今朝は7時半に起き、朝食は北海道産ななつぼし米でご飯炊き、くめ納豆、海苔で二膳。デザートはニュージーランド産キウイ。
風呂に小一時間浸り考えとった。半導体子会社東芝メモリの売却が決まった東芝やが、虎の子手放してこの先何を稼ぎ頭にするんやろか?経営者のビジョンが見えて来ないがな。
「風中の縁」第11話をギャオで見て、ゴンサロ・ルバルカバー→ジェリー・マリガン→フィル・ウッズとユーチューブで聴いた。
郵便局で金下ろし、昼食は西浅草「鍋茶屋」へ行って、いつものランチうな丼をお願いした。1080円也。
満足して店を出、八百屋で果物買うて帰宅。
牛乳を飲みながら「さらば、わが愛~覇王別姫~」をギャオで見直した。漢軍我が楚の地を奪い、四面に響く楚の歌。項羽と虞美人描いた京劇。チェン・カイコーには駄作もあるが、これはええ作品や。
ほな、先週M子がやって来て、ジャズ研の4人が集った時の事を。
M子の到着が遅れとった。
Mちゃんもまだやったが、彼からは連絡届いとった。
「どうしたのかしら。時間厳守のM子が珍しいわね」と云うたの、早いペースで酒飲んどったDOD。
「本当に。本社で引き留められてるのかしら」とマイペースで酒飲んどったOK。
ワテ等は約束の神楽坂の居酒屋に時間通り集い遠来の客を待っとったんや。
「この儘来んでもええ。去年は来んかったから平和やった」ちゅうワテの呟きにDOD、「平和を取り崩してるのはふたりだから」
OKがその言葉引き取り云うた。「喧嘩する程仲がいいのよね。S吉は待ち遠しい思いでいるのよ、本当は」
「どういう待ち遠しさなんだか。これから平和は危ういものと知る機会がまた来るんだわ」とDOD。
「ワテ言葉の暴力でこれ迄散々痛めつけられて来たんやでえ。平和の為に立ち向かわなならんのや」
「M子が危険人物みたい」OKが笑うた。
「その危険人物、来てもええけど、Mちゃんが到着してからにして欲しいがな」
DOD「S吉に甘いレフリーが来ないと不利だものね。口の達者さでは到底敵わないし」
とか談笑しとると、ワテの願いも空しくM子が顔出した。ビジネススーツ姿で、白髪が増えとったものの肌に張りがあり顔はつやつやしとった。
ワテ、芝居気出してM子に向かい云うた。「会えてよかった。M子に会う為に今日ちゅう日はあるんや」と臭い台詞を吐いて、反応を見た。
DODとOKは噴き出し笑いしたが、当の本人は「Mちゃんはまだなの?」ワテの挨拶の言葉無視するように尋ねたんや。
「仕事で少し遅れるそうよ」DODが答えた。
「相変わらず忙しく働いてるんだ」と云い、間を置き「誰かと違って」と、プータローなワテを一瞥し云い足すねん。
「先月来るちゅう話やったから首長うして待っとったのに、宮本武蔵しよるとは」云うて、M子睨んでやったわ。
「会社の都合なんだからしょうがないよ。それに元々あんたの首は長いだろ」
「ワテはキリンやあらへん。ところてん、その話すると嫌がるMちゃんが来る前に尋ねたい事あんねんけど」
「何さ」と、ちょっち身構えるM子。
「昔、江東区の砂町銀座商店街へ一緒に行ったやろ。荒唐無稽な話やあらへんでえ」
「相変わらずなんだ、駄洒落男」と、DODとOKに振るM子。
「駄洒落だったのか。この頃はほとんど口にしないから今の分からなかった」答えたのDOD。
「砂町銀座商店街、行った事は無いけどテレビで紹介されてたから知ってる。何をしに行ったの?」とワテに尋ねるOK。
「食い倒れツアーですわ、確か今頃の時節やった。懐に優しい商店街で、学生のワテ等にも鱈腹食えたんや」
〈ここで砂町銀座商店街を紹介しとくわ。
商店街の名称で何たら銀座ちゅうのはようあるもんやが、OKが云うとったように砂町銀座商店街に行った事は無いものの、テレビで見て知っとる方は多いやろ。活気に溢れる昭和な商店街として取り上げられるからな。個人経営の小さな商店が密集しとる所なんや。
都営新宿線西大島駅で降り明治通り歩く、もしくは東西線南砂町駅で降り丸八通り歩くかやが、どちらからもそこそこ歩く事になるんや。ま、そやさかい昔ながらの商店街の姿保っとるんやろ。
そして、惣菜屋が多いのがこの商店街の特徴や。〉
「砂町銀座?」とM子は遠く見る目で記憶辿る様子やったが、「ああ、Mちゃんが酔っぱらいに絡まれた時の事ね。古い話ね、大学4年の時だよ」
その場には居らんかったDODとOKが驚いた様子見せ云うた。「そんな事があったの」「絡まれた事あったの」
「あったなんてもんじゃないよ。Mちゃん、そのオヤジに随分気に入られて大変だったのよ」
「気に入られて?」DODとOKが声揃えた。
「どんな人だったのかしら?」とOK。
「口許がだらしないオヤジよ」
「そうなんや。眼のふちを赤らめ口許ゆるいオッちゃんがカップ酒持って、M子やNちゃんには目もくれずMちゃんに寄って来たんや」
「そう、酔っぱらいの竹中直人そっくりだったわよ。呂律がまわらなくて千鳥足」
「それで」と興味津々な様子のDOD。
「オッちゃん、語り掛けながらMちゃんの体触りまくっとったんや」
「え!」またDODとOKが声揃えた。
「触られたの。Mちゃん、何て災難だったの」とDOD。
「その気がある人だったの?」とOK。
「今から思えば、そやったんやろな。あの時はヘンなオッちゃんとしか思われなんだ」
DODが責めるような目して云うた。「Mちゃんが大変な目に遭ってたのに、その間S吉は助けてあげなかったの」
「助けるも何も」と云うたところで、遮ってM子が云うた。「面白がってた」
「ちゃうわ。呆気にとられとったんや」慌てて手を振って否定したわ。
「どうだか」
「M子、その頃のワテは純朴な青年やったやろ。そやから」
「口が曲がるよ。あの頃Hとつるんで何してた」また遮りそうM子が云うと、DODも「確かに」。OKは「胸に突き刺さるわねえ」
「あんたはHの弟子だったもんね」
一瞬怯んだが気を取り直して云うた。「H君はH君。ワテは砂町銀座商店街に似合う純朴な青年やった」
「純朴って言葉全然理解してないよね」と、DODとOKにM子が同意求めると、ふたりは黙って頷くやないかい。
「それで砂町銀座がどうしたのさ?」
M子の問いに、肩の力抜けたワテは答えた。「あの時、皆で入って食うた店にまた訪れてみよと思うとるんやけど、屋号忘れてしもて。記憶力ええM子やったら憶えとるんやないかと」
ほんまは、噂のH君が再来月やって来るはずやから、今年は砂町銀座商店街へ連れて行って、食事をそこでしよと考えとったさかい尋ねたんですわ。
「一緒に入って食べた?買い食いばかりだったような気がするけど・・・」M子は思い出す仕草した。「どんな店だった?」
「子供の頃あったミルクホールのような」
「あ、思い出した。奥にレンガで出来たかまどか何かがあった店じゃないの?」
「そうかもしらん」ワテは店内の事全く憶えとらんのや。「で、名前は何やった?」
「憶えてない。もう無くなってるんじゃない、入ったのかなり昔だよ」
「そうか、M子でも忘れてしもたか」
「それより、別な事思い出したわよ。あんた、触られまくったMちゃんに、オッちゃんの指紋を洗い流したいだろとか、体浄めたいだろとか云って、嫌がるMちゃんを銭湯に引き入れようとしたわよね」
「無理やり?」とDOD。
M子は無表情に頷き、「そうよ。温泉だったから、自分が入りたかったのよ」
「温泉に目が無いもんね」とOK。
「銀座湯温泉やな。正面が宮造りのフツーな感じの銭湯やったけど、アメリカンなコーヒー色した湯やった」
「その記憶だけはしっかりしてるのか」
「Mちゃんと一緒に入ったの?」と問うOK。
ワテが答える前にM子「結局Mちゃんに断られて、そこで解散してあたし達は帰り、この人一人で入ったのよ」
「Mちゃんに入ろうと云うたのは憶えとる。しかし、だが、でも、無理強いはしとらん」
「S吉は無理強いはしないよね」と、助け船出してくれたのOK。
「そうや、慎ましく純朴な青年がする訳あらへん」
ちゅうたところで、「賑やかだね。どんな話題?」と云いながらMちゃんが到着。
「心の郷愁の話して懐かしがっとったんですわ」
ワテをちょっち睨んでM子が云うた。「今度はMちゃんも懐かしがる話題にしようよ」