いろいろ考えたけど、躊躇しても始まらない。
重い木のドアを開けると、大音量がおそってきた。
坊主頭のマスターが、初めての客をチラッとみた。カウンターには、いかつい坊主頭のお客。怖すぎる…
でも、もう覚悟は決まっていた。
カウンターに向かった。
今から15年ほど前、T中学校に赴任した。
この学校では、全校朝会で教師が話をするというコーナーがあった。
俺の順番にまわるまでには、少し時間があった。
6月くらいに、番が回ってくることになった。
赴任したての学校で、何を話すか…
いつもとは、また違う緊張感があった。
教師の中学生時代を話す人が多かったが、どうもぱっとしなかった。
全校生徒600人が月曜日の朝一番に静寂の中で、教師の昔話を聞いても、そりゃーぱっとしないわな…。客観的にはわかるけど、でもいざ自分の番になると、何をしていいかわからなくなってきた。
結構、俺はまじめな性格なのだ。
明日、番がまわってきた俺は、釧路市中心部の栄町公園あたりを歩きながら考えていた。
全校生徒に話す場所は、体育館。
放送機器が使える。
気になっていたのは音楽。
俺が洋楽に目覚めたのは、中学校2年生、イーグルスの「ホテルカリフォルニア」だった。これか?と思ったが、いやちがう…。俺は友達からレコードを借りてその世界に入った。学校なんかで教師がロックを紹介しちゃいけない。それは、ちょっとヒネくれた中学生が求めてたどりつく場所なんだ。それを俺が紹介しちゃったら、そいつらの行き場所はどこになるんだ?
おせっかいな話だけど、その時の俺は、栄町公園を歩きながら、そんなことを考えていた。
ふと、ひらめいたのが、ジャズ。
ちゃんと聴いたことがない音楽。でも、深そうだ…という畏怖、畏敬の念は持ち続けていたジャンルだ。
「普通の中学生どころか大人になってもよくわからない音楽」
これを中学生に聴かせてみたら、いったいどうなんだろう?
「zooey」というアルバムが出た。
佐野元春の最新作。
9曲目に「詩人の恋」という曲がある。
どうしようもなく、心を合わせられる曲。
まわりの人にどう思われようと、いいものはいい、といえるもの。
大好きだ!と思えるもの。
そういえば、そういうものって少なくなってきている。
周りの評価、眼が気になったり、自分の評価を他人の評価と合わせて確かめたり…
そんなこと、本当は必要ない…
自分が好きなものを好きといえばいいのだ。
「詩人の恋」
名曲だ。
大沢たかおという俳優が大好きだ。
「深夜特急」というテレビを見たときから、なんというんだろう、友達みたいな感覚でいる。
父が他界したその年、世界放浪することに、生きていくことに希望をみた…彼の表情に声のトーンに今も俺は共鳴し、なぜかわからないけど、生きることの意味や迷っている自分を共にし、なんか、少し元気が出てくるのだ。
もう少し生きてみよう…
そう思った日々がよみがえる、そして、今日もそんな風に思った。
「ジスイズ」というジャズ喫茶がある。釧路市栄町。
マスターは小林東。
学生時代に何回かはいったかもしれないが、当時の俺の行きつけの喫茶店は「モカ」というフロランタンが美味しい店だった。コーヒーはたしか350円だった。
時間があったら入り浸っていた。毎週奥の部屋では、鶴居にあるキブツにいた外国人を招いた英会話教室にも行ってた。ずいぶんお世話になった喫茶店だった。
釧路に来て最初にお世話になった旅館「栄町旅館」のすぐ近くだった。
今はもうない。
もともとジャズに傾倒していたわけではなかった。
ちょっとしたきっかけがあったとすれば、高校生のころ、僕をすごく愛してくれた祖母が買ってくれたデイブグルーシンの「マウンテンダンス」のLP。
このレコードを欲しいと、なぜ思ったのかは忘れてしまったのだけど、岐阜県大垣市のデパートで買ってもらったのだった。
フュージョン全盛期だった。
スターウォーズのエピソード7~9ができるそうだ。
ウォルトディズニーが乗り出してきた。
賛否はあるだろうが、レジェンドが再び始まることをただただ喜びたい!!!
ただ、スターウォーズマニアとしては、当初(30年以上前)全12作と言っていたことも忘れてはいないよ!!!
14回目を迎えた椎名豊さん、広瀬潤次さんを軸とする、ミュージシャンと釧路の地元中学生+OB・OGのジャズと心の交流。
いろいろな人たちの思いを乗せて、Aトレインは走っていく。
俺たちが生きていようといまいと。
でも、走っていく。それでいいのだ…