『剣客商売 女武芸者』 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

一旦3時半に目覚め、またすぐ眠れて今朝は7時ちょっち過ぎに起きた。

狭間美穂をユーチューブで聴いた。

朝食はさつま芋紅はるかの太いのをレンジ加熱して食うた。デザートは青森産りんご。

「恋鏡」第一話をユーチューブで見てみた。チェン・ユーチーが主演。

フレッド・ハーシュ→大石学→イニャキ・サンドーヴァル→上原ひろみとピアノ演奏をユーチューブで聴いた。

筋トレ15分し体温めてから、浅草散歩に出掛けた。

昼食は浅草東本願寺近くの「菊丸」に入った。注文したんは穴子入り五目ちらし。ポテトサラダ、吸い物、寒天ソフト、コーヒーが付き1030円也。

満足して店出て、スーパーで食料買うて帰宅した。

池波正太郎の「剣客商売」の第一巻を第二話迄読んだ。

風呂に一時間浸り考えとった。習近平中国共産党は沖縄県尖閣諸島周辺の軍事的プレゼンスを増し続けとる。中国海警局の艦船が1月から、沖縄県尖閣諸島周辺の日本領空を飛行する自衛隊機に対し、中国の領空を侵犯する恐れがあるとして退去するよう無線で警告し始めた事が明らかになった。中国海警局は尖閣周辺で領海侵入や接続水域航行を日常的に繰り返し、日本の漁船を追尾しとる。ワテ等日本国民は、尖閣周辺の接続水域より外側の公海上で中国軍と海上自衛隊の艦船が留まり睨み合いが散発しとる状況をきっちり認識しとかなならん。

山岸潤史→布川俊樹→岡安芳明→小沼ようすけと、これ迄ライブ聴いとるギタリストをユーチューブで聴いた。

夕食はブラジル産鶏肉、千葉産大根、北海道産じゃが芋を炒めて食うた。デザートは和歌山産八朔。

ラジオ「テイスト・オブ・ジャズ」を聴いた。

 

 

去年霜月、大学教授定年迎えて農業従事者になったゼミの先輩Kさんと話しとる時、読もうと思うた小説がある。Kさんがええと云うとっただけやなく、加齢をシビアに感じ出したら読もうと決めとった小説や。

それが池波正太郎の「剣客商売」で、その第一巻の第一話である『女武芸者』を読んだ。

舞台は田沼意次を重用した十代将軍徳川家治の治世。主人公は無外流の達人秋山小兵衛とその息子大治郎。

年が明けると60歳の小兵衛は白髪頭の粋な小男。六年前迄は四谷に道場構えて、門人達に熱心に稽古つけとった。今は鐘ヶ淵に臨む田地の中に百姓家を買い取って改造した隠宅つくり、手つけてもうた年の差40のおはると暮らし、夫婦同然やが結婚はしとらん。

年が明けると25歳の大治郎は浅黒く巌のように逞しい。真崎稲荷明神社の近い木立の中に父が建ててくれた十五坪の道場兼住まいを持つが、まだ門弟が一人も居らんのですわ。そやさかい食事はいつも根深汁に大根の漬物で麦飯なんや。

物語は大治郎が道場構えて半年後に中年の立派な風采の侍が訪れるところから始まっとる。田沼家中屋敷で行われた剣術試合で、大治郎が七人勝ち抜いて頭角現したのを見とったから来たんや。その用件は、或る者の両腕を叩き折ってくれちゅうもんで、五十両差し出した。「貴所を見こんでのことでござる。世のため人のためでござる」と云うんや。それでいて、事情と相手の名前と居所は絶対語らぬのや。

大治郎は執拗に粘りぬくその侍を追い返したわ。

翌日昼前、大治郎は父小兵衛の隠宅を訪れた。怪しげな依頼しに現れた侍の報告にや。

それ聞いた小兵衛、世の裏表を知らぬ息子が変な事件に巻き込まれては困ると調べ出しますんや。自分が動くだけやなく、四谷の御用聞き弥七の手も借りる。

弥七は、小兵衛が四谷に道場構えてた頃、熱心に剣術の稽古しに通うとって、それから交際が絶えとらん。

弥七の調べたところ、五千石取りの旗本永井和泉守の息子右京と田沼意次の側妾の娘三冬に縁談が持ち上がっとる。ところが、三冬は男装の女剣士で、自分より強い男としか結婚せぬと言い張っとる。一刀流の名手として知られた井関忠八郎の市ヶ谷にある道場の四天王である自負があんねん。

試合して自分に勝ったら潔く永井家に嫁ぐと二十歳になる三冬が云うとるんや。その相手右京と剣を交え、勝ったらばせぬちゅう事やが、右京の方は大小を腰に差すと腰がふらつく有様なんや。

それで閑職の御留守居から将軍の御側衆昇進狙うとる永井和泉守は、何としても老中田沼意次と縁結び、その威勢へ取り入りたいもんやから、用人の大山佐兵衛と策を講じて三冬が試合出来ぬ体にして息子と結婚させようとしとったんですわ。
けど、小兵衛が三冬を救う事になんねん。永井和泉守と大山は大治郎に拒絶された後、念流の使い手である浅田虎次郎等四人に三冬を襲わせたんや。浅田虎次郎等、投網使うて身動き出来ぬようにした迄は上手く運んだものの、現れた小兵衛に痛い目に遭わされますんや。

翌々日、小兵衛が隠宅で礼に来た三冬と話しとる時、浅田虎次郎等五人が性懲りも無く襲い来たんやが、難無くふたりで対処し抑えた。

そして正月二十日、浜町の田沼家中屋敷で三冬と右京が木刀を交えたんやが、右京すぐ右腕を骨折されて仕舞いや。

永井和泉守、右京をくどくど叱りつけたがな。右京は「これでよかった。女樊噲を妻にするなど、とんでもない」と嬉し気に囁いたんやけど。

永井家への意次の娘嫁入りを成功に導こうとする汚い策を主人に勧めた用人大山佐兵衛は自殺を遂げた。

佐々木三冬は頻繁に小兵衛の隠宅を訪れるようになる。三冬が小兵衛見る眼には、何やら妖しげな情熱が込められとるがな。
おはるは嫉妬する。

この物語のええところは、小兵衛と大治郎、その対照的な親子の姿や。老剣客小兵衛には軽みが身に付いとるんですわ。飄々としとる。片や、大治郎は剣一筋の堅物なんや。そして、凛々しい三冬とほんわかなおはるも同い年やが対照的なんや。

この著者らしく旨そうな食べ物が出てくんねん。ワテにとって大根の煮物はどうでもええが、納豆汁に根深汁、食いとうなったわ。思い出すのは、お袋がようつくってくれた根深汁、旨かったなあ。

嬉しいのは、剣術を好み、江戸に居る剣客達の庇護者の一人となっとる田沼意次が登場するこっちゃ。

ワテは大石慎三郎の著作「田沼意次の時代」を読んどって、鉱山開発するとか、蝦夷地開拓にロシア貿易を計画するとか、銀の含有量少ない銀貨を発行し益出すとか、田沼意次を評価しとるんですわ。

悪辣な松平定信等の情報操作で陥れられなかったら、天災が重なっての飢饉にならなかったら、意次が政治動かし続け米依存の財政から商業重視の改革押し進めとったろうにと、残念でならんのですわ。

この物語で田沼意次はどない扱われるんやろ?小兵衛と大治郎の活躍だけでなく楽しみがある。