青根温泉「不忘閣」 86年夏 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

勤めとった会社の仲間と山登る夢見て目覚めた今朝は7時に起きた。

椎名林檎と中納良恵をユーチューブで聴いた。

朝食に北海道産ゆめぴりか米でご飯炊き、くめ納豆、海苔で二膳。

風呂に一時間浸って、都知事の重責があるのに代表になった野望プンプン臭う小池百合子の希望の党の公約には抽象的なもんしか無いが、その希望ちゅうのもまた抽象的でしかないんやろなあ。それにしても、相変わらず軟弱な前原誠司らしい大義無き柳に風な提案を民進党議員がこぞって了承するなんて、と考えとった。

りんごジュース飲みながらダイアナ・クラールのアルバム「ザ・ルック・オブ・ラブ」をCDで聴いた。

昼食は蔵前「ビストロ モンペリエ」へ歩いて行き、注文したのはいつものAランチ。今日は肉料理を選び、子羊の肩肉オランダ風煮込み ピラフ添えで、ダンプリング煮込み、パン、デセールにはアイスクリームにチョコレートパウンドケーキ、コーヒーが付いて1350円也。ダンプリングとは、小麦粉煉って団子状にして茹でたもんやったわ。

満足して店を出て、スーパーで食料買うて、郵便局で金下ろして帰宅した。

筋トレ30分し、黒田卓也→高澤綾とトランペット奏者をユーチューブで聴いた。

 

 

仙台藩の御殿湯だった青根温泉にはこれ迄に三度宿泊しとる。「不忘閣」に86年夏に九人で、94年初秋には三人で泊まり、「ホテル戸田」には88年初夏に四人で行った。

青根温泉は、仙台平野を一望する山の中腹にある湯なんや。晴れとる時には実に眺めがええねん。山並みの向こうに仙台の街が見え、その先に仙台湾が見える。

夏は避暑地としてええ所ですわ。

86年夏に日本秘湯を守る会の会員宿「不忘閣」に泊まった時のメンバーは、勤めとった会社の仲間のK信さん、S広さん、浩さん、Y田さん、真さん、KKさん、N島さん、USさんとワテやった。この中でY田さんと浩さんはお亡くなりになっとる。

「不忘閣」は、伊達公から先祖が湯別当に任ぜられた風格漂う宿ですわ。

一画に青根御殿ちゅう殿さんが逗留した桃山様式の木造二階建ての建物が石垣の上に築かれとるが、目の保養になりまっせ。山本周五郎の伊達騒動描いた小説「樅ノ木は残った」に出て来るやっちゃ。今は伊達家ゆかりのお宝なんぞを展示しとる。

庭園もなかなかのもんやでえ。

また、芥川龍之介が滞在して執筆しとった土蔵もあったがな。

気さくな仲居に案内されて行き、ワテ等はそれぞれ男と女の部屋に分かれた。

男達は暫し茶飲み歓談してから、K信さんが「風呂に行かない?」云うんで、揃って共同浴場になっとる大湯へ行ったんや。昔は藩主の御殿湯やったと云う。石を組んで造ってあり長方形なんやが、湯気の中に結構な人数が入っとったんで、ワテ等は烏の行水の如く短時間で湯船出て、狭い洗い場で体磨いて、部屋に戻ったわ。

夕食には旬の山の物、海の物が調和よう並んで、飲むビールの量が進んだ。

食後、浩さんとS広さんにY田さんとでまた大湯へ入りに行ったら、小父さん二人しか居らんかったんで、ゆっくり透明の湯に浸ったがな。

夕食前に入った時は気付かなかったんやけど、真ん中に半端な高さの仕切りがあるのが男女の境なんや。

隣りで浸る浩さんが呟いた。「伊達政宗も浸ったんだねえ」

「浩さんもお殿様の気分でっか?」云うたら、浩さん楽しそうやった。

旅の四泊目になった最後のこの夜、初日から当日迄を振り返りながら話をしとったが、一人寝、二人寝となった。

ワテは寝る前にタオル掴みもう一風呂入りに行ったが、Y田さんが一人タオル頭に置き浸っとった。

「Y田さんも温泉好きでんなあ」云うたら、「S君程では無いよ」と返された。

泉質は単純泉。

部屋に戻る廊下を歩きながら、夏の夜更けの静かさをしみじみ感じた。

床に伏せて伊達政宗の生きた時代に想いを馳せとったらいつの間にやら眠っとった。