194. 2015 京都 6 | BACKUP 2024

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備忘録

 

 

 

今年も北大路丸太町の「YAMATOYA」にやって来た。
京都最後のジャズ喫茶。この店が最後に残ったのは、想像だが余裕があるからだと思う。他に収入があり、店は趣味でやっているのではないだろうか。現存する老舗ジャズ喫茶の殆どが、多分そのような裏事情で共通している。
カツカツでやり繰りして来たのなら、おそらく30年前に姿を消していただろう。

 

 

 

 

 

 

結構お客が入っている。
昨年ゆかた姿で現れ母親と交代した娘さんが、バーテンダーの装いで頑張っていた。すでにセンターとなっている、と言っていいだろう。皿回しも全部彼女が取り仕切っていた。娘が跡を継ぐというので大改装したと、昨年お母さんが語っておられたので、予定通り事が進んでいるのだろう。それはいいのだが、ほぼ一年ぶりにお会いしたお母さんの様子が少しおかしいのが気になる。目つきが虚ろで足取りも覚束ない。少し健康に問題が発生しているように見えた。どうぞ無理をなさいませんように。

 

 

 

 

 

 

この日の夕食に二条寺町の「二条 椿」を予約していた。
6時の予約に合わせて一度ホテルに戻り、身支度を整えて出直す予定だった。東大路通でバスに乗る。ところがひどい渋滞でさっぱり進まない。現在の京都市内で一番混むのは、もしかするとこの東大路ではないか。時間ばかりが進みバスは一向に動かない。遂にホテルへの立ち寄りを諦める事態となる。

 

 

 

 

 

 

「二条 椿」は細い路地の奥にある。
表通りに看板も出ておらず、申し訳程度の行灯があるのみだ。京都らしいと言えば京都らしい。すかしているとも言える。
全八席のカウンターは当然のように予約で埋まっていた。初めてお会いする店主は40そこそこの若さで、この店が二店目らしい。この方も非常に京都らしい人物だ。割といいシャンパンを一万円で提供できる腕前なかなかのものである。

 

 

 

 

 

 

しかし喋り過ぎる。
難しいところだ。確かにカウンターの店で、店主が無口では間がもてない。かと言って、京懐石の塩加減の如くに丁度いい塩梅で喋るのも大変だろう。不安感からつい喋り過ぎてしまう気持ちある程度理解できるが、しかし相手の情報が少ない中で喋りすぎればどうしても自分の話が中心となり、自慢話に聞こえ勝ちになる。タクシードライバーもそうだ。無口か喋り過ぎかの二択で丁度いい人がいない。
いや、私としては無口なのは別に構わないのだ。だが喋り過ぎは勘弁してもらいたい。相手をするのが苦痛になるようでは困る。私はタクシーなど滅多な事で乗らないようにしている。
この店でシメに供された鯛飯が、娘は大層気に入った様子だった。今度作ってくれるそうだ。楽しみにしているよ。