本作タイトルをもしも日本語で書いてあればどうだろう。バカみたいで買う気も失せる。
ジャズのレコードにはこうした自画自賛というか臆面もないというか、日本人なら絶対つけないタイトルのものが少なくない。アメリカ人て・・・
がしかし、デザインで挽回してしまう本作。Vol.3とあるように、1も2もあり1が最も有名であろう。でも私は3が一番好きだ。それはジャケットもあるけれど、演奏がリラックスしていて聴きやすいからだ。「ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス」の存在も大きい。
でもやはりジャケットだ。正直に言わないといけない。同じ面子のVol.1の方が一般に名演とされるが、私はジャケットが嫌いであまり聴く気にならない。まあそんなもんだ。レコードのジャケットは演奏内容と同じくらい大切ってこと。だからジャケットが付いてないダウンロードとかいう愚かモノは論外なんである。
「ワニのジャケット」実は二種類ある。
背景が白と明るい青とで、手元の盤は輸入盤OJCの白だ。OJCとは「Original Jazz Classics」の略で、コンテンポラリー、リバーサイド、プレステッジ等々を「モノポリー」の如く傘下に収めた米ファンタジーから出た廉価盤である。
話はそれるがこれが意外と音が良くあなどれない。レーベルを傘下に収めるという事は、オリジナルマスターテープを手に入れるという事だ。ファンタジーは更にそれを現代的にリマスターして製品化した。だから音が非常にフレッシュだ。もしかするとオリジナル盤よりも音が良い可能性すらあるが、オリジナルを聴いたことがないので分からない。
ちなみに全ての日本盤はおそらく、オリジナルマスターテープからプレスされていない。
本作であれば、コンテンポラリーの倉庫に厳重保管されていた門外不出のオリジナルテープ(これは重要文化財のようなもの)からおこされたコピーが送られてきて、それをもとにプレスされたのが日本盤ということになる。だから日本盤よりもOJCの方がスジが良い。昔カセットテープなどをコピーした経験をお持ちの諸兄にはご理解頂ける筈だ。
ただこのOJC、そもそも設定価格が安く(日本では1000円強だった)、従って当然安く作られたと思われ全てが雑だ。ジャケットも盤もペラペラであるし、プレスもひどく雑。
時々「ニキビ」や反りや、ひどいのは新品なのに傷が入っているモノすらあった。まるでいいとこなしだが、しかしそうでもない。基本的にはその素性ゆえ、くどいようだが音が良いので、運よく「無事」なヤツを引き当てると「やった!」感があった。
そんなOJCのレコードを随分買った。昨日のことのように思える。でも実際は既に30年以上前の話だと、書いている途中で気付き驚く。
話を戻そう。
本作には青盤と白盤があり、オリジナル盤がどちらだったか、見たこともない私は知らない。しかしCD化されたものが殆ど青地なので、オリジナルは青盤だった可能性もある。だが私の美的センスでいうと、これはもう絶対白地だ。緑のワニの背景が青って、それはないだろう。目がチカチカするではないか。
日の丸を見よ。白地に赤く日の丸染めているから、あ~美しいのであって、もしも青地だったらどうでしょう。中近東か、どこかアフリカあたりの国旗になってしまう。ご飯だって白いから美味しく頂けるが、万一青かったら?雪もそうだ。白いからまだ許せる。もし青い雪に閉ざされたなら、この冬がさらに鬱陶しいものとなる。
こじつけです。
空も海も青い方がいいに決まっておる。この地球は青いからこそ美しい。全部白くなったら氷河期だ。アメリカ生まれのセルロイド人形の瞳は青くなければ歌にならない。白かったら怖いよ。ですが、ハンプトン・ホーズの「ワニ」だけは、絶対白盤でなければ私はイヤ。