91. 一周の旅 その14 | BACKUP 2024

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備忘録

 

 

 

場末感濃厚なJR根室駅。
何しろこの先はもう何もないという行き止まりの町だ。
若者が都会に出たくなるのも無理はない。
この街で職を得て生きていくのがどれほど大変か、おそらく私など半分も理解していないだろう。
公務員と銀行員以外の者に、ここに留まらなければならない理由がそう有るものでもなかろうと、勝手に想像しているだけだ。
でもそんなに外れていない気がする。

勝手ついでに言わせてもらえば、良く晴れた晩夏に立つならこの場所だと思った。
哀愁それは夏の終わりである。
けして秋ではない。
人生で言えば30代後半。
まだ何もかもが自由になるけれど、それがいつまでも続かないのに気付き始める頃。
強いが少し弱くなり始めた日差しを受けふと思い出した。

 

 

 

 

 

 

人通りがほとんどない駅前にジャズ喫茶がある。
失礼ながら、意外なほど上品なご夫婦が二人でやっておられた。
ビールを注文し、暫しジャズに浸る。
根室でジャズ喫茶に巡り合えるとは思っていなかった。
どこで聴いてもジャズはジャズ、やっぱりいいな。
あと少しでいいからボリュームを上げてくれたら他に言う事はない。

地方都市には結構喫茶店が生き残っている。
スタバ的なものが進出していないからだ。
不倫はどうか知らないけれど、喫茶店は文化である。
アレらは文化を食い荒らすオニヒトデのようなものだ。
かつて札幌にもいい喫茶店がたくさんあったがほとんどやられた。
そして街角に喫茶店のある風景が、皮肉にも若者が見捨てた地方都市に残った。