれくらいしか会話していなかった。
折原は綾子の浮気調査を突然開始し、綾子に何もないことを知ると、嫌いな酒を飲み、嫌いな犬と会話し、嫌いなゴルフ道具を大金で購入し、死亡していた。
山村は折原が変化した要因の出来事として、25年間信じ切ってきた綾子からの離婚の要求を挙げた。
綾子は山村と水木の来訪の理由を、発言の訂正と謝罪と考えていたが、水木は発言の訂正をする気が無かった。
山村は綾子に、折原の死の真相を伝えた。
全ての始まりは2ヶ月前、綾子が折原に突きつけた離婚の要求だった。
山村は熟年離婚のケースを調査し、子供の結婚と家出によって夫婦2人きりになったとき、「見下ろし現象」という急に夫に我慢が出来なくなるケースが中高年者に一番多いことを調べ上げていた。
綾子は25年間黙って我慢してきただけであるため、少しも愛されない結婚生活にピリオドを打つため、折原に離婚の要求を突きつけており、折原は要求を何も気にしていないと思っていた。
折原は綾子を何よりも愛しており、綾子は折原からずっと愛されていたのではないかという思いが少し残っているため、山村と水木がゴルフバッグに気付いたときに動揺していた。
綾子は「もしかしたら」という思いで1ヶ月間の折原の奇行を、誰にも言っておらず、折原が1ヶ月間、自分の浮気調査をしていたことも知らなかった。
折原は空しいために、25年間続けてきた生活を何とかして別の物に作り替えようとしたが、綾子との溝を深めるばかりだった。
折原は野良犬が野犬狩りに遭った後、死亡した日の翌朝、綾子に「犬もいなくなった」と言い残していた。
綾子は折原の発言の意味を理解していなかった。
山村は折原の死を自殺と断定した。
「犬もいなくなった」という発言は長い間、会社の繁栄と家族の幸福のために機械のように働き続けた折原の最後の自己主張だった。
綾子は本気で折原の死を事故死と思い込んでおり、保険金の増額の意思も無く、保険金の支払い要求をしていなかった。
山村は水木が刑事でいられたことを喜んだ。
メモ■
*セミレギュラーの役名表示テロップが復活。「走れブルース」まで続く。大和田署長が役名付きで表示されたのは今回が唯一。
*マイコンの前で起こる陰惨かつ悲しい事件。当時はまだ「非常停止ボタン」が無かったのだろうか?
*山さんによるマイコンの教育回でもある。
*銀行にも情報網を持つ山さん。
*江角氏が「太陽」で唯一、善人役を演じている回。
*マイコンを「間抜けな、いや馬鹿正直な刑事」と言うブルース。
*「折原ももうちょっと愛情を形に出すべきだった」というトシさんの発言は、妻から離婚を突き出されたトシさんならではの重い台詞。
*マイコンの感想は「コンピューターが全然に役立たない事件があってショックでした」とのこと。
*今回がファミリー劇場で放映された2017年4月14日の翌日の4月15日、今回の死亡事例と逆の、救助に来た男性が列車に轢かれて死亡する悲しい事件が起きている…
*脚本の丸岡氏は小川氏主宰の英塾1期生。「太陽」は今回と「二度泣いた男」を執筆している。
■キャスト、スタッフ■敬称略
藤堂俊介:石原裕次郎
竹本淳二:渡辺徹
澤村誠:又野誠治
水木悠:石原良純
岩城令子:長谷直美
大和田署長:草薙幸二郎
折原綾子:川口敦子
折原周一:神山寛、村山探偵社調査員:小瀬朗、折原いずみ:石原ゆう、弥生七宝教室講師:木村翠、新聞記者:増岡弘
東亜倉庫専務:久遠利三、おでん屋台主人:宮沢元、煙草屋の女主人:高山千草、森篤夫、宮寺康生、鈴木弘一
西條昭:神田正輝
井川利三:地井武男
山村精一:露口茂
脚本:小川英、丸岡ひさし
監督:鈴木一平
#太陽にほえろ#マイコン主役編#山さん主役編
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