幼い頃からお世話になった方が、また亡くなった。
一人娘のそのご家庭の、しかし、ワイルドな心優しいヨットのオーナーは、僕たち兄弟を実の子のように可愛がってくれた。
浜名湖に係留されていたヨットに僕たちはよく乗せてもらった。
風をよんでタックするタイミングを、本当に息子のように、厳しく優しく導いてくれた。彼の笑顔と笑い声のおおきさは、小さくまとまりがちな僕を奮い立たせてくれた。
浜名湖の岸近くの濃い緑色の湖面、時にクラゲが漂う水面が思い浮かぶ。
水上スキーも初めて教えてくれた浜名湖。
そこに導いてくれた我が師。
仲がよかった父と、きっと今久しぶりにいっぱいやっているにちがいない。
僕の父が亡くなった15年前、失意の僕たち家族に、軽い言葉をかけたりはしなかった。それがかえって、彼の僕たちへの愛情の深さをあらわしていた。
だまって、キースジャレットの映像を貸してくれた。
ジャズに傾倒しはじめたあのころ。
彼は、浜名湖で過ごした日々と音楽と親の愛情を、僕たち兄弟に控えめに、でも力強く…
僕をジャズに導いてくれた、師も今病床にいる。
彼が導いてくれた、ジャズピアニストとの交流のコンサートは明後日、14年目を迎えてスタートする。
僕の中ではとても理解できないほどの、大きな人々の思いがぐるぐるめぐっている。
僕は、ちっぽけな僕は、その中で精一杯生きていくしかない。







