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ぴるくるの読書感想文

最近話題のビジネス本を中心に感想文を書いてきます。

僕は面白そうな本に出会ったらその出会いに感謝し、とりあえず買うことにして、すぐに読み始めることもあるけれど、大抵、何日も、何週間も、ときには何年も寝かせてから読むのだが、この本を買ったのはいつのことやら覚えていない。

が、自分のようにマーケティングについて門外漢からすれば大変ためになる内容だった。

本の読みやすさ:A
本の内容:A

本書の主人公は、このほど営業部から商品企画部へ異動してきた宮前久美。勝気で生意気で、でも骨のある30代女性で、商品企画部の会議の第一声で「この会社の商品、みんなガラクタです」と言い放つところから物語が始まっていく。

久美からすれば「営業できちんと結果を出してきたわけだし、顧客のことも誰よりもわかってる、こんな私が良い企画をして良い商品を作るのなんて簡単」といったところだが、この発想が多くの企業がそうであるようにCustomer myopia(単語の意味は、顧客、近眼)に陥っていく。その典型例としての久美の問題を指摘していくストーリーである。

舞台は、久美の上司である与田が開く勉強会であり、久美は与田に反抗しながらも与田にうまく転がらされながらマーケティングを学んでいく。とはいっても、久美はやる気に満ちあふれていて、与田はそんな久美を買っている、といった構造である。

(1) 自社の事業を定義する
自社の事業を定義する場合、「製品思考」と「市場思考」の考え方がある。
例えば、鉄道会社の場合、「お客様の役に立つ鉄道サービスを提供すること」と考えると、車やバス、飛行機などの他の輸送手段にお客様が流れても気にしない。実際に、アメリカの鉄道会社は他の輸送手段にシェアを奪われてしまったが、自社の事業を「鉄道サービスの提供」と捉えていただけに気にしなかったそうだ。
別の例では、化粧品会社が自社の事業を「化粧品の製造販売」と捉えるのは製品思考であり、「ライフスタイルと自己実現、そして夢を売ること」と捉えるのは市場思考である。
また、歯医者さんが「虫歯を治すこと」ではなく「健康な歯の維持」と捉えたことで新たな市場を開拓した例も紹介された。

ただ、個人的な意見ではあるが、「市場思考」は「製品思考」に比べるとどうしても抽象的な表現にならざるを得ず、それゆえ、そのコアな部分の考え方をきちんと社員の間で共有できていないとすれば、”定義すら存在しない”ことにもなりかねない。

(2) 顧客満足の式
Customer miopia(顧客の言いなりで先見の明がない)がダメな理由は以下の式で理解できる。

 顧客満足 = 顧客が感じた価値 ー 事前期待値

顧客の要望に100%答えても0点というわけである。

(3) マーケットチャレンジャーはマーケットリーダーに価格勝負してはダメ
例えば、ソフトウエアの場合、市場シェア(ユーザ数)大なら原価(ソフト開発費÷ユーザ数)小になるから、マーケットチャレンジャーは市場シェアトップに価格競争で勝ち目はない。

(4) 流通チャネルとコミュニケーションチャネル
顧客提供価値の最大化のために流通チャネルをどう考えるか。また、ターゲットと目的を明確にし、それを実現するコミュニケーション方法を設計し、コミュニケーションチャネルを選択することの重要性が述べられていた。

(5) リスク歓迎タイプとリスク重視タイプの間の普及の谷(キャズム)
キャズムを乗り越えるには売り方を変えることだそうだ。


で、肝心のオチである1000円で売る方法であるが、それは読んでからのお楽しみとして、この本を読むと1000円で売る方法なんていくらでもある!と思わせてくれる。

例えば、AKBなら握手券を付けるといったところだろうか。


100円のコーラを1000円で売る方法
永井 孝尚
中経出版
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