六義園 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

今朝の起床は7時でくしゃみ三連発。鯉に餌をやり、朝食は昨夜スーパーで半額になっとった温玉合鴨丼。デザートはチリ産レッドグレープ。

H世っちに葉書を認めた。

筋トレ30分した後、小一時間風呂に浸った。我が国では討論や論争を毛嫌いする人が少なくないが、そやから論理が発達せんのやと考えた。グローバル化しとるのに、説得するのが下手な人多いし。

散歩へ出掛け、今日は港区を歩き回ったがな。芝公園→東京タワー→虎ノ門2丁目タワーのロビーで12時10分から大澤理菜子(ヴァイオリン)と吉原清香(ピアノ)の演奏を聴いた。
昼食は久し振りに赤坂「ビストロQ」に行き、Aランチを注文し、前菜はパテドカンパーニュ、メインに和牛ハンバーグ フォアグラ詰めを選んだ。パンが付き1200円也。
満足して店を出て→乃木神社→赤坂駅前のタリーズでコーヒー飲んで→Mちゃんと一緒に聴く予定やったんやけど仕事で来られぬようになり独り「B flat」で山本剛(p), 鈴木良雄(b), 大隅寿男(ds). 聴き、徒歩帰宅しよと歩き出したら右膝痛み出したんで、無理せずに電車利用し帰って来た。

間もなく桜観の時節やなあ。

ほな、昔のメモ書きから六義園での桜観の様子を。

 

 

「もう立ち上がって。枝垂れ桜を観に行くょ」そう食器洗い終えたEみさんが声かけたんや。

昨夜遠慮がちに降っとった雨は上がっとった。

{そうか、出掛けるつもりやから朝ご飯早かったんか}と思いつつ、「行ってらっしゃい」と手を振りながら云うてみた。

案の定、Eみさん「行かないつもり」とワテを睨むんや。「さっき旨い旨いって云いながら南瓜の煮物とスープ食べてたよねぇ、つくったの誰?」

{また食い物で脅してきよった}と思いつつ穏やかな口調で返した。「まだ朝食済んだばかりやでえ、こんな早くどこ迄行きますねん?」

「枝垂れ桜のお花で有名な六義園だょ。前に行きたいって云ってたでしょ、小石川後楽園と並ぶお江戸の二大庭園に行きたいって」

{そやった}と思いつつ「側用人柳沢吉保の屋敷か。確かに云うた。行きたいと思いながらも行ってなかったからな」

「東京一と誉れ高い枝垂れ桜なんだってぇ。立ち上がってょ。さぁ、行こう」

「行きたいけど、わざわざ人仰山集まる桜観の時節には行きとうない。葉桜になったら空くわ。葉桜もええもんや。日を改めて行こ」

「だからぁ、混まない開園の時間に着くように今すぐ出るんだょ。ほら、ほら」と寄って来て腕引っ張り急かすんや。

と云う訳で、時折吹く肌寒い風にめげずに駒込駅改札口出て案内看板を頼りに路地歩んで行き、スカイブルーで統一した姿のEみさんの目論見通り開園の直後に着いた。

開園待っとった人の数もそれ程ではなかったようで、Eみさんの予想通り園内はまだ閑散としとったわ。

「こんなに大きな枝垂れ桜なんだ、すごいねぇ」

まず春の人気スポットを見る事としたんや。それは大門くぐると見えた。ほぼ満開やった。

お喋りなEみさん、暫し沈黙する程その佇まいに感心頻りやった。

確かに見応えあったんでワテは云うた。「見事に垂れとるなあ」

Eみさんはワテを小突き云うた。「もっと洒落た云い方ないの、綺麗な薄紅のお花が咲き誇ってるのにぃ」

「洒落?」ちょっち考え、「錯乱するかの如く咲き乱れるお姿に見惚れます、ちゅうのはどうや」

「何それ?」

「桜と錯乱」

「また駄洒落かぁ。錯乱してるの君の脳の方だね。君の脳には桜の花が満開になってお花見が出来るょ」

枝垂れ桜は他にも幾本か植わっとった。

染井吉野はまだ三分咲き程のがほとんどやが、中には五分から六分咲きに開いとる木もあったでえ。

園内は30分も経つと大分人が増えとって、開花しとる桜の周りにはどこも人垣が出来てた。

大泉水ちゅう池があって、悠々と泳ぐデッカイ鯉やほとんど動かぬ亀が居った。

「大名庭園らしいわな」

「別の季節にまた来たいねぇ」

「この時期外せば長閑なんやろなあ」

「四季折々のお花が綺麗に咲いてたら混んでるょ」

「そやな、美しいもんには皆集まるもんやからな。ところが花が無いと人は途端に寄り付かなくなる」

「そうかなぁ。お花咲いてなくとも素敵なお庭なんだから、来る人少なくはないと思うょ」

「人の世は実、すなわち利に集まるか、或いは花、つまり美しく煌びやかなもんに吸い寄せられるんや」

「そうかぁ」

「そうや、♂は花開いとればたとえ姥桜であっても寄って行くもん居る」云うたら、前に居った派手な装いの大柄な小母さんが振り返った。怖い顔しとった。

隣で歩むスカイブルーで服装統一したお方は笑いをかろうじて堪えとった。

ワテ等が出る時には園内かなり混んどったがな。

出際に、Eみさんがワテの耳元に口寄せて小さな声で云うた。「調子に乗ってるから、姥桜に怒られたぁ」

「般若の如き顔しとったな」

「眼が血走ってたょ。辺りを窺ってから話さないとぉ、病院送りになるね」