『鬼平犯科帳 盗法秘伝』 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

昨夜、ラジオ「ジャズ・トゥナイト」を最後迄聴いとったんで起きたのは8時半過ぎやったが、くしゃみ連発し腰が痛んだ。

腰痛が治らんのや。けど、痛み止めに頼るのようないから、飲まずに一日過ごしてみたが、外出する気にならぬ程の痛みやった。

腰温める為もあり、風呂に小一時間浸ったんやが、ヤフーニュースにあった後継者不足から中小企業の廃業が進んどるちゅうの考えとったら、伊砂の善八が登場する「鬼平犯科帳」を思い出したがな。

朝食は北海道産ゆめぴりか米でご飯炊き、くめ納豆、紀州産梅干で二膳。デザートは長崎産早生みかん2個。

ハンク・ジョーンズのピアノ演奏をユーチューブで聴いた。

昼食は西浅草「イマージュ」へ行った。ワンプレートランチを注文したが、小海老と白菜のキッシュ、ハンバーグ、イナダのガーリック胡椒、サラダ、パン、プチデザートにコーヒーゼリーが付き、飲み物がドリンクバーで1080円也。イナダのガーリック胡椒が旨かった。

先週も昨日も土曜図書館サボったんで、ゆいの森あらかわへ行き、新聞読んどると、立会人に津村節子が来ておしどり文学館協定締結式をやるとのアナウンスがあった。

帰宅後、筋トレ30分し、牛乳ガボガボ飲んだ。

夕食にタイ産鶏肉、群馬産キャベツ、北海道産人参を炒めて、ご飯と食うた。デザートは長崎産早生みかん3個。

今日も痛み止め飲むの控えたが、昨日に比べたら痛み鎮まっとる。

ほな、「鬼平犯科帳」の中でも「血頭の丹兵衛」同様大好きな作品の事を記してみますわ。

 

 

伊砂の善八が登場し、人間ちゅう存在の面白さ描いた『鬼平犯科帳 盗法秘伝』は、好きな「鬼平犯科帳」の中でもワテの好み上位5本に入る作品や。

幕府から、命懸けで働き続けとってお疲れ気味の長谷川平蔵に暫く休ませたろと、火付け盗賊改の長官を解任するとの沙汰があったんやけど、平蔵はええ機会やと解任に当たって京都への旅行願いを出した。京都の在任中に亡くなった父宣雄が葬られた寺へ墓参り旅をする事思い立ったんや。

それで、同心木村忠吾を先発に出し、長谷川平蔵はのんびり行くことにしたんや。

剣客か浪人かちゅう姿で平蔵がゆるゆると歩を進めとる8日目、山道で女の悲鳴のようなもん聞いた気がした。

縄で縛られた一組の若い男女が、三人の無頼漢に痛めつけられ歩かされとるやないか。

平蔵は無頼漢共を懲らしめ、不作の胡瓜の如き痩せこけた男女を助けた。

ところが、無頼漢に事情を問うと、その男女は遠州見付けの酒問屋升屋の市五郎の奉公人で、主人の金を盗み駆け落ちしたんで、捕まえた身を連れ帰る途中やと云うねん。

奉公人の男も認めたんで、それでは仕方ないと、無頼漢共に引き立てられる男女を平蔵は見送った。

その一部始終を見とったのが旅姿の商人ふうなへちまのように長い面した老人ですわ。

この善八老人、升屋の市五郎のあこぎさを語るんや。

実はこの老人、伊砂の善八ちゅう一度も捕まった事無い盗人やったんですわ。

平蔵と善八は同宿し、風呂に入ったり飯食うたりしながら話すんねん。

平蔵の腕前と人柄を見込んだ善八は、事もあろうに火付け盗賊改の長官やった平蔵を跡継ぎ、盗みの後継者にと考えるんや。

ここで芝居するのが平蔵や。

あくどい升屋の市五郎を嫌う伊砂の善八は、五年振りに升屋の屋敷に忍び込むのに平蔵誘いますんや。

盗人に惚れ込まれた平蔵、何と升屋の市五郎の屋敷に忍び込みますんや。盗みの手助けしますんや。

平蔵、とことん芝居すんねん。

平蔵従えた伊砂の善八、名人芸でまんまとしてのけた。しかも、監禁されとる件の若い男女も助け出し、後で身の振り方考えてやろうと云いますんや。蔵にうんこし汚してから出た善八、並みの盗人やあらしまへん。盗人の本道真っ直ぐ行くの誇りにしとりまんねん。

浜松の城下へ近付くと、盗み出した金から好きに使えと50両を平蔵にポンと渡し、明日の待ち合わせ場所決め、穿った事書き付てある盗法秘伝も目を通しておいてくれと渡し、善八は去った。

前火付け盗賊改長官に盗法秘伝を渡してしもたとは知る由もない。

盗人宿に金を隠しに行った後、待ち合わせの旅籠で平蔵に会うた善八、平蔵が続ける芝居にまんまと乗せられるんや。

そんな善八は懐から取り出したお目当て細見ちゅうもんを平蔵に見せたんや。

平蔵、瞠目ですわ。そこには盗みに入るの狙った先32軒の図面、家風、主人夫婦の性格、奉公人の数がびっしり書き連ねてあったからや。

翌朝、旅籠出たふたりに追いかけて来た7人の升屋の市五郎の手下が脇差抜き襲い掛かったものの、難無く痛めつけた平蔵。目の当たりにした善八は、更に感心してまう。

道中、一休みを誘った平蔵が道逸れた木立の中でさっきのお目当て細見をもう一度見せてくれと云うのに、信じ仕切っとる善八は渡すんやが、平蔵は中を見もせずいきなり懐に仕舞い込んでしもた。

それは善八にも異様に見え不安の色走ったが、もう遅いがな。

待機しとった木村忠吾が呼ばれ、無頼漢共の始末の報告を求められるんや。

そして、忠吾は平蔵が誰あろう前火付け盗賊改長官の鬼平であるのを明かすんや。

伊砂の善八の驚愕の有り様、目に見えるわな。己の後継者にしよとしとったのが鬼平なんやから、これ以上のドジは無い。

そんな善八が観念したのは当然ですわ。

ところが、平蔵はこの老盗をお縄にせんのや。

鬼平は云うんですわ。達者で暮らせ、隠居をするの早いに越したことはない、今度出会うたら運の尽きと思えと。

そして、さっさと街道へ出て行った平蔵を追いかけた木村忠吾が、なぜ老盗を見逃したかと尋ねた。忠吾は並みに何とか入る位の人物やからな。

もし平蔵が並みの警察官僚やったら、法を適用するだけで仕舞いにするわな。

この作品には、長谷川平蔵の人間としての幅、大きさも存分に描かれとる。平蔵こそ、法律ちゅうもんの限界を知っとって臨機応変に対応する、人を活かせるリーダーなんや。